Anycubic i3 MEGA アップグレード計画② 静音化しよう!
どもどもYanでっす。
本日のお題は「MEGAを静音化」でっす。
MEGAを使ってて気になりませんか?プリント時のピロピロ音。これはステッピングモーターの制御が原因です。格安3Dプリンタは、ほとんどがA4988というモータードライバを使ってモーターを制御しています。でもこのドライバ格安なだけあって動作はするけど変な音がしてしまうんです。そこで変な音の出ない仕組みを搭載したモータードライバに交換して静かにしようというのが今回の内容になります。
注意
今回の記事の内容はMEGAの改造にあたります。メーカーの保証を受けられなくなる可能性があることを考慮して自己責任で行ってください。
MEGA、MEGA-Sともにメインボードにいくつか種類があり、モータードライバが取り外せないタイプのものの存在が確認されています。実際にモータードライバを購入する前に、モータードライバがメインボードに直接取り付けられていないか確認することをオススメします。
用意するもの
TMC2208(入手性が高くて価格も安め)
テスター(安いやつでOK!)
プラスの精密ドライバー(マイナスでもOK)
TMC2208
これはAmazonで買っちゃダメです。Amazonちょー高いので、アリエクで買いましょう。だいたい2~3週間で届きます。気長に待ちましょう。
僕はこの店で買ってます。BIGTREETECHというそれなりに3Dプリンタ界隈では有名なメーカーの直営店になります。MEGAはモータードライバが5つなので「5PCS UART」を選びましょう。DIY選ぶとすごい狭い面積のハンダ付けが必要になるので選んじゃダメです。100円くらいしか変わらないのでUARTにしときましょう。
今回は何も設定変更せずに使うのでDIYでもいいんですが、今後もし設定を変えたくなったときにハンダ付け面倒なので差額はケチらずにUARTの方にしておいた方がいいです。
テスター
取り付けるときに適正な電圧に設定してあげる必要があるので、それを計測するのに使います。
赤と黒のプローブがついたやつ(クリップはアウトです)なら安いので全然OKです。
基板修理とか電子工作で活用する予定がある人はコンデンサ容量とか計測できるタイプおを買っておくといいかも。
精密ドライバー
これも電圧設定で使います。モータードライバ上の電圧調整用可変抵抗を回すのに使うので、できれば金属製ではなくセラミックのやつとかがいいです。変なとこに触れてショートさせてしまう事故を防止できます。
精密ドライバーセットとか持ってるのであればその中からモータードライバーの可変抵抗に合うサイズを見つけて使ってもOKです。セットになってるやつはだいたい金属製のドライバーなので、調整時に他の端子とかに触れないように注意しましょう。
個人的にはプラスの精密ドライバだと先端がとがっているとちょうどいいサイズのはずでも回せないなんてことがあるのでマイナスがオススメです。サイズは-1.8がピッタリ。
モータードライバを交換しよう!
まずは本体裏側のフタを外してマザーボードが見える状態にします。裏側を横に横切っているケーブル補助の棒についてるM3ネジ2個と裏蓋のM3ネジ8個外せば取れます。
あと冷却ファンが邪魔するのでこれも外します。これは上でM3ネジ2つで固定されてるので外しちゃいます。電源はメインボードから抜かなくても脇に避けておくだけで大丈夫です。
今回作業するのはこいつらの交換です。ヒートシンクのついてる赤いやつ。これをTMC2208に交換します。
両脇をつまんで垂直に上に引き抜きます。指で抜けないなと思ったらラジペンで上の写真のように掴んで引っ張りながら上下にぐりぐり少しやってやれば抜けてきます。5つとも全部取っちゃいましょう。他のケーブルひっかけて切ったりしないように気を付けながら取ります。
取り外したら今度は同じ場所にTMC2208を差していきます。向きを間違えないように慎重に。逆につけると電源入れた途端TMC2208ショートして壊れる可能性大なので、向きだけはしっかりと確認してください。
上の写真の様に基板に「DIR」「GND」とプリントされてます。
ここにTMC2208に印刷されてるピンを合わせるというのが本来の正しい確認方法。
向きは上の写真の様になります。電圧調整用のポテンショメーターが電源ユニットとは反対側になります。
向きをもう一度確認して問題なければ電源オン。
電圧の調整は電源入ってないとできないので、不安定ですがこの状態で電源入れないとならないのです。
テスターを電圧測定モード(~2000mVとか~2Vて書かれてるとこ)にして黒い方のプローブを電源ラインのGNDを止めているネジのとこにあてて。
赤い方をTMC2208の印を上の写真で円で囲んだ穴に差します。プローブの先端を穴に乗せる感じ。
テスターの表示が1.125とか0.954とか出てくると思います。(数字は適当)
これが現在のVrefと呼ばれる電圧の値になります。これを適正な数値にしてあげるのが目的。
TMC2208のVrefの適切な数値は
X、 Z、 E1のVrefは最低1.0VでY、E0は最低1.15V
になります。低すぎると脱調が起きるし高すぎると熱暴走してしまいます。ネットで調べると0.85V~0.95Vと書かれているのをよく見かけますが低すぎです。別のドライバの推奨値がいつの間にか2208の推奨値として出回ってしまったんじゃないかと思います。
調整方法は赤のプローブを差しているとこのすぐ横にあるプラスねじの形の可変抵抗。これを左に回すと電圧は上がり、右に回すと下がります。微妙な回転で結構数値変わるのでほんとに微妙に動かしながら推奨値に近づけてください。1.00V、1.15Vに近ければ小数点以下2桁目からは少しズレてても大丈夫。そこまで厳密じゃありません(もちろん可能なら合わせた方がいいけれど)。
5つとも調整が終わったらメインボード側での作業は終わりなので、一度電源を落として裏蓋を閉めてしまいます。あ、冷却ファンを戻すの忘れないように!
ファームウェア書き換え
ハードの作業は終わったけれど、このままだとTMC2208は正常に動いてくれません。なぜかというとモーターに流す信号がA4988とは逆なので、Xをプラスに動かそうとするとマイナスに動いちゃうんです。モーターのコネクタを逆に取り付けるという方法もあるのですが、他にもメリットを享受できるMEGA用カスタムファームウェアを入れてしまうことにします。
ダウンロードして中のfilesフォルダ内にある「Marlin-Ai3M-v1.4.6-TMC2208.hex」をMEGA-S化の時と同じ要領でCURAを使って書き込みます。
液晶に出てくる画面などは変化ないので、今までと同じ使い勝手で操作できると思います。
書き込んだカスタムファームウェアは、ベッド上の25か所でノズルとベッドの隙間を調整して、その値を使って動的にベッドとノズルの隙間をコントロールしてくれる「メッシュベッドレベリング」が使えるようになってたりするので四隅のネジで調整するよりも精度を上げられるのが大きなメリット。
アップグレード計画でカスタムしているMEGAではなく、7月に購入したMEGAでずっと使ってましたが不具合とかもなく安定して使えていたのでオススメです。カスタムファームウェアに関しては、はるかぜポポポさんの記事が詳しいかと。
ファームウェアの書き込みが完了したら今回の静音化カスタムは終了!。
注意!
カスタムファームウェアはSDカード内に漢字などの2バイト文字があるとメモリを読み込めません。日本語などのフォルダがある場合はどこかに退避するなどしてSDカード内に2バイト文字がないようにしてください。ぶっちゃけるとアルファベットや1バイトの記号だけ使おうねという感じ。
MEGA-S用の追加設定
カスタムファームウェアはMEGA用でMEGA-Sに搭載されているエクストルーダーに適したパラメータが設定されていません。そこで手動で設定してあげる必要があります。
REPETIER-HOSTっていうPCから3Dプリンタをいろいろ操作できたり、ログを確認できたりするソフトをインストールしましょう。
ダウンロードページは寄付しないとダメっぽい作りになってますが、あくまでも好意による寄付なので、しなくても大丈夫、下の方に「download without donation」ってリンクがあるので、これを辿ればダウンロードできます。
REPETIER-HOSTを使う上で注意すべきは、CURAを起動してるとCURAがUSBでのプリンタ接続を使っちゃうのでいくら接続しようとしても接続できないこと。
起動したら左上のプリンタ接続をクリック。
下のログウィンドウにずらずらーっと画像の様なログが流れれば接続できてます。CURAが起動してたりするとうまく接続できないので。CURA終了してから、もう一度REPETIER-HOSTを起動して接続を試してみてください。
右上のタブで「プリンタ操作」とあるのでここのG-Codeと書かれている入力スペースにコマンドを記述して「送信」ボタンを押すとプリンタにコマンドを送れます。
M502(ファームウェアのデフォルト値を呼び出し)
M500(念のため初期状態をセーブ)
M92 E384 (エクストルーダーのモーター設定をMEGAからMEGA-Sに変更)
M203 E30 (エクストルーダーのモーターの動作をMEGAからMEGA-S用に変更)
M204 R1500.00 (エクストルーダーの加速度制御をMEGA-S用に変更)
M500 (変更内容をセーブ)
上のコマンド()内は不要なのでM●●のコマンド部分とカッコの前のパラメータを各行ごとに送信してください。M92の行のE384となっている部分は、既にエクストルーダーキャリブレーションをして正しい数値を見つけているならば384を見つけた数値に入れ替え。下の画像が入力例。
これで最低限の設定が完了します。
REPETIER-HOSTで接続できない場合
CURAなどプリンタが使っているCOMポートを占有するソフトを起動してませんか?一度全部のソフトを停止してREPETIER-HOSTだけ起動し直して確認してみましょう。
COMポート間違えてませんか?デバイスマネージャーを見ながらUSBケーブル抜き差しして表示が変わるやつに書かれたCOMポート番号がプリンタが使ってるやつです。
ボーレート高すぎませんか?250000でダメなら1段階下げてみましょう。
REPETIER-SERVERインストールしてませんか?邪魔なだけなのでアンインストールしてください。
これでダメなら他のソフトでgcodeコマンドを送信する方法もあります。
まとめ
今回は静音化が目的だったので、特にカスタムファームウェアについては触れませんでした。アップグレード計画第3弾ではこの先長い付き合いになるカスタムファームウェアについて書いておこうかなと思います。
こうご期待!
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