【ネタバレあり】さがす
佐藤二朗こんな演技するのか…!と嬉しい驚き。
ヨシヒコの仏とか、ギャグ系のイメージが強かったので、笑っちゃうかなと思ったけど、全然そんなことなかった。
頼りない、おちゃらけてる、でも…というお父ちゃんが非常にハマり役。
もっと色んな佐藤二朗が見たいと思った。
殺人犯のモデルもかなり複合型で○
特定の一人に絞ってしまうと、実在の事件しか連想できなくて「う~ん」ってなってしまうけど、少なくとも三人の殺人犯がモデルなんだなと思った。
・クーラーボックス、自殺志願者がターゲット…座間9人殺害事件
・安楽死主義…相模原障害者施設殺傷事件
・白い靴下…自殺サイト殺人事件
どれも許せない事件であるのは間違いないが、動機やターゲットに共通点があるので、そこまで人物像に違和感はなかった。
それでもパッチワーク感はあるのだが、別にこの殺人犯はメインではないのでとにかく「異常」であることが伝われば良い。
お父ちゃんである。
なんだー失踪したお父ちゃんを探す娘のドラマかーってなめてたらトンでもないお父ちゃんだった。
お父ちゃんパートになってからが非常に面白い。
お父ちゃん失踪の真相がわかってくると、冒頭の警察が娘に言った
「君は誰を探しているんだい」
というセリフが非常に響く。
この映画、味わい深いセリフ、シーンが多い。
ラストの卓球しながらの父娘のやり取りが最高だった。
「忘れたらあかんで」
「私のことも」
「お母ちゃんのことも全部」
そう、「全部」
この「全部」にお父ちゃんが関わった事件、失踪中にやったこと、が含まれてる味わい深いセリフ。
しかも卓球しながらっていうのが、言葉のラリー感あっていいですね。
お父ちゃん何も言わない(言えない)んだけど。
薄々娘が知ってることに気づいているから。
「さっきの待ち合わせ、お前か」
「せや」
で、コロンと落ちるピンポン球。…良い。
「やっと見つけた」
ここでようやく、娘の父親(の本当の姿)を探す旅は終わる。
この一連の流れの佐藤二朗の表情がすごくいいのだ…。
そして娘は父親のおふざけの真似をして「許してしまう」
でも、卓球の台の上のネットのような壁ができてしまったのかな…というカットで終わっていく。
ああ、これが邦画なんだよな…とじんわりした。
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ちなみに、パトカーのサイレンが鳴って「迎えが来たで」という関西ジョークを一緒に見てた恋人が真に受けてしまってたので、念のため、関西の人にこういうジョークを日常的に言うのかと聞いたら、やっぱり言うんですね。
お腹いっぱい。ごちそうさまでした。