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2024年11月9日 10:06
旅行どうだった? と彼女からメッセージがきた。 悪くなかったよ。と私は砂だらけの服をベランダにある洗濯機に入れながら返信した。 もうこんなマネタリーな関係やめないか。と途中まで打って消した。この関係をやめないかと打って送って、すぐに送信取消しをした。好きな人ができたんだと打ってまた消した。洗剤を入れて、煙草に火をつけて、洗濯機のダイヤルをミックスに合わせてスタートを押した。 少し仕事
2024年11月3日 12:20
社員旅行 規模にもよるが社員旅行を合同でやるのは珍しくはなかった。十月半ばになり、今年はレンの働いている懇意の印刷会社と合同で中型バスを二台借りてビーチに行き十棟ほどのヴィラに各五人づつ泊まる二泊三日の日程だった。出発前部下に節度を守って楽しむようにお灸をすえたが、バス内はカラオケ大会になった。流行りの歌なのだろうがほとんどわからなかった。 彼辞めたんだって? と言ってバスのとなりの座席
2024年11月2日 15:58
* 彼女の膝を枕にして寝っ転がった。その天井の電灯を背にした彼女の顔が遠く感じた。ん? と屈み近づいたあたまから垂れる桃色の髪が、私の目の先で揺れ、皮膚を撫でた。 服の下から彼女のお腹を擦った。胸の下まで滑らして下腹部の上まで、弦を弾くように撫でた。 きみの子供は、元気? うん。 あえて訊く必要はないと思っていた。ただそのつっかかりが心臓を撫でていた。 二人。