測定記事:秋田県由利本荘市風力発電低周波音評価1
聞こえない音、超低周波音(20Hz以下の空気振動)
聞こえにくい音、低周波音(100Hz以下の空気振動)
これらの影響を調査するため、騒音測定器を入手し、測定を開始した。
RION NL-62 (1/3オクターブバンド、WAVEファイル取込)騒音計基準適合検査済証有の試運転も兼ねて、現在秋田県由利本荘市にて稼働している風力発電施設近傍(500m圏内)にて測定を実施した。ここで、第一報として記事に掲載する。
なお、専用解析ソフトAS60の1/3オクターブバンドに対応ができるまで、データをエクセルでの図表にしている。
結果1
自宅における騒音レベルの確認 (図1、表1)
Z特性での1/3オクターブバンドでの測定およびA特性重み付けあり、G特性重み付けありで、同時刻で測定した。
1分間でA特性L(A)eq=26.5[dB]、G特性のL(G)eq=54.3[dB]、Z特性(フラット)でL(Z)eq=68.5[dB]であった。(表1)
図1では、1/3オクターブの中心周波数をX軸に、音圧レベルをY軸に示した。なお、A特性、G特性も比較のために同じ図1に示している。2004年の環境省の参照値および過去の低周波音の被害事例も示している。
私の自宅でも低周波音成分が確認された。
風力発電施設はにかほ市街地から3km以上の距離があるが、その影響については、今後、風力発電施設の稼働や風向き、発生源の特定等を行って行く予定である。
(写真1:NL-62自宅での測定、比較のためWS-10有、専用スタンド)
次に、風力発電施設近傍での定点測定を開始した。
(写真2 由利本荘市 定点HM-01)
HM-01 :由利本荘風力2.3kWx7基、本荘港風力1.99kWx1基(500m圏内)
この地点において、車の騒音が少なく、風力発電施設が稼働する状況で、測定を行った。(注:測定時間帯は深夜のため、写真は別の日時のもの)
結果2A
HM-01定点における低周波音測定:車内 (図2A、表2A)
ここでは、波風の音影響がすくなく、近隣の自宅に近い自家用車の【車内】での測定結果である。
ウインドスクリーンWS-10はあるが、【車内】であれば、過去の被害事例の低周波成分と比較しやすいと考えている。
ちなみに、同じ時刻に屋外で測定した結果も示す。
結果2B
HM-01定点における低周波音測定:屋外 (図2B、表2A)
屋外では、G特性の参照値(92[dB])を超える低周波音が確認された。その状況下では、過去の低周波音被害事例のレベルより遙かに大きい低周波音のレベルにあると考えられる。
2004年に環境省が示したG特性の参照値(引用A)が高すぎると批判されたが、実際の風力発電の近くで測定してみると、その参照値が適切でないとすぐにわかる。私は低周波音を感じたり、健康被害は今のところない。ただし、真摯に今回の測定を行っただけでも、A特性が風力発電の指針としては不適切であり肝心な風力発電から発生すると思われる低周波音をカットする重み付けは使うべきでないことは明白である。
環境省やその委託調査を行った学識経験者の技量を疑うべきであり、また調査を補佐した医療関係者の知見も疑うものではないだろうか。(相当な予算をつぎ込んでいるはずであるが、その点は別に取材していきたい)
次に、風力発電施設近傍で、別の定点測定を行った。
(写真2 由利本荘市 定点NY-01)
NY-01 :由利本荘風力2.3kWx7基、秋田・西目風力1.25kWx1基(500m圏内)
結果3A
NY-01定点における低周波音測定:車内 (図3A、表3A)
ここで注目したのは、W県の被害者の自宅での音圧レベル(紫○)
と今回の車内での音圧レベル(黒■)が同じレベルにあるという点である。
10月6日の由利本荘市で、私は風力発電施設によって健康被害をうけた。と告白した市民の話と、W県の被害者の自宅が同じレベルにあるということである。これでも、環境省や環境省の委託をうけた学識経験者は、ノーシーボ効果(思い込みの悪影響)と主張するのであろうか?
NL-62ではWAVEファイルでの録音はできるが、フリーのFFT解析ソフトでは、まだ解析はできていない。海外での事例にあるように、1/3オクターブバンド測定では平坦化されて見えない、卓越した低周波音ピークがでるのか、今後も解析できる環境をつくりたい。
比較
図4、表4には、自宅、定点NY-01を比較した
図4には、YN-01地点での車内と屋外の比較とおよび、NY-01地点と自宅(住宅値の一例)を示している。紫は、書籍①からの被害事例のピーク値と周波数、W県の被害者自宅で苦しいと感じる時の音圧レベルを示している。
図5、表5には、自宅、定点HM-01を比較した
図5にも、HM-01地点の車内と屋外の比較、自宅(住宅値の一例)を示している。
今回、夜間の風力発電稼働時(東風:陸から海)で平均風速2〜5m/sの環境下での低周波音測定であった。風力発電稼働していない時間帯との比較や、距離との関係性、FFT解析など、現状を把握できるように、測定を継続する。
低周波音測定委託について
なお、秋田県内で、低周波音測定を希望される方の相談も受付ています。連絡先はこちら。
https://note.mu/y_t_publishing/n/nd52790cdb5cd
記事配信:2019/10/26
(記事更新2019/10/26)
引用一覧
参考、引用元:
①低周波音被害を追って、汐見文隆、寿郎社
②W県被害者自宅での測定値 出典:土木学会資料、数字はこの出展について許可を得て
引用A:環境省ウェブサイト
https://www.env.go.jp/air/teishuha/index.html
"低周波音問題対応の為の「評価指針」"
いわゆる環境省の参照値(2004年)
低周波音問題対応の手引書における参照値の取り扱いについて
平成29年12月27日の通達により、いわゆる風力発電事業の環境アセスメントにおいて、"参照値は使うな"という意図を込めた通達として、事業者は解釈しているようである。
つまり、環境省の責任ある立場の人間が、風力発電から発生する低周波音評価を"実質的に無視できる"内容にもなっているのが実情である。
風力発電施設から発生する騒音に関する指針について
http://www.env.go.jp/air/noise/wpg.html
平成29年5月
この点は、大至急見直しが必要だと考えられる。
定点YN-01
(39.3728935, 140.0110179)
https://goo.gl/maps/T6sDXQEpBGiUnMex8
定点HM-01
(39.3911954, 140.0166911)
https://goo.gl/maps/j26FUETg8NkitKht7