ごはんが毎回おいしくなるお米の計量
お米の計量
実は毎日ごはんを炊くときに軽視されがちなのがお米の計量。
お菓子やパンなどを作るときに小麦粉や水、砂糖、バターなど目分量で量る方はいないと思います。必ず秤などを使って重さや量をはかり混ぜ合わせて作ります。
お米も同じで、お米はもっとシンプルで、ごはんは「米+水+熱」の化学反応なので、ごはんが美味しい、美味しくないはすべてこの3要素にあります。
これを実際の工程にすると、ごはんを炊くときに、先ずお米の量をはかり、洗米して(米を研いで)、水加減を行い、浸漬してから炊飯、そして蒸らして、ほぐす、というプロセスになります。
もう一度「米+水+熱」に当てはめると、「米」は計量。それ以前に「お米を選ぶ」またお米の「保管」「管理」などの要素が加わりますが、先ずは量目を量ることが大前提となります。
そして「水」。量ったお米に水が加わります。お米にまとわりついた水がお米の表面からだんだん染みこんでいき、中心部にまで到達します。水分が中心部にまで到達しないと、お米は炊けません。乾いた米デンプンをいくら加熱してもネバネバにならないですよね。パンも小麦粉に水分を加えないとサラサラのままです。パンにはなりません。小麦デンプンも米デンプンも同じです。
そして「熱」はいわずもがな炊飯です。どのくらいの熱量か、それは熱量×時間によって水分が加わった米デンプンはおネバの状態になります。この炊飯も分解すると「煮る+蒸す+焼く+うまし(蒸らし)」の複合加熱です。そして、それをよそって「ごはん」となります。
話しはだいぶそれましたが、その根幹がお米の計量なのです。
ですので、これが適当だったり毎回違うと、当然水の量も変わってきて、毎回違う食感のごはんだったり、うまく行ったり、いかなかったりするわけです。
前置きが長くなりましたが、もし毎回同じ食味、食感のごはんを炊くのであれば、まずはお米をきちんと計量しましょう。
それでは、お米の計量とは実際何グラムなのでしょうか。
お菓子やパンを作るときは、必ずグラムで量りますね。
ですが、お米の場合はおおむね1合、2合で表すことが多いです。
それは炊飯器の内釜の計量線、1、2、3が1合、2合、3合を意味するからです。
では1合はどういう量なのか?
お米を量る単位として「合」が一般的となったのは、石高制(こくだかせい)が確立された江戸時代といわれています。「石」という単位は、豊臣秀吉が行った1580年代の太閤検地から始まったといわれ、1石はいまの重さで150kg。1合は1000分の一なので150gとなります。
ちなみに、1石=150Kg、1斗=15Kg、1升=1.5Kg、そして1合=150g(各10分の1づつ)
1959(昭和34)年の計量法改正により公取引において国際単位の使用が義務づけられ尺貫法が廃止されました。しかし、「合」については私たちの生活に直結していることから、そのまま根付いたものと思われます。
つまり、1合は150gです。
当社に昔商売で使っていた1升枡と1合枡があります。商売で使ってい良い道具は、必ず「正」の字の刻印が打たれています。1升枡は口金がついて縁が減らないようになっています。
お米を入れてみると、1升枡は1.5Kg。1合枡は150gはいることがわかります。
そして、これは水の量に変えると180ccです。
いまもお酒屋さんでお酒が1升瓶で売られていますが、これは1.8L入っています。
いまはあまり見なくなりましたが、サラダ油も1升瓶で売られていたことがあり、1800ml入っていますが、油は比重が軽いので重さは1650gでした。
お米1合=150g、容積で表すと180ml。水の量で例えると、180ml=180cc。
むかし私は小学校で、水の1ccは1gと習いました。ということは、180ml=180cc=180g、ということになります。
新しい炊飯器を購入すると、ほとんどに計量カップが付属しています。底面をみると「180」と記載されています。これは容積180mlをあらわしており、つまり「1合カップ」です。
お米は150g入る、ということになります。
ちなみに、地方によってはこの1合を145g、としたりする考え方があります。1升枡にお米を入れると1.45kg入ったことから、この十分の一、という捉えかたです。
以前、炊飯講座でアンケート調査をしたときに半数以上の方がお米の計量は「計量カップで」と答えていました。昔、各家庭に一台「ハイザー」というお米の保管と計量をしてくれる箱のような置物?があったのは知っていますか?若い方は目にすることがほとんどないと思いますが、いまもご家庭で使っている方がいらっしゃいます。
このハイザーがまた便利で、私が知っている形はボタンが三つ並んでいて、一番左を押すと1合お米が出てきて、真ん中を押すと2合。右側を押すと3合出てくるようになっています。
ただし、これはひとつ問題があって、中でこぼれたりしたお米から虫が湧いてくることがあったり、内部が逆四角錐になっているので、継ぎ足すと前のお米がそのまま残って、すべり落ちなかったお米が古くなってごはんをまずくする可能性があります。
米屋として今はあまりおすすめできません。
機械もいつかは壊れるので、最近の方はお米を計量カップで量るという方が多いのだと思います。オシャレな計量カップも販売されているので、そちらがおすすめです。
さて、その計量カップにも見落とすことがあります。
それはお米をすくうたびにお米の量が違うこと。
1合の計量カップにはお米が150g入ることになっているのですが、ぜひみなさん一回試してみてください。1合カップでお米をすくうと必ず150gになりますか?
だいたいなら、いいんです。
153g、156g、148gなど多かったり少なかったり。ちょっと揺すったり、トントンすると160g入ったりします。
これが毎回お米を上手に同じく炊けない原因のひとつです。
私たちは人前でお米を炊くときは、ぜったいカップで量りません。必ずはかりを使ってグラム単位で計量します。水加減も必ず重さではかります。
一応プロなので、炊飯を失敗するわけにはいきませんよね。
当社の店頭に立つスタッフも炊飯は必ず重さではかります。そうすると、同じグラム単位で炊飯の情報交換が出来るので、次の参考になるわけです。
ただし〜ですよ。お米はすごく寛容な食べ物なので、少々の違いはあまり大きな影響を及ぼさないのも事実です。1合カップでお米をすり切り量って、炊飯器の内釜の水位線に合わせるとだいたいうまくいきます。うまくいくように、各炊飯器メーカーがしのぎを削って炊飯器にいろいろな工夫や機能が付け加えられているのですから。
今回の計量のお話しは、知識として覚えていてください。
そして、ここぞ!という炊飯のときは、きっちりお米を量ってごはんを炊いてください。
たかがお米、されどお米。
お米は“だいたい”で炊くと、食味は“だいたい”で仕上がります。
しかし、“きっちり”炊くと、“きっちり”とした味わい、食感で返してくれます。
お米はおもしろいです。
ぜひ試してみてください。
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