ひと
世界にも
そこかしこにも
私利私欲の為に手を染める罪人がいて
同情できない理由で手を染める罪人がいて
同情はできるけれど手を染めてしまった罪人がいる
背景や事情は
時折軽んじられて憎しみの増幅器の生贄にされる
罪人には国籍があって
X中の学生は不良ばっかで嫌になるな
なんてレッテルを貼られたり
陰湿な目だったり
冷酷だったり
冷淡な目で所属を分類されたりして
きっと誰かの責任が連帯されて
背負わなくてもいい
されなくてもいい扱いを常々されて
人扱いされないのなら
人でいる理由なんてなくなるんだから
やさしくされないのなら
やさしくなるひつようなんてないんだから
笑ったらへらへらするなと
調子に乗るなと
何様だと言われるのだから
怖い顔していたら
やっぱりと言われて
ヤダヤダって言われるんだから
どうしたらいいんだってなることもある
八つ当たりの言動が「そら見たことか!」と揚げ足を取られて
重箱の隅をつつかれて
自分じゃない無貌のXの罪を
悪印象を背負わされて
それでも善良であれと言われて
我慢するしかないのなら
ここのどこが美しくやさしいのだろう
反対するならば身内側にあっても
醜悪で陰湿で傲慢で
おまえは裏切り者の敵であるとレッテルを貼るのならば
迎え入れた外の者の扱いはもっとひどくて当たり前だ
内的奴隷にやさしくない彼らが
外的奴隷にやさしいはずもない
悪意あるこちらのひとりと
悪意あるあちらのひとりが始まりになり
新たな始まりを呼び分節して
罪のないこちらのひとりが嫌な思いをして
罪のないあちらのひとりが嫌な思いをする
確実に嫌な思いをしたひとりとその周りはあちらに悪感情をいだき
確実に嫌な思いをしたひとりとその周りはこちらに悪感情をいだく
ひとつなぎの負の連鎖でありながら
個別の連鎖でもある
ムカデのように何本も何本もある足のひとつひとつすべてを揃えようとしても
どの陣営にも私利私欲や私怨や八つ当たりや狂気のはけ口のために
狡猾な罠や直線的な言動で傷つけあって罪のない誰かを傷つけて
新しい罪と罰を手放そうとさせないやつがいる
それでも
それでもと希う命の煌きを疎んで
前後に恨みを買いながら
握手と攻撃の種になりながら
経路を辿れない嫌悪の感染爆発と収束を繰り返して
根絶以外の手段を選ぼうとする人類の多難を
身内の民であろうがあるまいが人を人として扱う労働環境と
生活環境があれば
三番目の悪事と悲劇のルートだけは数を少なくできるだろうと信じている
どこのだれそれであろうと
孤立無援の無敵にしない最低限度の向上は
最高難度の初手になる
そう信じて
どうか今日や明日が
誰にとっても
身を罪で染めることを厭わぬ日になりませんようにと願っている
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人を人にする人
人を人にしない人
人でない人を人にする人
人でない人を人にしない人
人でない人が人にする人
人でない人が人にしない人
ひとひとひとひと
人人人人人人人人人人
ひとりひとりひと
ひとりひとり、ひとり。
人を人にする人
人を人にしない人。