見出し画像

かんなみ仏の里美術館 大竹千体観音像②

静岡県函南町のかんなみ仏の里美術館で夏季特別公開中の『大竹千体観音像』を観に行った話の続き。

前回でも書いたが、この千体観音は函南町大竹の廃寺にあった観音堂から歴史研究家が文献を解読することによって発見されたもの。

ガイドさんの説明によると、これらの観音像は1673年にこの地を訪れた木食僧・蓮誉華空法阿によって彫られたとのこと。法阿は光明院・蓮華寺を再興し、修行としてこの千体仏を彫ったという。

発見された時の様子についても聞くことができた。堂内に400体ほどが祀られており、残りは木箱の中でみつかったそうだ。

近隣の住民が観音像を持ち帰り拝み、その後、寺に返したり、新しく彫って納めるというシステムで信仰されていたという。

そのようなことを繰り返すうちに像の数が減ると歴代の住職も作り足したようで、作り手それぞれの作風の違いが確認できた。

仏師による作ではないためかどれも荒削りな仕上がりではあるが、とても温かみのある像だ。小さくてどこか可愛らしい像743体に囲まれ、これらの像がかつて人々の心を癒し救う存在だったことを肌で感じることができた。

ガイドさんの説明はここまで。あとは常設の展示室をゆっくりご覧くださいとのこと。
地元のガイドの方の説明を聞きながらの鑑賞は、“観る”だけに留まらない学びや体感に溢れたものだった。

千体観音像の展示は9/30まで


次回は同美術館の常設展示の桑原薬師堂の仏像群について。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?