地方大学4年生が「ドラッカーのマーケティング思考法」を読んで、ここがためになるな〜と思った
例にもれず今回も、ブックオフに立ち寄ると「20代から身につけたいドラッカーのマーケティング思考法」が200円で売られていた。「昔、ドラッカーのマネジメント読んだな~」「けど、あんまり内容覚えてないや」と思い購入した。「顧客の創造」や「企業の在り方」「企業戦略」について分かりやすくまとめらえていて、スラスラと読み終えた。
個人的にここがためになるな~と思った文章をまとめました。
20代から身につけたいドラッカーのマーケティング思考法/藤屋伸二
p.6 ドラッカーにおいて、経営の本質は「会社の目的は顧客の創造」という考え方。
顧客を創造する(売上をあげる)ためには、顧客の欲しいものを知り、顧客が支払ってもよいという価格を知り、顧客が買いたい方法を知って、それらを整えなければならない。
これらすべての企業活動にかかわることがマーケティング。
p.29 マーケティング・リサーチは、マーケット・リサーチを超える。
マーケット・リサーチは、既に市場にあるものしか調査できない。
普通の人は、今までに見たことも使ったこともないものに対して、正確な判断をすることは出来ず、それが、マーケット・リサーチの限界。
マーケティング・リサーチは、ニーズを作り出すためのあらゆるリサーチ(人口動態・他の産業・他の国の市場・技術の動向など)を対象としている。
「売れるしくみづくり」に必要な市場からの情報すべてが、マーケティングの対象。
p.31 マーケティングで売れるしくみを作り出す
①顧客のニーズを知る
②顧客にニーズに応える
③新しいニーズを作り出すきっかけを調べる
④ニーズに応え、ニーズを作り出すために、自社の強みを知り、活かす
→独自性があり、長期的に売れるしくみを作り出すことができる
p.33 「すべての顧客」の「すべてのニーズ」に応えることはできない
だから、「どの顧客のどのニーズに応えるか」を決めて、市場を絞り込まなければならない。←市場の細分化
「マーケティングは、商品ラインごとに、現在の大きさ、潜在的な大きさ、経済的な要因、イノベーションのトレンド、顧客から見た市場、直接・間接の競争相手を考慮した市場の定義をしたあとで行う」
p.34 「市場でナンバー1かナンバー2でなければ、利益をあげることは難しい」
大きな市場でトップに立てなければ、市場(ニーズ)を区分けしていき、その中でトップを目指す。
それでもトップに立てなければ、さらにニーズを細かく区分けして、トップに立てるまでこの作業を繰り返す。
たとえ小さな市場でも、トップに立てなければ、利益を得られない。
p.50 社内にあるのは「コスト」、社外にあるのが「利益」
どんなに優れた商品でも、社内にある時は在庫という「コスト」である
p.56 問題解決ではなく課題解決
問題は目の前(いま)発生する←問題解決
問題解決では、現在の範囲内の最高値までしか到達できない
問題を根本的になくす←課題解決
課題解決では、問題そのものをなくすことで、事業を大きく発展させるチャンスを獲得できる
p.63 価格は、需要(買いたい気持ちに購買力がともなったもの)と供給(提供数量)の関係で決まる。具体的には、
①どれだけ欲しいか
②どれだけ希少か
③どれだけ代替可能か
逆に言えば、①顧客が欲しがるものを、②欲しい数量より少なく、③他社では代替できない形で提供すれば、自社の望む価格で販売できる
p.64 「差別化とは、顧客からみた魅力であり、競争からみた優位性」
顧客がこの価格だったら買いたいと思うことがすべて
p.71 「既存のものは必ず陳腐化する(古くさくなる、時代遅れになる)」
将来のために、今、何をすべきかを自問しなければならない
p.79 「なんでも屋」では通用しない
p.80 顧客の関心は、「欲しいかどうか」「自分にどのような効用をもたらすか」「買えるかどうか」だけ。
「この商品は、創業以来の商品だから」、とか、「これまで莫大な研究費と時間をかけた商品だから」という会社の都合は、顧客には一切関係がない。
p.89 商品の魅力を決めるのは「顧客」である
会社の考える魅力と、顧客の考える魅力は違う
一流の料理人は、素材にこだわる。しかし、それを食べる顧客は、その料理が美味しければよい
靴やサンダルをつくるメーカーは、デザインだけでなく、履き心地や耐久性にもこだわる。しかし、10代の女性にとって、ワンシーズンしか履かないものはデザイン性だけで充分
日本の造船会社は、安全性や運行のしやすさ、居住性、積み込みのしやすさや積載量など、すべてにわたって行き届いたものを作ろうとする。しかし、貨物船を買う船主は、居住性などには関心がなく、沈まない程度の安全性を確保していれば、積載量が多く、安い船のほうがよい。
p.90 「最高の魅力」は必要ない
顧客が使わない高機能は不要で、顧客が期待しない過剰品質も必要ない。
必要なのは、「価格に見合った魅力」であり、「適正な魅力」
p.111 素材メーカーなどで顧客が特定できない時には「誰が顧客か」「どの市場で使うか」「何のために買うか」を考える
p.143 「自社の特徴だと思っていることを、顧客が全然評価していないことがある」
店主側→品揃えがよい、商品がよい
顧客側→近いから、昔から通っているから
p.158 思いがけない成功や失敗は、自社の認識と市場や顧客の現実に食い違いが生じているサイン。
思いがけない成功は、主に若い人の企画や提案から生まれる。経験を積ませるつもりで、ダメもとで若い社員に任せたら大成功することがある。
反対に、思いがけない失敗は、経験豊富な社員の仕事から生まれる。「こんなはずではなかった」と言って他人や他の状況に責任転嫁しがち。
顧客をよく観察し、4種の不一致を見つける
①需要と供給の不一致
②昨日までの常識と今日の現実の不一致
③顧客の価値観と売る側の価値観の不一致
④顧客がスムーズに使うために必要なリズムや一貫性の欠如
顧客は満足できないものがあると、すぐにシグナルを送る
p.164 「総人口の増減だけでなく、年齢構成や性別構成、雇用状況、教育水準、所得階層などが市場に与える影響は大きい」
人口構造が大切なのは、近い将来の変化が予測しやすいから
今年生まれた赤ちゃんの総数の近似値が、10年後の10歳の総人口になり、20年後に20歳の総人口になる。常に先が読めて、準備する期間も充分にある人口構造の変化は目が離せないデータになる。
p.174 効用を作り出すマーケティング戦略
顧客が満たしたいニーズは「不便・不満・不足・不安などの解消」の他にも、「より便利・より満足・より充足・より安全・より安心」など、たくさんの種類がある。
「効用を作り出すマーケティング」は、これらの「不便の解消」、あるいは、「より便利」に応えるものである。
顧客の便利さを追求するのに、ハイテクは必要ない。特許も必要ない。
必要なのは「顧客」のニーズに焦点を合わせるだけ
・別の何かを付け加える
・別の何かと組み合わせる
・顧客が行っているもうひとつ前の工程からやる
・顧客が行っているもうひとつ後の工程からやる
→顧客い不便を我慢させないことが戦略の基本
p.189 「創造的模倣戦略」とは、技術志向の他社が作り出した技術や商品をベースに、市場志向や顧客志向で改善したり、あるいは、何かを付与してよりよい商品に仕上げる戦略
ライバルは、「外注費のいらない商品開発・技術開発のアウトソーシング先」として重要な位置づけになる
p.190 「創造的模倣戦略」では、開発費用というコストは他社が負担してくれる。
自社がするのは、他社の動きと商品そのもの、そして、市場の反応を注意深く観察することだけ。
そして、商品そのものの欠陥や不足、提供方法の不備を修正して、市場に投入する。
「企業家的柔道戦略」は、他社で開発したけれど使っていない技術を活用する。
まさしく、「相手の力を利用して投げる」柔道の基本原理。
ライバルは、恐れる対象ではなく、利用する対象でもある。
ただし、この戦略では、「自分たちで作り上げた」という満足感はない。
あるのは、「顧客満足」というマーケティング志向と、その見返りとしての「リスクが少ないわりに多い利益」
p.200 顧客は何を価値と思っているのかを検討すると、「顧客の満たされていないニーズは何か」という次の質問が出てくる
p.207 新しいサービスの追加は常に重要になるが、それはあくまでも顧客から見た重要性に限定される。
p.213 商品の11分類
〈診断も対処も簡単な商品〉
①今日の主力商品←大きな売上と利益をあげている商品
②明日の主力商品←大きな売上を持ち、売上拡大が期待できる商品
③生産的特殊商品←限定的な市場を持つ商品
④開発商品←開発中・市場への導入途中の商品
⑤失敗商品←消えていくことが明らかな商品
〈問題を抱える商品〉
⑥昨日の主力商品←売上は大きいが、利益には貢献していない商品
⑦手直し商品←手直しすべき欠陥が明らかで、成長が期待できる商品
⑧仮の特殊商品←特殊である必要がないのに特殊としている商品
⑨非生産的特殊商品←無意味な差別化を図っている商品
⑩独善的商品←いつか成功すると思い込んでいる商品
⑪睡眠商品←経営資源の不足によりヒットできないでいる商品
〈商品のライフサイクルの4類型〉
①導入期←市場に導入されたばかりの時期
②成長期←市場に認知され、売上が伸びている時期
③成熟期←売上の伸びが鈍化し始め、横ばいになる時期
④衰退期←売上が減少し始め、市場から消えていくまでの時期
p.215 ドラッカーの言う「専門化」とは、「強みであるコア・コンピタンスをより高度化すること」
コア・コンピタンスとは、会社の中心となるノウハウや技術を意味する。
コア・コンピタンスは、競争優位性を生み出し、他社との差別化を図る源泉になる
コア・コンピタンスが優れているほど、高い売上の伸び率と利益率を実現できる。
p.216 努力は売上に転換してはじめて業績になる
ドラッカーの言う「多角化」とは、「コア・コンピタンスをより有効活用するために、市場や顧客との接点(事業や商品のラインナップ)を広げること」
「専門化」と「多角化」は、「両立しなければならないもの」また「補完関係にならなければいけないもの」である。
より高度なノウハウを目指すのと同時に、それを有効活用するために、共通する分野か、共通する市場に展開する必要がある。
p.222 「目標を達成したときはお祝いするときではなく、次の準備にとりかかるとき」
p.225 「効率的」とは、「費用」対「効果」が優れているということ
優れたノウハウで顧客に貢献できていたとしても、ビジネスである限り、正当な見返りを受けなければ効率的とはいえない。
会社では、ノウハウが事業そのもの。そのノウハウは無限に存在するものではない。貴重なノウハウを提供するときは、必ず「適正な利益」という見返りを受けなければならない。