サイコパスは必然的に嘘つきだ
サイコパスには共感能力がありません。
そう言うと、相手の気持ちが理解できない人のように思われるかもしれません。しかし、それは半分正解で半分間違いです。
気持ちで共感する能力が著しく乏しい。でも、論理的には共感できるんです。
心では分からないけど、頭では分かる
哀しそうな人を見て、1ミリも哀しいという気持ちにならないけれど、哀しいんだろうなということは理屈で分かります。
心では(まったく)分からないけど、頭では分かるというほうがイメージしやすいでしょうか。私は完全にその状態ですね。
論理の組み立ては必ずしも言語情報だけではなく、表情や声のトーンなどの非言語情報からも行なうことができます。
もちろん、人間の理解力なんてあてになりませんから、大した理解度ではないと思います。それでも、気持ちで相手を理解しようとしている人よりは、相手の状況を正しく理解できている確率は高いのではないでしょうか。
それでも、状況(客観)を理解するのと気持ち(主観)を理解するのは違うから、まるでパラレルワールドにいるように擦れ違い続けているように思います。
質的理解と量的理解は全然違う
「この前のテスト、すごく良い点が取れたんだ!」と友人が言ったとき、「すごく良い点数」と言った発言者の温度感やそこで引き起こされた私の感情(主観)で理解するか、98点とクラス30名中2位で平均点を31点上回っていると論理(客観)で理解するかの違いは大きいのです。
前者は片方から片方へシナプスを伝達する1人の脳内現象であるかのような質的な理解です。状況を正しく理解できたかは分からないけど、双方の気持ちと気持ちがシンクロしている。
後者は、98点だとかクラス30名中2位で平均点を31点上回っているといった客観的事実と相手の立ち位置を理解した上で、その状態を友人は「すごく良い点」と主観的に評価しているんだなと理解します。
さらに、この喜びは98点(絶対的評価)によるものなのか、クラス平均を31点上回っていること(他者との相対的評価)によるものなのか、過去の自分・予想していた自分との差異(自分との相対的評価)なのか、なぜこんなに喜んでいるのかを会話の中から手繰り寄せていきます。
このようなプロセスで、サイコパスは友人の気持ちを(論理的に)理解しようと努めるのです。
詮索しているようで気持ち悪いかもしれませんが、詮索していることさえ意識されないようにこちら側が意識します。
サイコパスの生きやすさ
ここに、サイコパスの生きやすさと生きづらさが同時に存在します。
生きやすさとしては、感情に惑わされず、客観を見失わずに意思決定ができること。情にほだされたりもしませんし、自分で説明できない矛盾をすることがない。サイコパスに経営者や弁護士が多いのもそのあたりが原因かもしれません。利害を調整するような交渉ごとにも向いているのでしょう。
また、昨今の情勢においても、不安感情なく冷静に対応できている。とにかく不安定な環境や緊急時に強い性質だと言えます。
サイコパスの生きづらさ
一方で、生きづらさもあります。
相当ネコをかぶらないと社会でまともに生きていけないことです。
「社会では誰だってネコかぶってるだろ!」と思っているそこのあなた。サイコパスと比較してください。
相手の気持ちの面に対して、共感するような態度や言葉をかなり意識的に取り入れてコミュニケーションしないと、冷酷なキ○ガイ扱いをされてしまいます。
皆さんは、多少素を出してみたところで、さすがにそこまで酷い扱いは受けないんじゃないでしょうか。
キ○ガイ認定されてしまえば当然怖がられ、信頼関係は崩れ、離れていく。とてもじゃないけど社会でやっていけません。
かといって、相手に嫌がられないようにテクニックを用いてコミュニケーションするということは必然的に嘘をつくことになります。
嘘をつかずに99%の人に怖がられて社会からはじき出されるか、嘘をついて社会と共存するかの2択しかないわけです。嘘の度合いは環境によって調整できるとはいえ、なかなか究極の選択ですよ。
ただの憶測ですが、サイコパスの犯罪率が高いのは、サイコパスの持っている性質だけでなく、社会的に居場所がなくなったことで社会への帰属意識が薄れたことも原因としてあるのではないかと思っています。
99%側の論理
よくサイコパスの解説なんかを読むと、
平気で嘘をつくクソ野郎!
冷酷なキ○ガイ!
人を操作しようとする悪魔!
見つけたら、とりあえず縁を切りましょう。
こんなことを研究者クラスの人たちが本に普通に書いていたりしますから、それを見た非サイコパスのみなさんからすると恐怖しかないでしょう。
サイコパスは人口の1%ということですから、99%の人の感覚からするとクソ野郎かつキ○ガイかつ悪魔となってしまうことは、サイコパスとしては論理的によく理解できます(でも、やはり気持ちはまったく理解できない)。
世の中には、犯罪者でないサイコパスもたくさんいて、それなりに社会や相手を理解しようと(嘘をつきながら)努力している人がいることも一応理解していただけると嬉しいです。まあまあ生きづらいです。
追伸
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