一週間経って冷静になってきたのでKIT6を振り返ってみた。
KIT6から一週間。
試合後は自分を不甲斐なく思う気持ちでいっぱいで、しばらくの間その心内をうまく言葉にできる気がしませんでした。
しかし一週間が経ってなんとなく頭の整理がついてきたので、今さらな気もしますがここでさらっと振り返りたいと思います。
KIT6を振り返って
1.出場に至る経緯
まず出場に至る経緯ですが、KIT6開催が決定し、総代表である早川先生にトライフォースからも誰か出せる選手はいないかという打診がありました。
そこで推薦を受けたのがトライフォース池袋に移籍した直後の僕でした。
ちなみに移籍と言っても一般会員としてですので、組織的な異動であったわけではありません。
一会員として、個人的な理由で所属ジムを変えた形になります。(変な意味ではないです。)
なので、移籍直後であり、そもそも一般会員である自分にとっては文字通り“有難い”ことこの上のないご推薦でした。
このような機会をいただけたこと、とても感謝しています。
2.試合前の取り組み
最初に、この記事を読んでくださる方のほとんどはご存知かとは思いますが、一応試合の結果だけ先にお伝えすると、完敗でした。
なので負けた以上、試合前の取り組みについては足りなかった、若しくは間違っていたのであろうと思いますので、誇らしげに語ることは何もありません。
ただ、相手は勝ちに徹し、本戦は攻防に付き合わず延長線に持ち込んでくるであろうというのは試合前から想定していたので、こちらは反対に動きをつくろうと思っていました。
相手は全日本王者であり、所属ジムの名前を背負う選手です。
勝ちに徹してくるのは当然のこと。
しかし僕はと言えば、実績のない無名の一般会員。
ここで僕がリスクを恐れて動きを作らず慎重にいくような真似をすれば、観てくださっている方にとって何がおもしろいでしょうか?
無名選手が味気ない渋い試合をして勝つ姿はそれほど望まれるものではないでしょう。
その“お互いの”役割を意識した上、僕はなるべく動き、そしてその上で勝ちたいと思っていました。
(また、試合への取り組み以外のところではSNSでなるべく発信するよう心がけました。Twitterでいじってくださる方がたくさんいてくれて感謝です。ありがとうございます。)
3.試合当日
〈試合直前〉
試合当日。
コンディションは良かったと思います。
緊張もしすぎず、程よい緊張感をまとっていました。
順番的には本戦の序盤でしたので、予定通り15時を回る前が出番です。
スタッフに呼ばれ、舞台裏で相手選手と軽く挨拶をし、入場。
(入場直後、カメラが追ってきましたがカメラ慣れしていなさすぎてどこを見ていいかわからなかったです…。)
相手も後から入場し、いよいよ試合が始まりました。
〈本戦〉
開始直後、引き込んで、予定通りなるべく動きを作りにいきます。
それに対しそこまで付き合わない相手。
やはり想定通りでした。
たぶんお互いそうだったと思います。
あとはこちらとしては、動きを作った上で、しっかり取る。
それができるかは自分の実力次第です。
しかし、序盤、相手のパスに対しエスケープを図ったところで僕の肘が相手の鼻を打ちました。
「やってしまった。」
という気持ちでした。
中断する試合に、ひどく痛がる相手。
流れが止まり、相手にも、観てくださっている方々にも、申し訳ない気持ちがあふれました。
荒い動き故、相手に怪我を負わせ、場の熱気を冷ます失態。
その場で僕は、自分の未熟さをただただ噛み締めることしかできませんでした。
そして試合再開、攻防は同じように続き、結局攻めきれず延長戦を迎えます。
本戦で決着を着けられず。
この時点で、プランを完遂した相手の方が上手だったことは明らかでした。
〈延長戦〉
そしてゴールデンスコア方式で勝敗が決まる延長戦へ突入。
直後、こちらの引き込みに対し相手がアンクルピックを合わせ、勢いのまま押し出されるように場外へ。
警戒していた技ではありましたが、思った以上に強烈でした。
足をすくわれた瞬間、いろんな言葉が頭をよぎります。
「アンクルピック」「(思った以上に)強い」「取られた」「いや持ち直せる」「負け?」「場外」「大丈夫」「凌いだ」「中央」。
場外に押し出され際、「これは場外逃避か?」という解説の声に対し冷静に「いや違うだろ」、と思ったのもなんとなく覚えています。
そして、場外際から真ん中に戻され、再度引き込みにトライ。
「引き込めた」「相手も」「“ダブルガード”」
ここでダブルガードと認識しましたが、一定の時間が経過しても(実際は体感でかなり早く感じていただけだと思う)戻されないことで、
「戻されない?」「今お互い動きがない」「何かしないと。」
と思ってしまい、このとき、動きを作ることを意識する余り、自分のポジションの正確な把握を怠りました。
そして、立ってくる相手、簡単に尻もちをつきガードポジションをとる僕。
そこで相手に2ポイントが入りました。
「え?」
と思った直後、全てを悟りました。
ダブルガードではなかった。
自分がトップになっていた。
「やってしまった。」
頭が真っ白になりました。
相手に2ポイントが入ったことにより、唐突かつあっけなく、試合は終了。
「こんなしょうもない結末で、この試合を終わらせるなんて。」
完全に僕の失敗です。いや、失態と言えるかもしれません。
わざわざお金を払ってまで応援してくれた方々に見せるにはあまりにも不甲斐のない姿。
それ以外の観てくださっていた方々に対しても、そんな“始めたばかりの初心者がやるような凡ミス”でこの試合を終わらせてしまったことを、とても申し訳なく思いました。
その場で暫く、顔を上げることができませんでした。
〈試合後〉
試合後、控室に戻る僕。
その場に寝そべり、しばらく起き上がることができませんでした。
体力ではなく、気力がなかったからです。
そして自分にまだ体力が全然残っていることに気づき、なおのこと自分が腹立たしくなり、歯を食いしばりました。
負けたことに対する悔しいという気持ちより、自分自身に対する不甲斐ないという気持ちと、怒り。
そして自分の未熟さへの哀れみ。
自分自身にこれだけ嫌気が差したのはいつ以来でしょうか。
とにかく自分が憎くてたまらなくなりました。
その後のことはもうあまり覚えていません。
会場から出てから帰路につき、あとは一日をぼーっと、漫然と過ごしました。
トライフォースとして一人意気揚々と出場したKIT6は、結果、このような無様な形で締められました。
総括
今回の試合は、自分にとっては身の丈以上の有難いオファーであったため、それゆえに自分のできることは全部やりきりたいという気持ちが強くありました。
別に多くの人に期待されているわけではないかもしれないけれど、自分ができることは全て精一杯やりきりたかった。
しかし、結果としては上述の通りです。
「やりきれなかった」
「自分の役割を全うできなかった」
その気持ちが強く残ります。
プロマッチでありながら初心者がするようなミスを犯してしまう僕に出られる資格があったのか、自問自答してしまうばかりです。
もちろん、あのミスがなかったら勝てていたとは思いません。
試合全体を見て、プラン通りに動いていたのは完全に相手でした。
なので、結果としては完敗です。
経験も、試合への思慮深さも、意気込みも、全て相手の方が一枚も二枚も上手でした。
弁解の余地はありません。
(ちなみに試合後、試合中の肘打ちについて相手の渋澤選手に謝罪したところ、試合中のことは気になさらないでくださいというお言葉がありました。本当に申し訳ないです。ありがとうございます。)
今後の取り組み
今回の敗戦は、おそらく今後長い間頭に残るものになるでしょう。
「応援してもらったのに負けた」と「応援してもらったのにしょうもない負け方をした」では全然違います。
その後悔はお金を払って自分で出る大会のそれとは比にならず、今後もしばし苦い記憶として思い出されることになるでしょう。
ただ今はそんな苦い経験であるこの敗戦が、いつか大きな財産となるように取り組んでいきたいと思います。
今一度、初心に還ります。
勝ち負けに大きく拘らず、場数を踏み経験を積みます。
全国的に積極的に大会へ出場し、練習と出稽古を重ねていこうと思います。
その過程で負けを重ねようとも、いつかその先のためになればそれでいい。
その心持ちで、今日から再スタートしたいと思います。
なので、寛大な心持ちで見守っていただけましたら幸いです。
また一からやり直します。
では、振り返りはこれで以上といたします。
敗者の戯言にここまでお付き合いいただきありがとうございました。
また違った姿がいつか見せられるよう、がんばっていきます。
それでは。
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