タケコプターをリアル設計する
ドラえもんのひみつ道具にはいろいろと疑問があるわけです。
タイムマシンで過去を変えてしまうと未来がどうなってしまうのかという「タイム・パラドックス」に関してはドラえもんのみならず、タイムマシンを扱うSFすべてに共通する課題なのでここでは良いでしょう。
「どこでもドア」ひとつにとってみても。
どこでもドアは出発点と行先、すなわちこの世の2ヶ所に同時に存在するわけです。
行先に着いてからドラえもんがどこでもドアを四次元ポケットにしまいます。その時点で別場所の片割れはどうなってしまうのか。
厳密に考えれば、天候によって、遠く離れた2地点の気圧が全然違ったりするわけで、ドアを開けた瞬間に突風です。ちゃんと天気図を見て気圧配置を確認してから行先を決めないと。
更にそれでいうと、河川の上流と下流をどこでもドアで繋いでしまえば良いのです。
永遠に循環する水流で水力発電することによって人類のエネルギー問題は解決です。
子どもの頃、素直でない私はドラえもんを読みながら、そんなことばかり考えておりました。
「タケコプターはあの形では成立しない。」そう思った私は、本来あるべきタケコプターの姿の検討を開始しました。
まずはあのサイズです。頭の上にチョコンと乗ったあのサイズでは、プロペラの風は頭に吹き付けるだけです。浮揚力を発生させるには、もっと大きなプロペラが必要でしょう。
次に固定方法。頭への接地面積が小さすぎます。あれで全体重を支えるとなると、頭皮に相当な負担がかかるはずです。かといってヘルメット方式にしてアゴヒモで固定すると、首吊り状態になって使い物になりません。
やはりハーネスくらいで固定しないと実用的なものにはならないでしょう。
さらに、重要な落とし穴を忘れています。
物理で「作用・反作用の法則」というのがありまして、プロペラが回転するとそれに固定された人はプロペラと逆側に回転し始めてしまうのです。
このことを解決するために、通常のヘリコプターには「補助ローター」が付いていまして、逆側への回転力を打ち消すようになっています。また、双発式のヘリコプターでは前後のローターを互いに逆回転させることでこの反作用力を打ち消しています。
ということで、補助ローターもちゃんと付けて、これがタケコプターの完成形です。もうヘリコプターでいいですね