中華CO2レーザーカッター 改造編「3,000円で数十万クラスと同じ機能を手に入れる」
どもどもYanでっす。
本日のネタは「中華CO2レーザーカッターを32bit化して超パワーアップ」でっす。
32bit化してなんかいいことあるの?
あります。たくさんあります!
その1 処理速度があがるので、彫刻スピードを上げることができる。
その2 レーザー出力をソフトから動的にできるようになる。
その3 レーザー出力が異なるデータも1つにまとめられる。
すぐ思いつくだけでも3つ。ぶっちゃけると筐体の作りを別とすれば、機能的には30~40万くらいで日本で売られてるCO2レーザーカッターと同等くらいにはなります。
注意!
今回の内容はレーザーカッターの内部配線をいじります。必ずコンセントを抜いて作業してください。レーザーカッターの電源には高電圧の出力もあり、感電死の危険もあります。作業は十分注意して行ってください。何か起きても当方は一切責任を負いません。自己責任で行ってください。
中華CO2レーザーカッターでM2系ボードを使っているヤツはATmega328Pを使ってます。これは8bit 20MHzで動いてます。3Dプリンタも僕の使っているMEGAは似たようなアーキテクチャのATmega2560を使ってます。コレは8bit 16MHz。単価が安いので中華3Dプリンターで幅広く採用されてるCPUです。でもこれら8bitCPUは精度、速度をあげるのにボトルネックになってるんです。
海外のForumで見た書き込みによると、32bit 120MHzのチップでも秒間2400~2500行くらいのgcode処理が最速。これは0.1mmのドットサイズで、グレースケールの画像を240mm/sくらいで彫刻できる処理能力。
0.1mmのドットっていうことは
25.4mm(1インチ) ÷ 0.1mm = 254dpi(dot/inch)
254dpiで80mm/sってことなので解像度を上げたらもっと速度落ちると。意外に処理に時間かかってるんですね。
※dpiはよく誤解されるのだけど、1インチの長さにどれだけドットが並べられるか。を示すだけの数値。なのでドットの形が縦横で等しくないときは、縦〇〇dpi 横〇〇dpiと表すのが正解。
3DプリンタにしろCO2レーザーカッターにしろ座標などが記述されたコマンドを1行1行実行して動作しているんですが、読み込んで動かす動作が遅くなるんです。特にレーザーカッターで絵を彫刻するなんて場合、1ライン1ライン往復しながらレーザーを間欠的に照射して彫刻していきます。これだと1ラインに含まれるコマンドがめちゃくちゃ多くなります。8bitの中華レーザーカッターでは途中で間に合わなくなって一瞬止まるなんてことも。
コマンドの処理を高速化するにはCPUを速いものにしてしまうのが一番簡単です。
という訳で今回のネタになります。
32bitメインボードの選択基準
ファームウェアはレーザーカッター用のソフトウェアから操作できるものということでGRBL-LPCかSmoothiewareのどちらかになります。Marlinでも使えるけどレーザーには不向きなので除外。今回の要件は以下になります。
①GRBL-LPCかSmoothiewareが動くこと
②レーザーのPWM制御ができること
③24Vで動くボードなこと
これで候補となったのが以下の3モデル
①Cohesion3D LaserBoard($245)
②Smoothieboard(€100~)
③MKS sbase(2,813円)
①は中華CO2レーザーカッター、所謂K40 Laserで採用されているM2 nanoボードと同じネジ穴位置で作られている、中華CO2レーザーカッター用のアップグレードボードになります。配線も追加とかハンダ付けとか必要なく差し替えればOKというお手軽さ。追加でカメラやワインボトルのような円柱状のものに彫刻ができるロータリーアタッチメントも販売されてて拡張性もある。ただし、お値段お高め。ファームウェアはSmoothiewareのカスタムVersionが採用されている。
②はSmoothiewareのリファレンスという位置づけのボード。Smoothiewareはレーザーカッター専用のファームウェアではないので、ボードもいくつかバリエーションがあるのが特徴(主にモータードライバの数)。オープンソースハードウェアなのでボードの作成に必要なデータは全て公開されており、誰でも作ることができるのが特徴。
③はSmoothieboardのクローン的なボード。Smoothiewareを動かせます。
ただし、Smoothieware公式からはオープンソースコミュニティ(この場合はSmoothieプロジェクト)に貢献することなく結果だけを商用利用してると批判されてます。MakerBase製品に関する情報はオフィシャルページのForumではほぼ得られない感じ。MakerBase製品を使う時は、情報が断片的にしか集まらないと考えた方がいいです。特に英語圏。日本語はほぼ情報ないので苦労します。
Smoothiewareのレーザーモードについて書かれている日本語のWebページは見つけられませんでした。
MKS sbaseは32 MicrostepのモータードライバDRV8825が5つオンボードで搭載されているのでX軸、Y軸の他の1軸を使ってテーブルを上下させたりも簡単にできます。価格はクローンボードなので格安。3,000円以下でアリエクで購入できます。
ということで今回はコストパフォーマンス重視でMakerBaseのMKS sbase v1.3を採用しました。理想はCohesion 3Dなんですけど、動かすソフトが40$かかるので合計して300$と高すぎでした。
要件の③はレーザーカッターのPSUが供給する電源が24Vと5Vしかないからです。12Vのボードだと12V電源を別途用意するか、降圧モジュールを使って24Vから12Vを作るかしないとならないんで。
作業内容
やることはいたって簡単。
①MKS sbaseにSmoothiewareとその設定ファイルを書き込む
②M2 nanoとボードを入れ替え
③配線
④PCに操作ソフト Lightburnをインストールして動作テスト
これくらい。それでは各作業内容について見ていきます。smoothiewareの設定ファイルに関してはそれぞれの環境で変わるので設定ファイルそのものは公開するつもりはありません。変更すべきポイントは記載しています。
設定ファイルはこういうやつです。
※ 自分で書き換えられないと思う人はここから先の有料部分は読まずに諦めた方が無難です。分からないでいじると下手するとレーザーチューブ破損などにも繋がりかねないので、この先は自己責任でお願いします。
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