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8 チ。 -地球の運動について-

今回は、にこる図書館が始まってから初めての漫画紹介になります。

元々漫画を全く読んでこず、ワンピースもあの有名なセリフしか知らなかったり、高校生時代に友人たちが漫画の話しをして盛り上がっている良さがあまり理解出来なかった冷めた人間でしたが、2年前に初めてキングダムを読んで以降、心から面白いと思える漫画に何冊か出会うことができました。

この「チ。」も、その中の一冊です。

先日日本に少しだけ帰った間に、kindleでは読まずに我慢していた最新刊までを紙の本で一気読みをし、「これは絶対にみんな読むべきだ」と改めて思ったので紹介します。


私がこの漫画のことを知ったのはアメトーークの漫画大好き芸人(だったかな)でした。そこで「チ。」の面白さは芸人の皆さんが熱く語っていたのですが、自分で漫画を買うところまでは行かず。

それからどれくらいの期間が経ったかは覚えていませんが、父がこの「チ。」を買ってきていて、「これは面白いぞ」と貸してくれたので、そこで初めて「チ。」を読むことにしました。
(父が面白いと言って渡してくれる本はなるべく読むようにしています。良い娘ですね。ふふ。)

この漫画は15世紀のヨーロッパが舞台となり、天動説こそが是とされている時代に、真実でありながら受け入れられることのない地動説をどう証明していくかが軸に描かれていて、宇宙の話しが大好きな私にとってはとても興奮するようなテーマ。そんなワクワクした状態でページを開くと、その心臓のドキドキ感がワクワクから一気に恐怖へと変わるほどグロい描写が描かれています。

これから読もうと思っている方は覚悟しておいて下さいね。
あ、以下ネタバレを含むところがあります。こちらも気を付けて下さい。


この漫画の面白いところは、所謂の主人公がいないところ。「あ、この人が主人公なんだ!」と読んでいると、自分が思っている以上に早く殺されてしまいます。

じゃあ誰が主人公なんだ、という話しですが、私は「言葉」と「思い」が乗せられた地動説だと感じました。

もちろん、「チ。」の意味には、大地のチ、血液のチ、知識のチの3つの意味が掛け合わさっていると著者の魚豊さんもインタビューで答えられているので、それもとても大事なテーマなのですが、私が「言葉」と「思い」が主人公だと感じたのには、ある登場人物の言葉に理由があります。

「文字は、まるで奇跡ですよ。(略)アレが使えると、時間と場所を超越できる。200年前の情報に涙が流れることも、1000年前の噂話で笑うこともある。そんなの信じられますか?私達の人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められている。だけど、文字を読む時だけはかつていた偉人達が私に向かって口を開いてくれる。その一瞬この世界から抜け出せる。文字になった思考はこの世に残って、ずっと未来の誰かを動かすことだってある。そんなの...まるで奇跡じゃないですか。」by ヨレンタさん

チ。-地球の運動について- 

私は文字の奇跡を心から愛しているヨレンタさんが好きです。

私たちは日々情報を目にする際、文字を介して理解しています。すごく当たり前のことすが、文字を介して自分が生まれていなかった時代の情報に触れることができる。また、自分が今残した文字がこの先何年も語り継がれていくことって、危険なこともあるかもしれないけれど、とても素敵な事だと皆さんは思いませんか?

私はヨレンタさんのように、言葉ってとても素敵だな、奇跡だなと思いました。

しかし、文字はただの文字だけでは語り継がれてはいかないのです。

私が仮に、Twitterに「明日試合があります」というTweetを残したとしても、そのTweetへの思いはあくまで明日で途切れる思いなので、後世に語り継がれるTweetには決してなりません。

地動説が迫害を受けながらも、地動説を唱えている人が天動説を信じている人達に処刑されながらも地動説が受け継がれていくのは、地動説を説明している言葉たちがそれを書き残した人達の思いに乗せられているからなんです。

今は言葉だけでなく映像で残すことができる世の中になっていますが、それでも私は言葉を大事にして、私の思いを乗せて、何か語り継がれていくようなものを残せたらな、なんてちっぽけな人間ですが考えています。

とにかく、星空を見上げて圧倒される登場人物の瞳を見るだけで涙がでてくるような素敵な漫画です。
まだまだ自分の好きな部分を書きたいのですが、漫画は全8巻ですぐ読み終わってしまうので是非読んでください。

皆さんが読んだ後に、またお話ししましょう。

閉館のお時間です。
本日もご来館ありがとうございました。


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