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のりたま物語 ハカセ師匠とのりたまくん 第六話 町中華で飲る

この物語は、フィクションです。


登場人物

ハカセ師匠 … 藝人、漫才師、のりたまくんの師匠

のりたまくん … ハカセ師匠の弟子

玉さん … 藝人、漫才師、ハカセの相棒


ハカセの相棒の玉さんが去ってから、ふらふらりと歩きながらお店を探した。

やがて一軒の、中華料理店に辿り着いた。
ハカセ師匠は、店の戸を開けた。

ガラガラガラ

ハカセ「二人ですけど、入れますか?」

店員「いらっしゃーい!大丈夫ですよー!」

のりたま「活気があるお店ですね!」

ハカセ「そうでしょ。ここの炒飯と餃子は美味しいよ。久しぶりで楽しみだなぁ。」

のりたま「ハカセ!ボクは、炒飯と餃子って書いたTシャツが欲しいくらい!炒飯と餃子が好きなんです!」

ハカセ「え?なんて!?なんか、大好きの表現が独特だなぁおい。まぁ、いいや。頼もうよ。」

のりたま「はい!!すいませーん!」

店員「はい!ご注文は?」

のりたま「炒飯と餃子と…ハカセは…おはぎ」

ハカセ「のりたまくん!?ボクも炒飯と餃子だよ。町中華で『おはぎ』は頼まないよ。」

のりたま「あ、さようですか〜。」

ハカセ「『さようですか?』…あ、店員さん、ごめんなさいね。この子、ちょっとおかしなところがあって。ボクも困ってるんですよ〜。」

店員「大丈夫ですよ!『おはぎ』を向かいの和菓子屋で買って来ましょうか?」

ハカセ「あ、結構ですぅー!炒飯と餃子を2人前でお願いしますぅー。」

店員「はい!お待ちくださーい!炒飯と餃子、2人前ぇー!おは…」

ハカセ「結構ですぅー!」

店員「おはぎはキャンセルぅー!」

厨房「あいよー!」

ハカセ「おいおい、厨房が返事してるけど、意味分かってんのかな…。のりたまくんが訳のわかんないこと言い出すからだよ!」

のりたま「申し訳ありません。町中華で炒飯と餃子がオススメと教えていただいた時に、『あ、ひょっとしてフリかな?』と思ってしまいまして…。」

ハカセ「のりたまくん…キミってやつは…………その場合は、自分の食べるものでボケなさい…。」

のりたま「それだと…ボクが食べられない可能性があるではないですか!」

ハカセ「このボケ!この!この!弟子か!?弟子で間違いないか!?確認が必要になって来たぞ〜!?」

のりたま「師匠!なにを言ってるんですか!私はですね!自らの手で!師匠に炒飯を、『あーん』と食べさせたい!という愛情からですね!このようなことをした訳でありまして!…」

ハカセ「ホントかね?」

のりたま「はい!」

ハカセ「………うん!気持ち悪い!シンプルにやだ!不味くなる!」

のりたま「くっそ!ハカセの餃子来たら、全部に穴、空けたろ!」

ハカセ「あ!のりたまくん!ちょっとそこに正座しなさい!」

のりたま「はい!」

ハカセ「師匠の、出来立ての餃子へのテンションを、目の前で下げる行為は禁止です!」

のりたま「はい!」

ハカセ「…ぷぷ!はっはっは!いゃあ、でも、こういうふざけた話しをしながらご飯を食べたりするの。相棒ともよくやったんだよなぁ。」

のりたま「そうですか! ハカセったら、さっきまで銭湯で一緒にいたのに、また会いたくなっちゃったんじゃないですかぁ〜?」

ハカセ「のりたまくん!師匠をからかっちゃいけないよ〜!でも、相棒だから、いつでも会いたいもんだけどね〜!」

バッ!!!
ハカセは警戒して振り返った!
…玉さんはいない。

のりたま「ハカセ?何やってるんですか?」

ハカセ「え?なんかこの展開は…その…玉ちゃんが登場しそうな感じがしたから…あはは、そんなわけないよね!」

のりたま「あはははははは!そんなことになったら、本当にすごいですね!!!!」

玉さん「あははははは!炒飯!餃子!お待ちぃー!」

のりたま「あははぁー!?」

ハカセ「お待ちって言うか。お待ちなすってー!なんで!?なんで!?」

玉さん「何でって、俺、町中華好きだからよー。メシ食おうと思って。ちょっと待ち時間にトイレ行ってたんだよ。」

ハカセ「うん。」

玉さん「そんで、トイレから出てきたら二人がいるからよー。なんか面白くなっちまって。大将にお願いして持って来たってわけよ!」

ハカセ「え?世間って、こんなに狭いの?最近の世間、狭くなった?」

玉さん「そういや、最近、ギュッ!となったな!年号も『圧縮』になったらしいぞ!」

ハカセ「『令和』だよ!『圧縮』なわけないだろ!」

玉さん「ホントなんだよ!年号発表した時に、額の真ん中に、ちっちゃく『圧縮』って書いてあってよ!…『圧縮』だけに圧縮してみました!って言ってたんだから!」

ハカセ「みなさーん!選挙行ってくださーい!日本がアホだと思われますよー!って、そんなわけないだろ!」

のりたま「ブハハハハハハ!」

他のお客さん「あっはっはっはっは!最高だなぁー!」

夜は更けていく…

お客さん達「いやぁー。いいお酒だったよ!ありがとーう!!!」

ハカセ「はーい。こちらこそー。」
玉さん「はいよー。」

玉さん「じゃあ、ハカセ、また今度、ちゃんと話そうなー。なんか、今日この話、何回もしてるな!あはは!」

ハカセ「そうだね。でも、ホント楽しかったよ。ちゃんと話そう!よろしく!」

ガシっ!

ハカセと玉さんは、ガッチリと握手をした。

玉さんは帰って行った。

玉さん「またなー。」

のりたま「玉さん、またー!また、近いうちにー!」

ハカセ「またなー。…。」

ハカセは、玉ちゃんの後ろ姿を見ながら拳をグッと握った。

確かな手応えを感じていたのだ。


ハカセ師匠とのりたまくん
第七話へ つづく


エンディングテーマソング

アサヤン
KeepWalking
作詞 のりたま
作曲 のりたま

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