Preferred Networksの資金調達と今後の戦略について
2024/4よりPreferred NetworksのCFOをしております堅山です。
（忙しすぎてちゃんといろいろ外に出せておらず、今後出していきたいと思っています！）
Preferred Networksでは、SBIグループをリードインベスターにEquity+Debtをあわせて190億円の資金調達を行いました。
Preferred Networksという会社は、AIに関わる人だと結構知っている人がいるのではないかなと思いますが、一方で、最近何をしているのか謎だよね、と正直皆さん思ってるのではないでしょうか？（わたしもおもってました）
いまのPreferred Networksは、世界で最も電力効率が高いスーパーコンピュータシステムを3回取ったAI半導体（GPUみたいなもんです）MN-Coreをもっていたり、フルスクラッチ(MetaのLlamaのファインチューニングでなく）で100BレベルのLLMのPLaMoを作ったり、技術力の高さを持ち続けている一方、実は事業上もちゃんと進捗していまして、グローバルで100社近くに入っているSaaSであるMatlantisや、すでにスーパーマーケット店舗などに実際に提供されているソリューションMiseMiseを作ったりしてます。
なかなかこういった幅の広い事業をやるというのは、あまりスタンダードなスタートアップの形ではないかもしれません。一方で、国内では、AI半導体やLLMといったゴリゴリのキャピタルインテンシブな技術開発をやろうとすると、純粋なリスクマネー主体だけからだと大きな出資を受けるのはなかなか難しいというのは、よくいわれることかとおもいます。（もちろん、リスクマネー主体で調達に成功されている会社もいらっしゃいますが、大枠としては同意される方も多いのかなと思います。）
そんな環境の中で、Preferred Networksには、優秀な人材がたくさん在籍しており、また、10年間事業を展開してきた実績・信頼が蓄積されています。この「資本」をしっかりと活かし、期待に応えることで、ソフトウェア事業でキャッシュも生み出しつつ、ハードウェアも含めた10倍・100倍になり得る幅広い技術に投資するというのは、国内のディープテックのイノベーションのひとつのあり方ではないかと思います。
例えば、実際に、PFNではAI半導体を2016年より開発していますが、その投資があったからこそ、今この場でのグローバルの勝負の場に立てる可能性があるわけです。さらに、LLMを作っているからこそLLM向けの半導体設計ができたり、自社AI半導体の性能特性の違いがソフトウェア側の競争力を高めたりする事例が生まれつつあります。これは、多様な技術開発をおこなっているからこそ得られるエッジではないでしょうか。
いま、PFNではいくつかのAI半導体を開発しているのですが、これは非常に面白いものになりつつあります。海外含めてセールスをしているのですが、本当に技術的にエッジのたったものを作ろうとしています。PFNのチップ開発には、経済産業省から、次世代AI半導体やシステムの研究開発に向けて、IIJ・JAISTと共同で、200億円の予算に採択されるなど、社会からの期待もいただいています。
そして、これらの技術・事業の進展から、勝負をするべきタイミングをいまだと考え、今回は、AI半導体・LLMをしっかりやっていくために、大きめの資金調達(5年ぶり)をしました。
足元のチャンスを活かすために、今回の資金調達額は大きくキャパシティを開けさせていただきました。さらに今後の継続的な資金調達も踏まえて、今回は今までと異なり、金融投資家の側面を持つ投資家の方々にもしっかりと入っていただきました。その中で、バリュエーションについては、キャパシティを大きくとっておりかつ5年ぶりの調達ということもあり、しっかりと再設定を行い、今後着実に事業のスケールを上げていけるような設計をさせていただくことができました。このような形でのラウンドを実行できましたのは、既存投資家・新規投資家の皆様のご理解・ご協力の賜物です。
さらに今回、資金調達と同時に、三菱商事様、IIJ様と合弁会社にて、弊社のAI半導体MN-Core 2を提供するサービスを発表しました。事業の方も加速していき、またさらに、来年度も様々なニュースをお届けできると思っています。（資金調達ラウンド自体も続いていきます）
ということで、簡単に、PFNが今回の調達において考えていることのサマリを書かせてもらいました。大企業と事業を進めている関係上、あまりバンバン外に何かを言うというのも難しく、特にスタートアップのエコシステムの方から見ていると、なかなか動きが見えないのではないかなと思いまして、PFNに興味を持っていただける一助となれば幸いです。
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