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「信頼残高マイナス」からブランド責任者へ。SHEmoney・松尾真里に聞く「想像力を持って働く」ということ

この記事は、オンラインキャリアスクールSHElikes(シーライクス)での、インタビューライティング課題を加筆修正し投稿したものです。
松尾真里さんへのインタビュー動画を視聴し、記事の構成から執筆までを行いました。

「自分らしい資産形成ができるようになる」をテーマに、家計管理から資産運用の実践までを体系的に学べる女性向けマネースクール「SHEmoney」。松尾真里さんは、SHE株式会社で「SHEmoney」のブランド責任者を務めています。

学生時代から事業開発に関心が高く、新卒でリクルートに入社後、転職し新規事業開発を見事に成功させた松尾さん。

順風満帆なビジネスウーマンに見える彼女ですが、かつては「信頼残高マイナス」とまで言われたことも。そこから現在のキャリアを築くに至るまで、彼女が大切にしてきた「想像力」について、自身の失敗談を振り返りながら語っていただきました。


20代で「私ここまでやってきました」と言える紋所を作りたかった

いまはSHE株式会社でSHEmoneyのブランド責任者をしていますが、もともとは事業開発ができる人材になりたくて、起業家輩出の色が強いリクルートに新卒で入社しました。

学生時代にシリコンバレーの近くに留学をしていた時期があり、毎週の企業訪問で「プロダクトを作る人ってかっこいい」と憧れを抱いたのが、事業開発に関心を持った最初のきっかけですね。

リクルートでスキルを身に着けて、起業を検討しはじめた時期に、起業家の方に事業アイデアのフィードバックを自主的にもらいに行っていたんです。SHEの福田代表からランチに誘われた日も、フィードバックをもらうつもりで行ったのですが、「うちでやらない?」と誘っていただき、その日のうちに「行きます」と返事をしました。

SHEは当時まだ十数人のスタートアップ企業でしたし、そのタイミングでのキャリアチェンジは、かなり大きな決断ではありました。でも、私のなかで20代のうちに何かをやりきったキャリアを積みたいという考えがあったんです。たとえ今後、出産などでキャリアからいったん離れたとしても、「私ここまでやってきました」と言える紋所みたいなものを作りたかったんですよね。

実際できているかというとまだ発展途上ですが、今後SHEmoneyがその紋所の1つになっていくと思っています。ゆくゆくは、中高生などの若い世代にも金融教育をしていきたいと考えていますし、母校でSHEmoneyの授業がしたいというのが、個人的な夢ですね。

高いアウトプットを目指すため、「目的の視座」を上げて周りに頼る

SHEmoney立ち上げにあたって、一緒に教材を作成していただく仲間集めにかなり苦戦しました。完全中立の、個人で独立されている金融のプロの方を探していたのですが、これが本当に大変で。何百件と検索して、片っ端からメールや電話をして、ようやく数件アポが取れるという状況でした。

お会いしてビジョンをお伝えできても、ずっと金融でキャリアを積まれてきている方からは、「新参者が参入する世界ではない」と厳しい意見を頂戴することも多かったです。中には2時間くらい説教されてしまうこともありました。そんなに時間を割いてくださることはありがたいことなのですが、そういう毎日を繰り返していた時期は、「きついなあ」と感じていましたね。

心が折れそう、きつい、もうやりたくないかもと思うときは、必ず目的に立ち返るようにしています。「そもそも目の前のことは何のためにやっているんだっけ?必須なんだっけ、非必須なんだっけ?」という風に。目的があって必須なのであれば、やらない理由がないので、自分を奮い立たせています。

チームメンバーにも「正直ここ行き詰まってるんだよね」とか「もうまじ辛い!」と格好つけずに伝えていますね。悩みをシェアするとかなり負担が減るので、そうやって乗り越えてきたところもあるかなと思います。

リクルート時代、入社3年目で大きなプロジェクトのリーダーに選んでいただいたんです。それまでは、いわゆる「引っ張っていくリーダー」が正解だと思っていました。だから、誰にも相談せずにリーダーが何でも決めて先導しようとしたんですけど、その結果ハレーションが起きてチームが崩壊してしまったんです。

上司や先輩から「そもそもそのやり方が合っていないんじゃない?」と言われて、自分にはリーダーシップよりフォロワーシップが合っていることに気づきました。

それからは、「私ここできないんですけど、めっちゃ得意ですよね、ちょっと助けてくれませんか?」と、積極的にメンバーを頼るコミュニケーションに変えました。するとチームがとても良く機能するようになって、史上初の全KPI達成という成果まで出せたんです。

いまも、1人で悩みを抱えていそうなメンバーに気づいたら、「目的の視座を上げる」ことを意識しています。みんな「成果を出したい」という思いが根底にあるはずなので、その目的のために、周りに頼ることが悪だという考えは捨てていいと思うよ、いろんな人の手を借りて最終アウトプットがよくなるならそのほうがいいんじゃない?ということを伝えるようにしていますね。

仕事はバトンパスリレー。「想像力」を持って働くために「体力」を残しておく

チームメンバーのちょっとした変化に気づくためにも、どんなことを考えているのか想像しながら働くようにしています。そのためには体力も必要で、人のために使う体力を残しておく意識はしていますね。

私の尊敬する上司が、とても忙しいのにいつでも話を聞いてくれる人だったんです。「こんなに忙しいのになぜ可能なのか?」と不思議に思ってあるとき質問してみたんですね。すると「暇な時間をタスク管理している」と言われました。

その教えに従い、就業時間のうち1時間ほどは「絶対にあける時間」を作って、そのためにほかのタスクをさばくスピードを上げる工夫をしています

仕事における「想像力」の話で、教訓になっている新人時代のできごとがあります。当時の私は「自分のタスクだけ考えてあとは知らない」というスタンスでした。とあるクライアント納品がある仕事で、自分のタスク期日を勝手に伸ばしたせいで、次の人が短納期でやってくださり最終は間に合ったものの、アウトプットのクオリティをかなり下げてしまいました。

当時の上司にはもちろんめちゃくちゃ怒られましたし、「いま松尾の信頼残高ゼロじゃなくてマイナスだから」と言われたのが悲しかったですね。周囲の信頼もすべて失ってしまい、こんな辛い思いは二度としたくないと思いました。

そこから信頼を取り戻すべくやったことは、まずスピードで勝つことです。新人でスキルもなかったので、振られたタスクを一瞬で返すことを意識しました。そうやって信頼貯金を作りつつスキルを身につけて、高いクオリティのものを早く出すということを地道に1年ほど続けました。

このときから、「仕事というのはバトンパスリレーで、自分がやって終わりじゃなくて必ず次に走る人がいる」「次の人が走りやすいようにどうやってバトンを渡すかを当たり前に考える必要があるのだ」という風に考え方が変わりました。常に相手への「想像力」を働かせて仕事に対峙することは、いまでも根付いている考え方ですね。

おわりに

現在ではブランド責任者として活躍している松尾さんも、はじめからいまのような働き方ができていたわけではありませんでした。

多くの失敗を経験し、そこから学び、働く姿勢を見直し続けてきた彼女は、いまではチームメイトから厚い信頼を得る上司になりました。

相手への「想像力」を持って働くことは、どんな仕事のどんな場面にも当てはまる大切な考え方のように思います。私たちも、次の人に気持ちよくバトンを渡せるように、小さなことから1つでも意識できれば素敵ですね。


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