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Tableau Conference 2024 Keynote:4つのWave

こんにちは!先日行われたKeynoteはご覧になられたでしょうか?例年通り、様々な機能アップデートがあり、大変盛り上がりました。
そのなかでもTableauがデータとアナリティクスについて4つの「Wave」(波)として「過去」・「現在」・「未来」・さらにその先の「ビジョン」としていったニュアンスで表現しているのが非常に興味深かったため、その4つの”波”について書きたいと思います。

(2:44~あたりから本編です)

データ分析領域における3つのWaveとこれまでのTableauの歩み

(動画は16:50~あたり)

Keynoteではデータ分析領域において3つの波があったという風に表現していました。
①Full-service:インサイトを得るために特定スキルをもったエンジニアに静的なダッシュボードを開発してもらう時代。こちらはTableauがない時代のため、私はこれを「過去」ととらえました。
②Self-service:誰しもが自分で見たいダッシュボードを開発できる時代。こちらはまさしくTableauの強み・役割ですよね。Tableauは多くのユーザーやコミュニティのおかげで成長してこれたという「現在」があると解釈しました。
③Personalization:誰しもがデータとAI分析が身近にある時代。近年ChatGPTをはじめとした生成AIの隆盛もあり、Einstein Copilot for TableauやTableau Pulse(※)といったAIサービスがリリースされ、それをどんどん活用していく「未来」に繋がると考えました。
(※Einstein Copilot for TableauやTableau Pulseは機会があれば別の記事でご紹介したいと思います。)
なお、KeynoteではこのPersonalizationの後にEinstein Copilot for TableauやTableau PulseといったAIを使った事例紹介やデモが行われました。

Tableauが考える3つのWaveのその先

ここで上記の③のPersonalizationで話が終わると思いきや、一歩踏み込んでさらにその先の未来について話がありました。

(動画は52:47~あたり)

これはTableauが様々なお客様と会話していくなかで、データ分析の仕事がまだ難しすぎる(Your jobs are still too hard)といった声が多数聞こえていることが発端になっているようです。
なぜデータ分析の仕事が難しいのか、、それは正しいデータ、正しいインサイトを取得して判断をすることがまだまだ上手くいっていないからです。 ではそれがなぜ難しいかといった要因を紐解いた結果、以下の4つの課題をTableauは提起しました。
①データ環境が大きく、断片化されている(Data landscape is large and fragmented)
②ユーザーはデータやインサイトを信用していない(Users don’t trust the data or insights)
③インサイトはしばしば見落とされるか、無視される(Insights are often overlooked or ignored)
④構築したものを再利用できない(You can’t reuse what you rebuild)

Tableauを実務で使われる方は上記4つの課題のいずれかで、悩んだこともあるのではないでしょうか。私も案件でデータがローカルやクラウドに点在してたり、Vizを作ったけど見られていなかったり・使われていなかったり、とTableauだけで完結しない部分もあるな、と思ってました。
このような課題感に対して(まだ構想段階ではありますが)Wave 4として次世代Tableauは以下のようなソリューションが提示されました。

さらなる詳細は今年の9月に開催のDreamforceで発表予定とのことです。

①データ環境が大きく、断片化されている→リアルタイム、かつクラウドでスケールできるデータ(Real-time, cloud-scale data)
②ユーザーはデータやインサイトを信用していない→信頼できるインサイトのためのセマンティクス(Semantics for trusted insights)
③インサイトはしばしば見落とされるか、無視される→働く場所で実用的なインサイト(Actionable insights where you work)
④構築したものを再利用できない→再利用、構成可能なアセット(Reusable and composable assets)

ソリューション①:リアルタイム、かつクラウドでスケールできるデータ

これまでのTableauはあくまでデータの可視化に重きを置いていたため、データ準備・前処理の上流工程は別ツールと併用する必要がありました(Tableau Prepはありますが)。

構造化・非構造化データを集約して扱えるモダンデータレイクハウスプラットフォーム

そこで提示されたのがモダンデータレイクハウスプラットフォームで、
【データソース→前処理フロー→セマンティックモデル→ビジュアル化→ダッシュボード化】
の5つのレイヤーを介してデータの取り込み~可視化まで一気通貫で完結しましょうという構想です。
またこのプラットフォームでは構造化および非構造化の両方データを同様に取り込めるのも注目です。

ソリューション②:信頼できるインサイトのためのセマンティクス

Tableauに限らずデータ分析あるあるだと思いますが、同じKPIでも微妙に数値が合わない経験はあるかと思います。これは計算する条件が部門によって見たい視点が異なることに起因します(現場に近い部門Aは売上受注ベースで見たいのに、本社に近い部門Bは会計ベースで見たい等)。このようなズレをしっかり管理しましょう、というのが2つ目のソリューションの意図だと思いました。
この部分はソリューション①の【前処理フロー、セマンティックモデル】に該当します。
流れとしては、データソースから読み込んだデータをAIが自動的に前処理とそれに応じた最適なメトリクスを提案します。

読み込んだデータを踏まえたデータ前処理の提案
読み込んだデータを踏まえたメトリクスの提案

※メトリクスとは?(=さまざまな活動を定量化し、その定量化したデータを分かりやすく加工した指標)https://scalecloud.jp/blog/metrics/
次にメトリクスを組み込みたい新規あるいは既存モデルを選択します。

デモでは既存モデルを選択

そのあとに選択されたモデルが表示され、青で囲まれているのが組織がすでに認証されているメトリクスで、その下にある四角4つが今回新規作成されたメトリクスです。

組織のメンバー全員が同じ指標を見る、使用することが可能に

この状態でアドホック分析を行えますし、これを全社で公開したい場合は、作成したメトリクスを既存モデルに組み込むよう承認依頼をワンクリックで行えます。ガバナンス管理するチームがこれを承認後、めでたく追加したメトリクスも認証済みとなり、全員が安心して利用可能になります。

承認依頼の画面。どのレビュアーに依頼するかも選択可能。
承認完了後の画面。追加したメトリクスが無事認証。

こちらはもちろん人が正しくデータ設計を行うという大前提にはなりますが、誰しもが同じデータを見れる仕組みが簡単に構築できるのは良いなと感じました。

ソリューション③:働く場所で実用的なインサイト

ここでは信頼できるインサイトは提供できたものの、実際の業務ではTableau以外のアプリケーションも利用するため、アクションに繋がらないケースが多々あることを問題視しています。
そこで各アプリケーションで同じメトリクスを確認でき、シームレスなアクションに繋げることを実目指しています。具体的にどのようにTableauが各アプリケーションと連動するかは不明ですが、Slackから各アプリケーションへ連携されていくフローのデモが行われました。

マネージャとして週次指標を確認したところ、チームがこの1年間で最も良好な成果を出したため、報酬用に$15,000の臨時予算申請を行うというストーリー。
HRアプリで申請した内容を上長が確認する際、1枚目のSlackと同じ数字が表示。
無事承認され、チームリーダーが無事に臨時予算を獲得。
こちらのHRアプリとは別のアプリでもSlackと同じ数字が表示。

ソリューション④:再利用、構成可能なアセット

これまでTableau Publicで皆さんがVizを共有できたように、Vizを作る過程(データ準備、前処理)も共有あるいは販売できるようマーケットプレイスの場を今後提供するとのことです。

マーケットプレイス上でVizとアセットを無料公開あるいは、販売金額の設定が可能。

マーケットプレイスへのアップロードは作成したワークフローの全てあるいは一部でも可能です。

各種レイヤーの中でも公開するものとそうでないものを選択可能。
詳細、タグ、金額設定が可能。

またマーケットプレイスは一般向けのものと自組織に閉じたものの2種類を提供予定だそうです。
個人的にはデータ準備、前処理はほとんどの場合一番時間がかかる部分になると思いますので、そこを他の人の力を借りてViz作成に集中したり、あるいはその知見を活用してデータ設計の勉強をしたりすることができそうで楽しみです!

まとめ

今回のKeynoteではこれまでの歩みとTableauの今後のビジョンについて語られました。
繰り返しになりますが、今回のKeynoteで語られたWave 4はあくまで構想段階に過ぎず、詳細は9月のDreamforceに改めてアナウンスがあるそうです。気になる方は下記URLから登録して確認してみましょう!
https://www.salesforce.com/dreamforce/
次回はKeynoteで多くの時間が割かれた生成AIの部分についても書きたいと思います。

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