気のあう街
今まで行ったことがあり、気が合うなあと感じた街。いつか住んでみたい。
長野の善光寺、鎌倉、西荻窪、横浜山手。
山手はやはり同じように気が合うなあと感じたので一人暮らしをするときに選んだ街。
猫と暮らした毎日は、いまだに思い出すと帰りたくなるくらい、幸せな時間だった。
山の上のちいさなアパートの角部屋。
窓がふたつ。ひとつは観覧車が見える窓で、観覧車の時計で時間を知ることができた。いつもそこから猫と眺めていた。夏には花火が見えた。夕暮れが山を染めていく時間に、網戸から入ってくる緑の風が好きだった。当時はなんでもない1日だと感じていた。それが今思うと、もう手にいれることのできない、夢のようなときだったと気づく。朝起きて、自分の服を洗濯して、すこし掃除をして、自分の食べる食事を作って、働いて、好きなパンやに寄る、お風呂に入って、携帯のちいさな画面でテレビをみながら髪にドライヤーをかけて、ゆうげをし、猫が足元にまるまって眠る。人生で最後に、1日だけもう一度味わえるとしたら、あの1日かもしれない。