【のりたま物語】 のりたま、かけたら 7ふり目
この物語は、主人公の のりたまくん の日常を描いているフィクションです。
一年後
のりたま「お世話になりました。」
看守「もうこんなところ来るんじゃないぞ!」
のりたま「はい。…でも、『こんなところ』って言うほどのところでは無かったですよ。凄くいいところでした。みなさん優しくて、ご飯も入る前よりもバランスの取れたいい食事ができまして。あー。ここに住みたいなぁ〜。なんつって。それでね。…」
看守「もういい!もういい!早く帰れよ!ちょっとした決まりごとみたいなやつだよ!挨拶みたいなもんだから!」
のりたま「あぁ、そうでしたか…。じゃあ、また!」
看守「『また』は無い方がいいの!!」
のりたま「あ、そうでした。失礼しますぅー。」
のりたまくんが住んでいたアパートは解約されており、家財も処分されていた。
のりたまくんは、法務省や地域包括支援センターなどで相談して、新しいアパートに住むことになった。
場所は、また松戸にした。
のりたま「ふぅ。シャバの空気は良いなぁ。…これ、一回言ってみたかったんだよねぇ。」
古っ!昭和ドラマの出所風景じゃ!
のりたま「うーん。シャバシャバしてるね!」
なにを言うとんねん!
てくてく てくてく
のりたま「んーっと。ここかな。」
のりたまくんは新しい自宅にたどり着いた。
のりたま「なかなか良いところだ。まずは鍋を買わなきゃ。」
のりたまくんは早速買い物に出掛けて、鍋を買って来た。
お金は出所前に支援団体から貸付を受けて用意したのだった。
こんな細かい情報を知ることができるこの物語は…。
教科書にした方が良いのだ!
のりたま「よーし!炊くぞー!…どーも。ご飯炊く蔵です!」
独り言だとしても酷いぞ。
のりたまくんは、買って来た鍋で、じっくりとご飯を炊いた。
鍋でご飯を炊いた方が、おこげが出来たりして美味しいらしい。
のりたま「よし。じゃあ、ご飯が炊けるまでの間、刑務所で考えたアレの練習をするか。」
お?
何だろう。
のりたま「どうもどうもお楽しみ頂戴。さて、今日はですね、皆さんの大好物、ご飯のお供といえば何ですか?そう、…」
どうした!?どうした!?
急にどうしたんだ!?のりたまくん!
これは、何?
しばらくして、ご飯が炊けた。
のりたまくんは、その間ずっと練習をしていた。
のりたま「よーし!炊けたぞー!」
のりたまくんは、お茶碗に炊き立てのご飯を装って(よそって)座った。
白いごはんにパラパラと、丸美屋ののりたまをかけた。
のりたま「いただきます。」
一口食べてモグモグ。
じっくりと味わった。
のりたま「…美味すぎる…。」
のりたまくんは、笑顔になった。
ポロポロと涙を流しながら二口、三口と味わった。
のりたま「よし、追いのりたまをしよう。」
あー!それ、贅沢だなぁ〜。
のりたま「最高だ。このために一年頑張ったんだもん。」
のりたまくん…。
よく頑張ったね。
のりたまくんは、お茶碗一杯分の『のりたま ごはん』を食べ終えた。
のりたま「ふぅー。ごちそうさまでした。よし、じゃあ行くか。」
のりたまくんは立ち上がり、何処かに向かうようだ。
歩き始めたのりたまくん。
歩きながらまた、何かの練習をしているようだ、ずっとボソボソ喋っている。
のりたま「さて、ここ、ここ。懐かしいなぁ。」
たどり着いたのは、松戸駅前だった。
そこに台座を置いて座布団を敷いた。
座布団に正座した のりたまくんは、すぅーっと深呼吸をして話し出した。
のりたま「はいどうも、皆様、ご清聴ありがとうございます。さて、今日はですね、皆さん大好きなご飯のお供、そう、ふりかけの話でもしましょうか。ふりかけといえば、やっぱり外せないのが、丸美屋ののりたまじゃありませんか。子供の頃から慣れ親しんだ味、あの香ばしい香り、ついついご飯が進んじゃうんですよね。今日はですね、そんな丸美屋ののりたまを題材にした、ちょっと変わった噺を一つお話ししましょう。」
どうした?どうした?
何か始まったよ!
なんだこれ?
あ!あれか!落語ですか?
え?これを刑務所で練習してたの?
凄いな!
凄いアホだな!
さぁ、果たして、どんな落語なのか?
次回のお楽しみとなります。
エンディングテーマ
KeepWalking
のりたま
作詞 のりたま
作曲 のりたま