【ネタバレなし】9人の翻訳家 囚われたベストセラー
適当に映画見ようと思ってタイトルだけで見た映画。
だって「9人の翻訳家」って翻訳家9人集めて翻訳以外に何するの!?って逆に気になりません??
と、期待値0で見たら大当たりだったミステリー。期待値低いから高評価ってのもあるかもしれませんけど。
ベストセラー『デダリュス』の完結編が出るよ!情報流出は絶対に許さないから翻訳家も全員地下室に閉じ込めて外界との連絡を一切たって翻訳作業してもらうよ!え!?冒頭10ページ流出した?これ以上やられたくなかったら24時間以内に500万ユーロを払えって!?ちくしょう!どこから流出した!?お前ら翻訳家の誰かか!?っていうミステリー。
まず9人の翻訳家のキャラが妙にたってる。
気だるげな若者(英語担当)
お姉さんキャラかと思いきや不思議ちゃん(ロシア担当)
厭世的なおっさん(ギリシャ担当)
作家の夢破れたメンタル弱そうなおばさん(デンマーク担当)
委員長タイプなウェーブ(ドイツ担当)
勝ち気ヒロイン(ポルトガル担当)
オドオド系男子(スペイン担当)
短気でいかにもやらかしそうな奴(イタリア担当)
運動神経バツグンの男前(中国担当)
これ翻訳家アヴェンジャーズですよ!
…アヴェンジャーズ見たことないけど…
本当にタイトルだけで見たのでまさかミステリーだとは思わなかった。
しかもそのミステリーの謎が非常に秀逸。
最後の謎だけはなんとなく途中でわかるんだけど、そこに至るまでの謎が予想できず、何度も驚いた。謎が謎を呼んで目が離せない。伏線の回収もスッキリ。
強いて言うなら時間列の描写がちょっとわかりにくいかもしれない。
このシーンは現在を基準として過去なのか未来なのか?と一瞬迷う。
本当に一瞬迷う程度なので、大した問題じゃない。
本の事情とか翻訳家の事情とか本が好きな一般人レベルには知識があるので、冒頭10ページの流出がいかに恐ろしいことかはわかる。
翻訳家談義も面白い。翻訳家なので当然全員文学大好き。
最近の文学はどうとか、あの翻訳は~とか、ああ、なんか翻訳家っぽい会話だな~と。
僕も江川卓先生以外のドストエフスキーの翻訳はなんか違うなぁって思って、読めなくなっちゃったんですよね。僕ごときの頭のレベルで翻訳の違いなんてわかるわけないから、絶対気の所為だと思うけど。としんみりしました。
ロシアと英語で解釈であーだこーだ言ってるヲタクぶりは面白かった。
このシーン、最後まで見ると「あ、ああ~…」ってなっちゃうけど。
もっと驚いたのが、これが実話を元にしたってところですかね。
本当に翻訳家を閉じ込めたのか…。
ネタバレなしで見て欲しいので、ネタバレなしにしました。
ミステリー好きな人はぜひ見てください。