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12/23 プログラム・ノート④伝説

タイトルに振っている番号は、リサイタルでの演奏順で、投稿の順番とは無関係です。

プログラム前半の最後に演奏する、マルセル・ポーの伝説。この曲は、自分がホルンを始めた中学生のころ、何枚目かに入手して繰り返し聴いていた、ペーター・ダムのフランス音楽小品集に入っていて、その意味でも思い入れ深い曲です。2006年5月、ボストン留学から帰国して最初のリサイタルでも採り上げ、その時のプログラムノートが残っていて、内容的にも今読んで違和感がないので、そのまま転載してしまいます。リサイクル、エコです。

マルセル・ポー 伝説
ベルギーに生まれ、アントワープとブリュッセル、後にポール・デュカスのもとパリで作曲を学んだマルセル・ポー(1901-1988) 。音楽批評や放送業界でも活躍し、ブリュッセル音楽院の院長やエリザベート王妃国際音楽コンクールの審査員長等の要職を長年務める一方で、7曲の交響曲、室内楽、合唱曲、吹奏楽、金管バンド用の作品をはじめ、幅広いジャンルで多数の作品を残しており、最晩年まで “時計のような規則正しさ” で作曲を続けたと言われます。作風は、ロマン派の影響が強かった初期から、徐々に叙情性・感傷性を排し明晰さを尊ぶものに変化し、「プロコフィエフに近い」と評されたりします(余談ですが風貌もどこか似ているように思われます)。19世紀後半以降のヴァルヴ楽器の普及によってホルンはソロ楽器としても改めて認識され、特にナチュラルホルンの時代に既にヴィルトゥオーゾ的伝統が育まれていたフランスでは、教職にある作曲家達が音楽院の試験用に数多くの技巧的小品群を残しました。それらの多くが “狩り” “森” といった西欧的なホルンのイメージを背後に持つのに対し、ポーの “伝説”(1958)はやや異色です。序奏部Andantinoの呼び声は、この楽器の音色が一方で内包する非西欧的・呪術的特色を引き出していますし、日本の陰音階を思わせる音使いが随所に見られ、Allegro decisoの主部に入っても、箏を連想させるピアノのアルペジオは東洋的な印象をいや増すものがあります。ポーが思い描いたエキゾティックな “伝説”の中身に想像を膨らませるのも一興です。

Marcel Poot (1901-1988)


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