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7 逆ソクラテス

今回ご紹介するのは、伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』です。

今まで伊坂幸太郎さんの作品は読んだことがなかったのですが、本屋に行って作品名と表紙のデザインに惹かれ、本を手にしました。
(本当に読んだことがないのか伊坂さんの全作品を確認したところ、中学生の頃に『重力ピエロ』という作品を1つだけ読んでいました。)

この作品は主に小学生が主人公となる短編5つから成り立っていて、「先入観をひっくり返せ!」が軸になったお話が書かれています。
読み始めたら止まらない、あっという間に読み終わってしまう作品であり、読み進めていくうちに、5つの違った場所・時間・登場人物で書かれているストーリーがどんどん繋がっていくような面白さがありました。


この作品の軸が「先入観をひっくり返せ!」であるとすでに書きましたが、主に描かれているのが、大人が持っている先入観に子どもが気付いていく、子どもが大人に指摘をしていくという点です。

ここで皆さんに考えてもらいたいのが…

「皆さんはどんな先入観を持っている可能性がありますか?」

正直、先入観というのは自分では気付けない人がほとんどで、周りの人に言われてもなお、それが自分の先入観であるということを認められない人が多いのではないかと思います。私もその一人です。

今回は私の先入観の1つを例えに、お話してみたいと思います。

例えば、チームでサッカーをしている中で、チームメイトに「本当に上手くなりたいのか?」「上手くなりたいということに本気で向きあっているのか?」と聞きたくなるような選手がいるとします。仮に、です。
(私がいるサッカーの世界はプロの世界なので、現状に留まることなく常に成長をしていくことが当たり前であるという前提で話を進めます。)

そういった選手に対して私は「絶対に厳しくした方が良い」と思います。

それは、私が過去に受けて来た指導が「厳しい」ものであり、それがあったから今の自分があると「厳しい指導」を正当化している自分がいるため、そういう選手に対しては厳しくするべきだ!と反射的に思ってしまうのです。

なので、「こういう状況になったときにはこれが最善だ」という先入観が出来上がっているのです。

しかし私は「厳しくするべきだ」が、自分の過去が作り上げた先入観であると気付けたわけですが、その先入観が出来上がっていった過去が一気に何かにぶつかってバランスが崩れるような出来事に遭遇したからです。

それはスウェーデンでサッカーをしていて「きっとこの子たちは怒られるとか、厳しくされるという指導を受けずに育ってきているんだろうな」と感じたこと、そしてお互いの過去に優劣も善悪も無いんだと気付いたことでした。

それでも、何かあるたびに「厳しくした方が良いでしょ」と思ったりすることは全然あるので、自分の厳しい指導を受けてきた過去は自分にとって相当大きな影響を与えているんだなと笑ってしまいます。
それを一緒に乗り越えて来た同期が特別なのは頷けますね。


きっと自分が持っている先入観はまだたくさんあるだろうし、皆さんもまだ気付けていない先入観があると思います。

先入観が悪いとは思っていないのですが、自分の先入観に気付かず他人に押しつけることは悪い、というか自分はしたくないな、されたくないなと思います。

この本を読んで、あなたの先入観もひっくり返しちゃいましょう。

閉館のお時間です。
本日もご来館ありがとうございました。


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