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ジョン・ケージ John Cage, Savaria Symphony Orc "Thirty Pieces For Five Orchestras" / "Music For Piano"

Tracklist
A Thirty Pieces For Five Orchestras 29:54   B Music For Piano - Nos 4-19, 21-84 28:20   Adapted By [Realization By] – Wilheim András*
Credit
Recorded At – Hungaroton Studio
Recorded At – Szombathelyi Művelődési- És Sportközpont
Composed By – John Cage
Conductor [1st Orchestra] – László Tihanyi (tracks: A)
Conductor [2nd Orchestra] – Dieter Kempe (tracks: A)
Conductor [3rd Orchestra] – Zsolt Serei (tracks: A)
Conductor [4th Orchestra] – Katalin Doman (tracks: A)
Conductor [5th Orchestra] – Mark Foster (5) (tracks: A)
Leader, Music Director – Peter Eötvös (tracks: A)
Orchestra – Savaria Symphony Orchestra (tracks: A)
Piano – András Wilheim (tracks: B (Nos 21-36)), Barnabás Dukay (tracks: B (Nos 69-84)), László Sáry (tracks: B (Nos 53-68)), László Vidovszky (tracks: B (Nos 37-52)), Zoltán Jeney (tracks: B (Nos 4-19))
Producer – András Wilheim, Peter Eötvös
Engineer [Balance Engineer] – István Zakariás
A co-production of Bartók Festival, Szombathely and Hungaroton.

Discog

前回シュトックハウゼンだったので、この機会にジョン・ケージ。
このB面"Music For Piano"が個人的なケージ音楽の一押しトラックである。

レコードを買って聴く身として、まあそんなものはないが、たとえば「4分33秒がバージョン違いで8曲入っている」と言われても買わないと思う。コンセプトは理解するし、たとえばコンサートに出掛けて行って「4分33秒」があってもそれはそれで良い。だがレコードとなると…まあ一曲入っているだけなら許しているわけだが…

同様にチャンス・オペレーションでできた曲に関してもコンセプトは理解するが、それを楽しめるものとして購入するか?は別の問題である。購入する以上、環境音楽的な用途、瞑想用など、なんらかの機能を求めて納得したくなる。

このB面"Music For Piano"はそのような「コンセプトは理解するが…」というような態度を超越する。チャンス・オペレーションのピアノ音楽は「人智を超えた響きに、音楽になる」ということをこのトラックがまさに体現しているからである。

蓋の開いた5台のピアノに空から何かがバラバラと降ってきてぶつかり音を出す…というとニュアンスがズレるが、雨垂れを聴いているようなランダムさでピアノが演奏されるのである。ぼくはこのような表現は嫌いなのだが、わかりやすさのために敢えて例えると「神様がピアノを弾くとこんな風なのではないか?」ということを想起させる音楽なのだ。

ここでは、ピアノであること、鳴っている音が「楽音」=「周期性のある波動」であることが重要である。自然音では慣れ親しんでいるランダムさが、ピアノの音で表現されると「こうなる」ということを、我々は知らなかったのだが、それを大変説得力のある形で聴かせてくれるのである。

ケージのピアノ曲に関して、84曲あってうち4曲は単独曲、残りの80曲は16曲づつ5つのグループに分かれていて、そのグループ内で演奏する順番は任意で良いことになってる…などの説明は他に譲りたいのだが、まあそういうことで、今回はこの5つのグループを5人の演奏家が5台のピアノで同時に演奏する、という試みがなされた。

素晴らしい結果が録音されていると思う。

ケージでは他にダンス用のプリペアード・ピアノ曲「バッカナル」も好きだが、なんといってもこのトラックがおすすめです。

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