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【のりたま物語】 のりたま、かけたら 五ふり目

この物語は、主人公の のりたまくん の日常を描いているフィクションです。


のりたま「ぼーーーーー。」

 のりたまくんは、ぼーっとしている。
 そりゃそうだ。
 小学校低学年の男の子に、のりたまごはんをご馳走しただけなのに、誘拐で逮捕されたんだから。
 それにしても、『ぼー。』って言葉に出すもんじゃないよね。
 何も考えてない様子を表す言葉かな?と思ってたわ。
 勉強になりました。ありがとう!こんにゃろ!

のりたま「1年か。まぁまぁ、長いな。」

 のりたまくんは、警察に捕まり、ちゃんと訴えられて罪を問われた。
 ただ、理由がよく分からないこともあり、執行猶予付きで出してもらえるかと思いきや、向こうの弁護士さんが優秀で、1年間、刑務所に入ることになったのだ。」

のりたま「1年間、ボクは『丸美屋ののりたま』の為に何が出来るんだ。」

 え?どうした〜?
 悩んでた様子だったけど、悩みってそれ?
 悩むな!そんな事で!
 ちゃんと刑務所でもやることあるから!

のりたま「…よし!そうだ!これだ!」

 あぁ、あぁ、何か思いついちゃったよ。
 どうせ、ロクなことじゃないですよ〜。

のりたま「明日から練習だ!…いや、今日からだ!」

 のりたまくんは、何かを特訓する事を思いついたようだ。


 一方その頃、小さいのりたまくんは、

小さいのりたま「どーもー。ありがとうございますー。どーもー。」

近所のおばちゃんA「きゃー!可愛いー!」
近所のおばちゃんB「大変だったわねー!」

小さいのりたま「はいー。怖かったけど、僕が機転を効かせて犯人に『のりたまごはん』を食べさせてあげたんです。そしたら、事なきを得ましてぇー。」

近所のおばちゃんA「凄いわねー!偉かったわねー!」

 小さいのりたまくんは、近所の人気者になっていた。

小さいのりたま「いえいえ。そんなことはありませんよ。でも、のりたまは買ってくださいね。」

近所のおばちゃんB「きゃー!買う!買うー!」

小さいのりたま(ふっふっふ。僕こそが、本当ののりたまなんだ。みんな、僕にキャーキャー言ってるじゃないか。どうだ!偽のりたま!)

 悪い子だなぁ。
 小さいのりたまくん!良くないぞ!
 ところでその『本物ののりたま』って何なの?

 小さいのりたまくんは家に帰って行った。

小さいのりたま「ただいまー。」

お母さん「おかえりなさい!」
お父さん「おかえりー!」

 小さいのりたまくんの両親は、小さいのりたまくんの事が大好きな様子だ。

お母さん「ご飯食べる?」

小さいのりたま「…んー。うん。」

 何だか様子がおかしい小さいのりたまくん。

お母さん「はい。白いごはんとお味噌汁と…」

小さいのりたま「ふりかけ!…ふりかけは買って来てくれた?」

お母さん「あぁ!ふりかけね!もうね!のりたまのふりかけって言うもんだから…」

小さいのりたま「うん!」

お母さん「お母さん、頑張って手作りしちゃったわよー!嬉しいでしょー!?」

小さいのりたま「…また?また作ったの?」

お母さん「うん。その方が栄養があると思ってー!」

小さいのりたま「…いや、丸美屋ののりたまは、そんなんじゃなくて…」

お母さん「でもねぇ。お母さんが作った方がー。」

小さいのりたま「あー。もう、いいよ。はいはい。食べる食べる。」

お母さん「なによ、それー。」

お父さん「おい!玄米!お母さんに失礼だぞ!」

 え?ちょっと待って?
 小さいのりたまくんの本当の名前って、
 『玄米』なの?
 白ごはんでもないじゃん!
 嘘だろオイ!

玄米「…ごめん。白ごはんに『丸美屋ののりたま』をかけて食べたかったもんだから。つい。」

 玄米が、白ごはんに『丸美屋ののりたま』かけて食べたい言うてますよー!
 ややこしいなー!
 精米しろ!
 言うてる場合かぁー!

お母さん「まぁまぁ、食べてみてよ!お母さんの手作りのりたま!」

玄米「…うん。」

 玄米は、白ごはんにお母さんの手作りのりたまをかけて食べてみた。

玄米「パクっ。………。」

お母さん「どう?」

玄米「うん。なんか、こう。『のり』が『たま』してないって言うか…。」

お母さん「は?」

お父さん「おまえは何を言ってるんだ?」

玄米「自分でも何言ってるか分からないよ!でも、ちょっと前に言われたことの意味が今ごろ伝わって来たわ!」

お父さん「何の話をしてるんだ?」

玄米「何の話か分からなくて良いやつだよ!」

お父さん「そうか…。それならいいんだが。」

お母さん「いいの?」

玄米「ちょっと疲れてるみたいだ!もう休むね!ごちそうさま!」

 玄米は、自分の部屋にかけて行った。

お父さん「あ!玄米!ちゃんと精米…あ、お風呂に入れよ!」

お母さん「お父さん…やりがちよね。」

 そんな訳ないだろ!

 玄米は、部屋に入ってため息をついた。

玄米「はぁー。まただよ。また食べれなかった。丸美屋ののりたま。」

 どうやら、玄米は家で『丸美屋ののりたま』をなかなか食べることができないらしい。
 可哀想に。

玄米「くそ!アイツが戻ってくるまでの間に、僕が『本物ののりたま』になるんだ!負けたくない!」

 …あ、あれに?
 だいぶ変な人だよ?
 キミ、すごい感性の持ち主だね!
 たぶん、もう勝ってるわ!

玄米「絶対に勝ってやる!っしゃあ!」

 玄米は腕立て伏せを始めた。

玄米「いーち!あ!攣った!」

 ……おー。負けてるわ…。
 逆に凄いよ。

玄米「くそっ!ほぐさなきゃ!腕をぶらぶらさせればいいのか!?」

 ぶらぶら!ぶらぶら!

玄米「うわ!なんか!空を飛べそうな気がする!ちょっとジャンプしてみよ。あ!バランス取りづらくていつもより飛べない!くっそ!」

 ずぅーーーっと、何してんの?
 『丸美屋ののりたま』を好きな人は、イタイとおもわれるでしょ?
 もう喋るな!

 こうして、小さなのりたまくんの本名が「玄米」と判明したのだった。

 玄米くんは、どうして『本物ののりたま』になりたいのか。
 謎は深まるばかりだ!
 そして、
 「その謎がどうしてなのかを解明したいですか?」
 と問われれば。
 「いや、全然そんなことないですよ!」
 と!
 そんな感じだ!


のりたま、かけたら
五ふり目 完食


#のりたま事件簿 #奇想天外な日常 #笑えるショートストーリー #のりたま愛が止まらない

エンディングテーマ

KeepWalking
のりたま
作詞のりたま
作曲のりたま

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