12/23 プログラム・ノート⑦Woven Journey
2023年12月23日、福岡県久留米市でリサイタルを開催します。その曲目についてのノートを、事前にこちらにアップしていこうと考えました。以前、2020年のリサイタルでも、略式のプログラムノートをFacebookに事前に上げたりしていたので、場所を変えてまた、という感じです。
まずは、後半の3曲目に演奏する、J. ネイガスのWoven Journey について。
ネイガスについては、最近だいぶ知られるようになってきました。ジョージア大学でホルンを教える傍ら、たくさんの作曲、ピアノ演奏などもこなしています。この夏、初めて実際にお会い出来ました(モントリオールのIHSシンポジウムに、Kendall Betts Horn Campを代表してデスクを預かっていました)。作風そのままの、本当に優しいナイスガイです。
この、2本のホルンとピアノのためのWoven Journey(今回、「紡がれる旅路」と訳してみました)は、2022年に書かれた新しめの作品です。jamesnaigus.comの作品ページにはこのような説明があります。「リンデル・ニューウェイの節目の誕生日を記念し、二人の共通の旅を祝うために、パートナーのアレックスからの委嘱で作曲されました。作品の各セクションは人生の旅路に沿った段階を表し、織り成す関係の経路を捉えています。リンデルはプロとしてオーストラリアのフリーランスシーンでホルンを演奏する一方、才能と創造性のあるキルターでもあり、自身のロングアームキルティングビジネスを経営しています。」
いくつかの異なるテンポ・拍子を持つ各セクションは、人生や人間関係の各段階を表している、「織られた・紡がれた」を意味するwovenという形容は、リンデルさんのもう一つの専門分野キルティングにも因んでいる、ということですね。
曲は、最も快活なテンポの4/4拍子の部分をほぼ中央に置き、前後は比較的緩やかな3拍子系のセクションを複数配置する、というようなシンメトリックな構造になっています。ネイガスの作品は、形式的には王道の、バランスの取れたものが多いのですが、この作品は例外的に、あともう少し続きそうなところであっさり終わってしまいます。おそらくですが、リンデルさんの人生の旅路はまだまだ途中、現在進行形である、といった含意があるのではないでしょうか。
この作品の前に演奏予定のSolsticeと並んで、ネイガスの抒情性・美しいメロディやハーモニーを満喫できる作品になっています。
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