"使ってもらえる"ツールを作る技術 - 開発のヒント

「どうすれば自分が開発したツールが、もっと多くの人に使ってもらえるんだろう?」

エンジニアとしてコードを書くのは好きだし、技術的な挑戦も面白い。でも、ユーザーが増えてフィードバックが返ってきて、どんどん良い方向に改善できる――そんなサイクルをまわすための最初の“当たり”をどうやって引き寄せるのか、日々考え続けています。

過去に僕が在籍していたビッグベンチャーでは、新卒でいきなりヒットゲームを出して一気に注目を浴びた人たちを見てきました。
ところが、その後も連続でヒットを出せる人って、本当にごくわずか。
でも逆に、まるで当たり前のように、別のジャンルでもバンバン結果を出すクリエイターもいる。その違いは何なのか?
この経験や考えを整理しながら、どうやってヒットを生み、ユーザーを増やしていけるのか、あらためて考えてみたいと思います。

僕自身が悩み抜いて出したヒントのようなものを、この記事で共有します。


ヒットは再現できるのか?

僕がいたビッグベンチャーでは、一度大ヒットを飛ばした人がその後も順調に成功できるとは限りませんでした。
むしろ、一発屋で終わってしまうケースをたくさん目にしたんです。
市場の流れやユーザーの嗜好は常に変わるし、競合は増える。運も関わってくるから、同じ手法が二度三度と通用するわけじゃない。

でも、それでも再現的にヒットさせる人は存在しました。
特別な魔法でも使っているのかと不思議になるほど、違うテーマやプロダクトでもユーザーを巻き込み続ける人がいたんです。
たぶん、その人たちは、「運」に頼るだけじゃなく、運が来たときにしっかり掴める“土台”を普段から鍛えているんだと思います。


僕なりに見えてきた「作り込む力」と「作りきる力」

そう考えて見えてきたのが、「作り込む力」と「作りきる力」という2つのキーワード。

作り込む力

単にコードを書くだけじゃなく、ユーザーが最初に触れる瞬間に感じるハードルを下げたり、「これ、便利かも」と思うための仕掛けを丁寧に盛り込んだりする力です。

最初の5分で分かる魅力:たとえばデータ解析ツールなら、初回起動時にガイドが表示されて、すぐにサンプルデータを試せて、「結果を可視化してみたらすぐ価値が分かる」状態にしておく。
独自性や差別化ポイントを明確にする:同様のツールが世に溢れている中で、なぜこれを選ぶのかが一目で分かる工夫。UIの一工夫や、ワークフローを劇的に簡略化するなど、「ここ、気が利くな」と感じさせたい。

作りきる力

そしてもう一つが「作りきる力」。
リリースまで突き抜ける粘り強さ:アイデアを思いつく段階は楽しいんだけど、テストやドキュメント整備、細かなバグ修正は地味で苦しい。でもここで投げ出さずに踏ん張ることで、最初に触れるユーザーが離れずに使い続けてくれます。
完璧主義を脱して出す勇気:完璧な完成度を求めてリリースを先延ばしにしすぎると、市場のチャンスを逃します。“今の自分が出せるベスト”を見極めて、ユーザーにフィードバックをもらいながら改善していく流れを作ることが大切だと気づかされました。


運を呼び込む下地づくり

運は不確実だけど、それを呼び込む土壌は作れます。
僕が見た「連続して当てられる人」は、常にユーザー目線で試行錯誤し、改善を続けていました。
ユーザーが見つけやすい場所で情報を発信したり、シンプルなLP(ランディングページ)を用意したり、SNSで発見されたときに魅力が伝わる説明を整える。
市場やトレンドには自分一人では逆らえないけれど、運が転がり込んだとき、それを最大限に活かせる基盤を事前に作り込んでおくことで、一発屋で終わらない足腰ができるんだと思います。


僕が今やろうとしていること

正直、まだ僕自身も悩みの渦中にいます。でも、この記事を書きながら整理すると、自分ができることが見えてきました。

ユーザビリティを徹底的に見直す:チュートリアルやヘルプ、UIフローなどをもう一度洗い直す。
適当でもいいからまず出す:次の機能を実装し終わったら、一度ユーザーに触ってもらうことを優先。そこで得たフィードバックを次の改善に生かす。
フィードバックループの確立:ユーザーが気軽に意見を言えるフォームやIssueトラッカー、SNSアカウントをちゃんと準備して、そこをチェックする習慣をつける。

こうした努力が、いつか運が巡ってきたときの「一発当てる」きっかけになり、その後も継続的に成長できる土台になるはずだ、と信じています。


まとめ

僕自身が「どうすればもっと多くの人に使ってもらえるのか?」と悩みながら考えを整理した結果、この「作り込む力」と「作りきる力」が、ツール開発にも重要な要素だと思うようになりました。
これは、かつてビッグベンチャーで見てきた成功者たちの動き方とも重なります。

もちろん、これらがあれば絶対にヒットするとは限りません。
でも、運を待つだけじゃなく、運が来たときにがっちり掴める状態を作ることはできる。そう考えると、地道な改善やユーザー目線での工夫も、少しだけ前向きに捉えられます。

この記事が、僕と同じ悩みを持つエンジニア仲間の皆さんにとって、何かしらのヒントになると嬉しいです。僕もまだ道半ばですが、次のリリースに向けて、もう少しコードと向き合ってみようと思います。

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