北海道から牛乳を運ぶ船②
前ブログからの続きです。
前回は牛乳を積むタンクローリーに重点を置いて書きました。
今回は南東北・関東・甲信越向けの船と航路についてです。
①ほくれん丸・第2ほくれん丸(北海道釧路港ー茨城県日立港)
前回も紹介した船・航路で川崎近海汽船が運航するRO-RO船。主に北海道東部(道東)の生乳を、関東の牛乳工場へ運ぶタンクローリーを積載。釧路ー日立を20時間で結んでいます。関東・甲信越・静岡県の乳業メーカー工場へ輸送され、加工されています。関東に住んでいる方が店頭で見る北海道産牛乳の大半はこの船で運ばれています。(写真はホクレンHPより借用)
②太平洋フェリー(北海道苫小牧西港ー宮城県仙台港)
太平洋フェリーはいしかり・きそ(写真)・きたかみの3隻で運航。名古屋にも行きますが、北海道産の牛乳は滅多に苫小牧→名古屋では乗船しません。ほとんど仙台で下船。また牛乳を積んだタンクローリーは、ほくれん丸より台数は少な目で、主に南東北の乳業メーカー向けです。
太平洋フェリーで利用が多いのは、パック牛乳を関東へ向けて運ぶ写真の様なトラック(テーオー運輸HPより)。これは南東北(宮城・福島)や北関東(栃木・群馬・茨城)で途中降ろしながら、最終的に東京などへ向かう時に便利です。苫小牧西港は19時発なので、15時頃までに札幌やその周辺の工場から出荷すれば、翌朝10時に仙台着なので、その日の昼には南東北、夕方・夜には関東に行けます。
③商船三井フェリー(北海道苫小牧西港ー茨城県大洗港)
パンフレットには載っていませんが、北海道中央部と関東を直接結ぶフェリーといえば商船三井フェリーも見逃せません。タンクローリーはあまり乗りませんが、こちらにもパック牛乳を積んだトラックが多く乗船します。商船三井フェリーは夕方に出港する便と深夜に出港する便があります。関東や中部向けが多いですが、一部は大洗から西日本まで走るトラックも。またほくれん丸の様に道東だけでなく、道北など道内の幅広い地域で集荷・生産した牛乳を輸送しています。
④近海郵船/川崎近海汽船(北海道苫小牧西港ー茨城県常陸那珂港)
こちらもパンフレットに載っていませんが、商船三井フェリーの最大のライバルは、苫小牧西港と大洗に近い常陸那珂港を結ぶ近海郵船・川崎近海汽船共同運航のRO-RO船(写真は近海汽船まりも。近海郵船HPより借用)。こちらも牛乳タンクローリーは少なく、有人トラックがあまり乗れないので、トレーラーでの関東・甲信越などへのパック牛乳輸送が中心です。
⑤フェリーとRO-RO船の違い
フェリーとRO-RO船に共通なのは車両を積めるスペースがある事です。大きな違いは乗客定員と乗組員の数。フェリーは大きな船だと何百人もお客を乗せる事が出来ますが、レストランなどサービス部門の船員が多く必要です。一方RO-RO船は12人までしか乗客を乗せられません。12人も実質トラック運転手のみですし、乗客向けの食堂はないのでサービス部門の船員は不要。
また船の構造や安全設備でもフェリーの方が重装備になります。つまり人件費や船舶維持費はRO-RO船よりフェリーの方が高い、即ち運賃が高くなります。フェリーとRO-RO船との競争話は、また別の機会に詳しく書きます。
ここまでご覧くださり、ありがとうございました。次回は北海道から牛乳を西日本へ運ぶ船について書きます。
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