命令耐性低め
「18時までに帰ってきなさい」「静かにしなさい」「勉強しなさい」という風に、子供の頃は親や学校の先生からよく命令を受けていた。
(自分含め)子ども同士でも、「やれよ」とか「やめろ」といった命令口調の会話が当たり前のようにまかり通っていた。多分、大人たちの影響を受けていたのではないかと思う。
不思議なことに、あれだけ命令形の言葉に囲まれて育ってきたのに、年齢を重ねるにつれ、命令形を聞くことがなくなった。
20代前半、私は運送業のアルバイトをしていた。まるで暴君のような社員が1人いた。彼はデフォルトが命令だった。逆に、個性的だなと感じるほどに命令口調だった。おそらく、それが私が受けた最後の命令だったように思う。
27歳の頃、専門学校に通い始めた。命令されるのかと思いきや、「しなさい」という命令ではなく、「してください」という要請だった。気づけば、私の暮らしから命令が消えていた。
「命令文は、もはや死んだのだろう」と錯覚を起こしそうになるが、決してそんなことはなさそうだ。私が自然と命令を避けて生きてきた、きっとそれだけのことに過ぎない。
街を歩いていると、「しなさい」とか「しろ」いう命令文が聞こえてくることがある。それは親から子への命令であったり、言葉づかいが荒々しい輩たちの会話であったりする。そんな自分には無関係の命令文でさえ、少し嫌な気分になる。
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