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Buen Camino! 『Day4: Pontevedraへ』
2023.4.19-30 のCamino ポルトガルルート(Vigo起点)についての記事をまとめています。
スペイン語が話せない私の、気ままな一人珍道中。Camino Familyとの出会いと経験で、人生を見つめ直すお話です。
ここまでの旅 Buen Camino!レッツトランジション
決意
Day1: ポルトへ
Day2: スタートポイントVigoへ
Day3 Redondelaへ
Day4: Pontevedraへ
ホテルに一人きりの朝
まだ真っ暗な時間、ゴトゴトする音が聞こえて、なんとなく意識が覚めたが、体はまだ目覚めない。
昨晩、このホテルには私一人ということは、昨晩深夜時点で確認済みだ。
「なんの音だろうか・・・」
まだ眠たい重たい体を起こして、ドアを開け、確認する勇気はないので、素敵な想像をすることにする。
「きっと、オーナー。出勤前に、様子を見に来たのかもしれない」「きっと、そうだ」
と、いうことにして、まだすぐそばにある睡魔を呼び出して、再び眠りにつく。
しばらくして真っ暗な朝6時、ようやくしっかりと目覚めた。
部屋を出て、朝の『ゴトゴト』の理由を探そうとした。やはり人気はどこにもない。一人静かに、朝食会場の冷蔵庫を開けて、スーパーによくあるハムとチーズを確認する。
ハムは開封済み2パック、チーズは開封済1パック。
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チーズ開封済パックには一枚が乾いた状態で入っていた。ハムは開封済みで、まだ数枚入っているが、色が変わっていた。
どちらもいつ開けたものなのかわからないので、フードロスか、はたまた腹痛かと天秤にかけた。決断し、まだ開封されていないチーズのパックを開けて食べる。ここでお腹を壊すわけにはいかない。
「ごめんなさい」と心で謝りつつ。
トーストを2枚焼き、チーズを乗せて食べる。
コーヒーは六杯分くらいがセットされていたので、コーヒーマシーンをオンにしてドリップしていただく。かなり濃いコーヒーだがなかなか美味しい。
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さっきのゴトゴトはオーナーがこれをセットしに来たのかもしれない。そんなことを思いながらコーヒーをたっぷりいただく。
一人っきりのホテルの中で、ご馳走様の挨拶をした。大きな荷物を受付のカウンター前に残して、8時前に出発することにする。
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Redondelaを出発
自室の部屋を片付けて、部屋のドアは到着時と同じように開けて、ホテルの玄関で今日のスタンプを押して、ホテルの玄関のの鍵を閉めて、ホテルと部屋の鍵を鍵ロッカーに納めて出発する。
今日の天気予報では、途中から雨が降るらしい。
ポンチョとレインパンツを手持ちのリュックに入れて出発。昨日散策したカミーノの道を目指して歩く。
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60代と思われる男性4人組と、追い越したり追い越されたり。静かな追っかけっこをしながら共に歩く。
微妙に私のペースが早いので、すぐに追い越すけれど、ちょっと足を止めて写真を撮っているうちに、すぐに追い越される。
何度も追い越し追い越されているうちに、「Buen Camino!」と言いつつ、「ハッハーン、追いついたよお先に行くね!」的なお互いのゼスチャーのやり取りが始まる。
しばらく会わず、時間をおいて会うと、お互いに「見つけた!」と言う感じになる。名前も知らない、どこから来たとも知らない四人の男性と詳しい話を聞かないまま、「Buen Camino!」のすれ違いの挨拶以外の言葉を交わさないまま、バディー的に歩く仲間になった。これが昨日クレアが言っていた 「一人でも一人じゃない」のカミーノファミリーのつながりなのだろう。
街と街の間は、山というには大袈裟すぎる丘を越える。
街を出て、自然道に入り、どんどん坂を登る
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丘を越えると、国道沿いに出るが、また小道に入れと黄色い矢印が言うので、その通りに進む。
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昨日の道よりも、今日の道の方が、黄色の矢印が凝っている。
右にいけ、左に行けと指図される。
古い石造りの橋 Ponte Medieval de Pontesampaio に到着。バスが通ると、通行人が立っていられない。ギリギリをバスと車と人が行き来する。
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街を抜け、また自然の道に入り、今度は小山と言って許されるだろうと思われる坂をぐんぐん登る。
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しばらく登り、そしてまた黄色い矢印の通りに下ると、新しい街がひらけてきた。葡萄畑街広がっている。
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途中、教会でスタンプをもらっていると雨がザーザーになり、教会の中でレインパンツを履いたり、ポンチョを着る。教会に立ち寄っているタイミングで雨なんて、濡れずに雨支度ができて、神様のご加護だわなんて思いながら、「ありがとう」とお礼をする。
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雨の中のカミーノはきっと悲劇だろうと思っていたけれどそうでもない。想像では悲壮感に溢れると思っていたけれど、晴れていても雨でも変わらない。ただ黄色い矢印を目指して黙々と歩くだけ。何も変わらない。
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雨でも晴れでも次の黄色い矢印を見つけると、とにかくホッとする。「あぁちゃんとルートにいるんだわ」と。
目的地まで残り1時間のところで、『どちらでもどうぞ♪』ルートが登場した。
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「どっちでもいいよと言われても…」書いているスペイン語を翻訳するとどうやら『短縮ルート』と『うねうねした時間のかかるオリジナルルート』らしい。
私の後から来たグループは、迷うことなく『右』、迷うことなく『左』と、それぞれグループ内で目配せしながら分かれていく。
一人は「こっちでいいよねー」なんて合意を得られる仲間がいない寂しさを少し感じる。
二つに分かれた矢印の前で、スマホ片手に、じっと立ち尽くし、翻訳作業をしている私の姿を誰かが写真に撮ってくれていたら、その寂しそうな雰囲気が伝わるいい思い出写真となっただろう。
しばらく考えて、「当然オリジナルでしょう」と自分自身に返答し、清らかなはずだが、雨で泥水になってしまっている小川沿いのルートをうねうね進む。雨に濡れた木々が綺麗だなーとか思っていたが、だんだんその小川沿いのウネウネ道は水浸しになっていく。
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進んでも進んでも小川の脇のウネウネルート。初めの頃は「綺麗ー」なんて写真を撮っていたが、あまりに長いので、どの写真も同じような写真が続く。「これ、まだ続く?」と思い始め、1時間を過ぎて完全に飽きてきた頃、ようやく土砂降りの雨の中、ポンテベドラに到着した。
ポンテべドラの街散策
ポンテベドラは大雨。
13:00にホテル着。受付をして、すでに届いている大きなリュックを受け取り、部屋に入る。
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部屋に入り、一息休憩したが、まだまだしとしとと雨が降っている。
「このままホテルにいるのもね・・・。でも雨だしね・・・」どうしようかと思ったけれど、歩いて15分先のオールドタウンへ出かけることにする。
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街中をウロウロ歩く。チョコレートカフェなるものがありGoogleの写真ではとても美味しそうなので、コーヒーとパンケーキをすると、先に出されるコーヒーにケーキがついてきた。「私が頼んだのこのケーキじゃないよ」と伝えると「どうぞ」という。押し売りかと思い「パンケーキ頼んだからいらないよ」と伝えると「タダだから食べられなかったら残してね」という。 この日まで、ホテルの部屋や朝食会場でコーヒーを飲むことはあったが、コーヒー単品をオーダーすることがなかったので知らなかった。この国のお安い美味しいコーヒーには甘いお菓子がついてくる素敵なサービスがある事を!!そしてすぐに悔やむ。「なぜ、私は、パンケーキを頼んでしまったのだろうか」と。
甘いパンケーキには甘いチョコレートソースがしっかりかかっていて、薄口な私には耐えきれないほど甘い。
残すこと自体が申し訳ないけれど、甘さに耐えきれず残してしまう。
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お支払いは €5.2。 コーヒーだけなら€1.4。€1.4に大ぶりなケーキがしっかりついて、とてつもなく安いではないか!!と感動する。
近くにある教会に入る。教会には、雨の中巡礼者がスタンプをもらって並んでいた。私も並ぶ。「1ユーロで塔の上に上がれるわよ」と言われて1ユーロ払い、塔の上に上がる。毎年の季節毎に衣装を変える聖マグノリア?の写真を眺め上から会堂を見渡す。
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クリスチャンホームで育ち、旅先では必ず古いカトリック教会を訪れ、ミッションスクールに通ったせいか、教会に入ると無性に懐かしい雰囲気に浸る。雨がしとしと降る梅雨の時期は湿気た木の椅子の背もたれがセーラーの襟にあたり茶色のシミになりやすい。そのため、雨が降る日の朝礼拝はセーラーの襟を持ち上げて背もたれが襟の裏側に当たるようにはらりと襟を持ち上げていたな…なんて、独特の湿気た木が発する匂いに誘われて、すっかり忘れていた記憶が蘇る。
解説がうんぬん書いているが、全てスペイン語のため読み取れない。
なんのための季節ごとの衣装かは全くわからないが、とりあえず、色々眺めてお祈りして教会を出る。
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教会の向かいのパン屋さんが、絵本に出てきそうな美味しそうなパン屋さんで思わず吸い込まれるように入る。
Googleマップには出てこないパン屋さんだが、なんとなく陳列が美味しそう。お客さんもどんどん入っていく。英語が通じないので「ウーノ…」と言ってからハムチーズバゲットサンドを指差して購入する。金額が幾らかと言われたか聞き取れずあやふやなので、€10を差し出してお釣りをもらう作戦とした。お釣りの金額から、商品の金額を確認する。
店内を写真を撮ってもいいかと英語で聞いたが、私の写真を撮ってくれと言われたと思ったようで怪訝な顔。店内全体に手のひらを回して「Photo Photo?」と言うと納得したように、どうぞのゼスチャーをして、写真に入らないように奥へ下がってくれた。
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雨の中、再び街をうろうろ。
Googleマップで出てきた、かなりの高評価カフェに立ち寄ってみようかと、小道を抜けてお店の前に行ってみた。大勢の若者が集っており、おばさんな私は気が引けて入店を諦める。
なんかあったかいものが食べたいんだよね…。
そう思いながら歩いていると、人影少ないカフェを発見。ここなら落ち着けそうだと中に入る。
言語を超えた出会い
カウンターの席しか空いておらず、そこに座るとメニューが出てきた。「英語のメニューある?」と聞くと、私の顔をただただ凝視する。「イングレス?(英語は?)」とメニューを差していうと、手を大きく振りながらノーのゼスチャー。
そのカフェの、Googleマップのサイトに掲示されている料理の写真を探す…。
豆スープのようなものがあり、「ウーノ」と言いながらそれを指す。
多分「今日はまだあるよラッキーだね」または「最後の一杯だよラッキーだね」なんて言ってるのだと思う。笑顔でよかったねよかったねなんて表情をする。「only today?」と聞くとそうだそうだと首を振りうなづく。多分正しい会話はできていると思う。
ものすごくニコニコしながら用意してくれる。スープを待ってる間、奥の窓沿いのテーブルが開いた。「あそこに座ってもいい?」英語でいいながらゼスチャーで伝える。私がしたのと同じゼスチャーでスペイン語で何かを返答してくれた。「移りたいの?」と聞いているようだ。多分通じたのだろうと信じて、「シーシー(YesYes)」という。
そうすると、彼女が、私のワインとフォークをテーブルに移してくれ、どうぞとイスを引いてくれる。
「グラシアス」と伝えて席に着く。
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私の服装と靴でカミーノということはバレバレのようだ。
隣の席の元気そうな女性が私に話しかけてくる。もちろんスペイン語だ。英語でスペイン語が話せないと伝えてもスペイン語で話しかけてくる。手をばつにして「エスパニョール」と言い、首を横に振る。それでも話しかけてくる。まるで「いつかわかるようになるから安心して」なんて感じでずっと笑顔で話しかけてくれる。
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本当のところ全くわからないけれど。なんとなくわかる感じもしなくない。とにかくわかることは「カミーノできたのね、大歓迎よ!雨の中大変だったわね!」と言っている感じは受け取れる。
ちょうどカウンターの女性が交代し、英語が話せる女性になった。テーブル席の女性が通訳してと彼女にリクエストする。
どこからきたの?どこの国からきたの?どこからあるいているの?など、一通り通訳してもらいながら会話をする。カウンターの女性が仕事をしている間は引き続きスペイン語でにこやかに話しかけてくる。
次第に、わかりもしないのに、なんだかわかる気がするから不思議だ。
多分・・・。私の言語を超えたコミニュケーション能力でキャッチする。ガルシアの文化には、ローマ、ギリシャ、ケルト…いろんな国の文化が混じっていてガルシア語なるものがあるらしい。多分そんな話をしてくれた。カウンターの女性が手が空くと、通訳をしてくれる。こんなこと言っていたけど?あってる?と聞くと、だいたいあっていると言い、「スペイン語本当にわからないの?なんでわかるの?」と驚いていた。
そんなこんなで、ほとんどスペイン語オンリー、時々通訳付きの、スペイン語&ガルシア語講座が始まる。
一生懸命に私に言葉を教えてくれている。雨はスペイン語では〇〇というが、ガルシア語は△△と言う。と、もはや覚えていないが、その時は理解した気がした。
途中『カント』と何度も聞こえるので、
『カント?』ってどういう意味というつもりで「カント」と聞くと、
女性が歌い出した。とても上手。さらにダンスもし始めて、思わず手拍子で支える。
歌が終わったら大拍手をする。カントは歌だったと、高校の音楽の授業を思い出しつつ拍手をする。
とても歌がうまい!すごくうまいね!!と散々褒めると、ダンス混じりのショーというべき歌とダンスが始まる。もうノリノリだ。
お店の中はもちろん、歌声が通りまで届き、私の隣席のカミーノらしき女性がスペイン語で話しかけてくる。そして英語で私へも話しかける。「楽しそうね」と。スペイン語が喋れるのかと聞くと、子供の頃習った簡単なスペイン語なら話せるとのこと。彼女もカミーノでここにやってきた。
通りからまた別の一人の女性が「歌がすごくて!吸い込まれたわ!」と英語で言いながら入ってきた。彼女もカミーノ。
歌とダンスで、新たな二人のカミーノフレンドに繋がる。
隣席の女性はアメリカユタからやってきたKris, 通りからやってきたのはニュージーランドのColette.
歌を歌っていたのはCristina 英語が使えるウエイトレスはSandra. お店の常連Cristinaはピアノの大学教授。通りで歌が半端なく素晴らしいのだと理解した。こんなに陽気な教授から学ぶピアノはさぞかし楽しいだろうと思う。彼女は女性のオーケストラ団体を支援していたり、さまざまな活動をしている。
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Cristina, Collete, Krisと私の4人でテーブルを囲み、おしゃべりが始まる。
英語とスペイン語が混じり、共通言語ゼスチャーで楽しくおしゃべりをする。
何を話したのか・・・
カミーノに来たこと、カミーノ旅の定番足の水脹れ武勇伝、音楽の話、お酒の話、ガルシア地方の話、料理の話。。。とにかくとにかく4人の話が楽しい。
多分英語になると、Cristinaは半分以下の理解だろう。スペイン語となると私とColleteは1/4の理解だろう。通訳しあったりしないのに、なぜか通じるから面白い。そして動画をたくさん撮った。母国の乾杯を自分たちの国の発音で乾杯の発声をするだとか、本当に子供ぽい事だが、ずっと知り合っていたかのようなつながりを感じる4人の時間だった。
4時間経った頃、土砂降りだった雨も止み、青空が出てきた。ちょっと差し込む太陽の光でなんとも気持ちのいい夕方の雰囲気だが、すでに夜8時。
これからピアノを弾くから我が家で飲まないか?と誘うCristinaへ、感謝の気持ちを伝え明日も早いからとお別れをしてお店を後にする。
FaceBookで繋がり、「来年もここにくるの?」と聞かれた。来たいけど来れるかなぁ? 「じゃぁ、きたら電話して!今度は私のお家に泊まってね!」と言ってくれる。でも電話で私はスペイン語を話せるのだろうか・・・と思いつつ、「うん!ここにきたら泊めてね!」と約束をする。
お店に入ってすぐに頼んだおつまみタパスは無料のものだったらしく、Cristinaが差し入れしてくれたオムレツでお腹を満たし、4時間もいたのに、楽しい時間だったのに、お支払いは白ワイン3杯分!
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感動しながら、晴れ上がった空に感謝しながら、ホテルへ15分歩いて帰る。
ホテルにつき、泥だらけになったレインパンツやポンチョをシャワーで洗い、洗濯物をして、シャワーを浴びて一息。
外はようやく日暮の風景になる。
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少しお腹が空いたので、街で買ったサンドイッチをほうばる。
今日は本当に本当に素敵な1日だった。
明日の朝は晴れるかな?!
天気予報を気にしながら今日はひとりぼっちではないと言う安心感のもと、ぐっすり眠りについた。
Camino ウォーキングタイム 8:00-13:00
Day6 へつづく
Buen Camino! レッツトランジション
決意
Day1: ポルトへ
Day2: スタートポイントVigoへ
Day3 Redondelaへ
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