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怒りとは期待値のかけ違いであり、また怒りにはポイントカードの側面もあるのだ

対話って、やっぱり素晴らしい。他者と動的に考えるからこそ発見できる何かがある。言葉は「分かり合う」には難易度が高すぎるけれど、「考える」には欠かせない。

Clubhouseで「怒り」について、参加者のみなさまと語り合った。なぜ、このテーマなのかというと、昨日スタバでおじさんがキレていたことを受け、怒りに興味を持っていたからだ。

昨晩は、大きく2つの内容を話した。

・各人の怒りエピソードを聞く
・怒りの発生メカニズムを考える

怒りの理由

対話前の私は、怒りに対して「この世に、怒るだけの価値があるものってそんなにあるっけ?」というスタンスだった。というのも、私は怒らない。イラッとしたり、ムカっとしたりはするけれど、沸点を超えることはまずない。多分、何かおかしいんだと思う。

だから、怒ることにきちんとリアリティを持っている皆さんに聞いてみた。

・(ごく近い人に)自分のことを分かってもらえなかったとき
・自分の存在をないがしろにされたとき
・理不尽な対応をされたとき
・並んでいる列に割り込まれたとき
・歴史について

おおよそ、このような意見が出た。

サンプルが少ないのであてにはしないでほしいが、女性ほど自分自身を理解してもらえないときの怒りを感じやすく、男性ほど社会など自分の外側にあるものに怒りを感じている。そういう傾向にあった。

怒りの発生メカニズム

「自分のことが理解されない」「社会の気になるポイントが自分にとってあるべき姿にない」ことが怒りの理由になりやすいことは分かった。

でも、だからと言って、それが「怒ること」とは直結しない。なぜなら、同じ状況で怒らない人も多数いるからだ。

たとえば、並んでいる列に割り込まれて怒る人と怒らない人の違いは何だろう。

一つは、それを「べき」と思っているか否かである。「列にはきちんと順番で並ぶべき」と思って並んでいるのに、それを侵害されてしまう状況。しかし、これだけではまだ弱い。なぜなら、私は「(少なくとも日本社会では)列にはきちんと順番で並ぶべき」と心から思っているが、列に割り込まれても怒らないからだ。

そこで、もう一つの重要な要素が絡んでくる。「べき」に対し、他者の振る舞いへどれだけ期待するかである。列に割り込まれて怒るというのは、列に並ぶべきという態度を他者に期待しているから、期待を裏切られて怒っているのだ。そして、それは単発の期待感への裏切りというより、自分なりに確率を算定した暗黙の「期待値」のようなものである。期待値を大きく下回ったときに怒りのボルテージが上がる。

期待値のかけ違いにより、人の怒りは発生するのではないだろうか。

私が列に割り込まれても怒らないのは、まさに他者に期待していないからだ。期待値を計算していないから基準となる数値を持ってない。何に怒ってよいのか分からない状態にあるのだ。

ポイントカード

怒りの発生メカニズムは、意外にシンプルだった。

とはいえ、怒る物事によっては「沸点低すぎませんか?」という話になる。「列に並ぶ」というような社会規範的に正しいとされていることへの期待値設定とそのギャップという話は分かりやすい気がするけれど、「私のことを理解してほしい」という類のものは期待値の計算が難しい。

列に割り込まれても怒らない(期待していない)私からすれば、自分を理解してもらえないことなど、なおさら怒らない(期待しない)。何なら、ここ数日は「言葉で分かり合うなんてほとんど不可能に近いよね」とさえ思っている。期待値が低すぎるのだ。

では、「私」を理解してもらえなかったときに怒っている人たちは、そんなに沸点が低いのか?それとも過度な期待値を設定しているのか?実は、そういうことではないらしい。

ここで、怒りのポイントカードの登場だ

期待値のかけ違いによってポイントが蓄積され、ポイントが貯(溜)まったら怒り爆発というシステムらしい。一概には言えないが、話した限りでは女性のほうがデフォルトでこのシステムを採用している割合が高いようだ。

関係の遠い人に自分を理解されなくても怒らないのに、ごく身近な人(家族や恋人?)に自分を理解されないと怒ってしまう理由がよく分かる。距離が近い分だけ期待値も上がりやすい上に、歴史がある分だけ怒りポイントが貯まりやすいという二重の構造がある。

怒りには、ポイントカードの側面もあるということが分かった。

ビフォーアフター

1時間という対話ではあったが、本当に有益な時間を過ごすことができた。参加者の皆さまにお礼申し上げたい。感謝!

対話を通じて、私の認識は以下のように変化した。

<before>
「この世に、怒るだけの価値があるものってそんなにあるっけ?」

<after>
「怒りとは期待値のかけ違いであり、また怒りにはポイントカードの側面もあるのだ」


私が当初思っていた「怒るだけの価値があるもの」というのは少しズレていて「期待値」として考える必要があるということ。日々変動しうる調整可能な値であるということ(むしろ、日々調整しないと期待値を見誤る)。

また、怒りはポイントカードのように累積されていくということ。爆発しないように、小出し(ミニ怒り)してポイントをリセットするなど工夫をしている人もいた。グッドアイデアだ。

私自身、怒られるときにその場と関係のないことを持ち出されて意味不明なこともよくあったが、「出来事」ではなく「怒りポイント」が蓄積されているのだと思うと納得がいくところもある。

「あのときの○○が、あのときに▲▲が…」と伝えるよりも「怒りのポイントカードが貯まりました」と言われた方が意外とすんなり話を聞ける気がするので、ポイントカードを採用される方はぜひ参考にしていただきたい。

サイコパスの部屋

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