ギャルとサイレンと着信音、サンプリングしてみたら…〜CO-MUSICATION REPORT VOL.23〜
音楽家・宮田’レフティ’リョウさん(@LeftyMonsterP)が主宰のオンラインサロン・CO-MUSICATION ROOM(@co_musication)、今回はヒグチアイさんとのコライトで作曲した楽曲のアレンジを進めていきます!
渋谷をテーマに、ピアノの音色とアイさんの歌声でラフスケッチまで作っていた曲です。
アイさんをゲストにお迎えしてのコライトの後、アイさんが歌詞を作りあげ、歌を録音されたものが届いていました。
前回の復習も兼ねて、アイさんの仮歌音源をみんなで聴いてみます。
..:*・.。.:♬♬.。.:*・.。.:♬♬.。.:*・°.。
渋谷の具体的な地名が出てきて、街の情景がイメージされます。
渋谷の華やかな表の顔と裏の顔の翳りとが混ざり合って、わたしは、百人百通りの想いを抱えながら渋谷の街を行き交う人波…を思い浮かべました。
渋谷に誘われるような、素敵な歌詞です。
■アレンジ開始
「こんな曲にしたい」というイメージはレフティさんのなかにあったものの、どんなアレンジを加えるかノープランで始まったアレンジ。
ラフ段階ではピアノとドラムしか入っていなかったので、とりあえずベースとギターを弾いていきます。
イントロ冒頭の難解で聞き慣れないコード進行が印象的な曲ですが、作ったレフティさんご本人でさえも、弾きながら何度も「難しい」という言葉が出てきます。
レフティ(以下L)「このコード進行、人生で初めて弾く(笑)」
▲何度も弾き直してREC、聴きながらコンプレッサーをササッとかけてます。早い〜〜!
エレキギターのリフが狂気的な感じをさらに増してくるのですが、レフティさんはまだ何か足りない感じがしているようで。
L「何か埋まらない感じがする…何で埋めればいいんだろう・・」
ここで新しいプラグインが登場。真っ赤なジュースがドバドバッと注ぎこまれてます。
「DRIP」というプラグインソフトで、レフティさんの説明によると、「いろんな空間系のエフェクターがいろいろ混ざり合っていい感じになるプリセットがいっぱいあるもの」だそうです。見た目もおもしろい~!
L「いい感じになった〜!」
ピアノの音はシンセに変え、さらにエフェクトもかけるとアーバンな雰囲気に。
▲当サロンではお馴染みのソフトシンセ。レフティさんの楽曲制作に欠かせないものです。
シンセの音にはサイドチェインを使って、シンセの音がストリングスの音から少し遅れて聴こえるように、頭拍をコンプレッサーでつぶし、裏拍にアクセントをつけます。おお!EDMっぽくなってきました・・!
このような細かな微調整もしながら、スケッチ段階の音源を作りたい曲のイメージに合うよう仕上げていきます。
さらに、ギターでもこの「やばい」コードのルート音を加えます。
ギターの歪んだ音でこのコードを弾くと、まるで闇が迫ってくるような怪しい雰囲気が・・
ここで、
♪♪レフティさんのプチ最新音楽事情♪♪
L「ギターで、単音のルート音だけ弾く手法が最近流行っていますね。これまでの主流な手法:バッキングは、複音で普通にパワーコード押さえていたのが、最近の曲はミニマムなトラックが多いから、バッキングで情報量を取ってしまうのはどうなんだ?って感じになってるのかも。」
へえー!そういう視点でいろんな曲を聴いてみたいかも!
このサロンでDTMのことや楽曲制作の裏側を知って、音楽の聴き方も色々なアプローチで楽しめるようになりました♪
この日はこのほかに、アイさんの仮歌音源にエフェクトをかけたり、コーラスを作ったりなどもしました。自分で歌を歌って録音をされる方にも参考になりそうですよ〜♬
■いいこと思いついた・・!
アイさんからの伝言で、駅のホームのアナウンスから曲が始まるというアイディアがあり、駅メロの音源を探して仮置きしてみます。
さらに渋谷の雑多で騒がしい感じを出すために レフティさんが始めたのは、リズムのサンプラーに電話着信音のサンプル音源を組み合わせてループさせること。
「カオスになってきたぞ」「都会の音、どんなのかなー、クラクションとかかな…」どんな音を使うと都会っぽい音なのかを考えながら、作業をしていると、ここでLEVEL MUSICのクリエイター・たるとさんことタルタノリキさん(@barreltaltor)がチャットで参加してくださいました~!
▲たるとさん「ギャルの声入れてよ」
ギャルの声のサンプル音源は、さすがにSpliceにも入ってないのでは…笑
そんな話をしつつ引き続き車やクラクションの音などを使って作業をしていたところ、
L「めっちゃいいこと思いついたー!」
L「みなさんに身の周りにある都会っぽい音をボイスメモで録ってもらって、それを俺がサンプリングして切り刻んでビートにするって面白くないですか?」
えー!めちゃくちゃ面白いです、それ!!
そして、自分の録音してきた音が、レフティさんの作品のなかに入るかもしれない!?
とってもワクワクするお話になってまいりました・・!
ということで、この続きは次回配信に持ち越しです。
さあ、わたしも(田舎の日本代表のような田舎に在住ですが)都会っぽい音を探しに出かけます・・♪
■環境音をサンプリングしよう
アレンジ配信延長戦、今回は前回チャットで参加してくださった、たるとさんもスタジオに来てくださいました。
前回の配信後、サロン内ではサロンメンバーの有志が様々な音を採取し、MP3ファイルをDiscordにUPしていました。
たるとさんがこの音源ファイルをDLし、DAWに落として一つずつ聞いていきます。
わたしも、環境音採取にチャレンジ、スマホのボイスメモを使って、駅のアナウンスや駅構内を歩く自分の足音などを録音していました。
歩いている足音だけなら、どんな田舎の駅でも分かりません(笑)
L「これどこの駅だろう?」
たるとさん「後ろのチャイムの音は田舎の駅っぽいなあ…」
L「(コメント欄見て)えー▲×!?全然渋谷じゃない〜(笑笑)」
たるとさんには、すぐにバレてました…!笑
レフティさんは"いいな"、"ここ使えそう"と思う音の部分をピックアップして次々に並べていきます。
ここから、クリエイターでキーボード奏者のマボちゃんこと北村真奈美さん(@shigmaicom)もチャットにご参加くださいました!
マボちゃんも実際の渋谷の環境音を採取されており、みんなでその音を聞きます。
たるとさんが前回ご要望だった「ギャルの声」もバッチリ入っていました!笑
ザワザワとした雑踏のなかには、車のクラクション電話の着信音、救急車のサイレン・・・たくさんの音が入っています。
集まった音源を短くカットして、前回のアレンジ回でリズムサンプラーを置いていた箇所を置き換えてみることに。
▲レフティさんが神的なスピードなので簡単に見えますが、曲のビートに合わせて細かく音の長さや位置を変えていく作業、とんでもなく難しそうなことを聴きながら瞬間的に判別しています・・・プロのこんな作業が見れるなんて貴重ですよね!
切り刻んだ音源を並べて流していくと、不思議なフレーズに聞こえてきます。
それぞれ個性的な音たちが曲に加わるとどうなるのか想像できなかったのですが、全体を聞くと不思議なことに馴染んでいました。
あのギャルの声はどこにいったんでしょうか・・?
そして、ゴチャついた音のリズムが加わることで、ザワザワとして落ち着かない雰囲気が醸し出され、いい意味でとても気持ち悪く狂気じみた独特なカッコよさがマシマシに…!!
そのほか、サロンメンバーが採取してきた電車の走る音やカラスの鳴き声なども採用。
このカラスの鳴き声がすごく効果的なんです!
1サビの「渋谷の喧騒」の後、2小節の間奏の「喧騒後の早朝」にいる一羽のカラス。
L「カラス、めちゃいいね。朝感がすごい!『すき屋寄って帰る?』みたいな」
カラスもこの曲の演奏者のひとり(一羽)ですね!(クレジットにも入るかな?)
■たるとさんのEQプチ講座
音源を切り取るときには、余分なノイズをカットして聴きやすい音にすることも欠かせません。
ここで、たるとさんの【EQプチ講座】の開設です〜!(拍手)
多くの楽曲のMIXをされているたるとさん、レフティさんのMIX作業を見ながら、解説を付け加えてくれます。
▲CubaseのEQ(イコライザー)プラグイン
▲LOW(低域)をカットしています
▲カットする曲線のカーブ(Q値)を変更。
ここでは、低域のノイズカットのためキツめの設定をしています。
■プリプロ完成!
アレンジ配信後編では、アウトロにもギターやシンセの音をいくつも加えていきました。
曲を聴きながらあっという間に色々な音を足していくのですが、様々な音とリズムのアイディアが次々に出てきて、とってもおもしろい…!
そして、スケッチのときから素敵だったピアノの音からは、まるで雑多な渋谷の街のなかに吹き抜ける風のような清涼感が感じられます。
明るくて高い空が見えてきそうです.。.☆.。.
そして、アレンジ回後編、2時間の作業でプリプロが完成しました~!
スケッチのときからはガラッと雰囲気が変わり、想像していなかったような斬新でカッコイイ曲に変身しました…!
アレンジ次第でこんなにも変わってしまうのかと、驚きです。
次回は、いよいよREC!
この曲のイメージにあうドラマーとギタリストが、曲を作っている途中でレフティさんの頭には思い浮かんでいました。
そして、この記事を書いている時点では、その方々をスタジオにお招きしてのREC生配信も実現しています!
とても貴重な様子を拝見することができました。その模様は、また後日こちらでもレポートしていきたいと思います。
様々なジャンルの作曲や編曲をされてこられたレフティさんご自身も「実験的な曲」と仰っている今回の曲ですが、特に今回は、サロンメンバーもサンプリング音源の採取という形で制作に参加をすることができたという点でも、特別な一曲になったと思います。
特別な音楽活動をしていなくても、全国のどこに住んでいても楽曲制作に関われる、オンラインサロンならではのスペシャルな体験ではないでしょうか?
そして、この記事を執筆している現在、サロンではさらにサロンメンバーが楽曲制作に関わっていく企画が進行中!
なんとなんと、レフティさんとサロンメンバーが、オンラインでコライト楽曲制作をしております・・!
このお話も近々ご紹介をしたいと思っております♪
♪゚゚+.・.。*゚♪゚゚+.・.。*゚♪゚゚+.・.。*゚♪
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text by スイ(CO-MUSICATION ROOM キュレーター)
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