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問診の質

治せる治療家は問診のレベルが高い

私たちが目の前のクライアントに対してリハビリやトレーニング、施術を行う時には、必ず評価を行うことで問題の原因を特定します。

評価の中でも、視診や動作分析、各種の細かい評価が重要なのはもちろんですが、私は「問診」こそ最重要な評価だと思っています。

何をどこまで聴くか?

治せる治療家は必ずと言っていいいほど、この問診のレベルが高いです。

問診での問いかけが、クライアント自身が問題の根本原因を考え、気づいてもらう事に繋がるからです。

みなさんはどこまで問診を重要視していますか?

私自身、最近問診によって問題を解決でき、問診の重要性を再認識する機会があったので、今回は問診について整理したいと思います。


押さえておきたい問診

まずは一般的に言われている問診で聞く内容を整理してみましょう。

例えば、「腰が痛い」という方に対して、

どこが痛むのか?(Where)

いつから痛むのか?(When)

何をすると痛むのか?(What)

痛みがでだしたきっかけはあるのか?(How)
→明らかなきっかけがあるかないかで、急性外傷 or 慢性外傷かを把握します。
→その時の状況などさらに細かく聞いていきます。
※ここが特に重要。次の項で解説。

その他には、Howの部分と少し被ってくるところでもありますが、
既往歴
現病歴
家族歴(病気などの場合は遺伝なども影響する)
服薬情報
職業
運動習慣の有無
日常のよくとる動作
家族構成
など

この辺りは教科書レベルでも書かれている事なのでしっかりと押さえておきましょう。

しかし、大事なのはここで得た情報から、根本原因に辿り着けるかどうかです。

ただ教科書に書いてあるから、カルテに記載しなければいけないからという理由で問診を行なっていては、問診の本来の意味がありません。

だからこそ、問診の質が重要になってきます。



結果に差が出る問診の質

問診の質を高めるためのポイントは、「より具体的に聴く」という事です。

ただ、すべての項目を詳しく聞けば良いというわけではありません。

私は、上述したHowの部分をどこまで掘り下げるかがポイントだと考えています。

もちろん、深く掘り下げるためには、知識や経験が必要な部分もありますが、経験年数の少ない方でもできることはたくさんあります。

急性外傷と慢性外傷の2パターンで例を挙げます。

例①、急性外傷(腰痛)
(きっかけ)重たい荷物を床から持ち上げた時に痛くなった

どのような姿勢で持ち上げたのか?
→骨盤の角度や膝の位置
→足の着き方
→両手なのか、片手なのか
→握り方、どの指に力が入っていたのか
→どの程度荷物を移動させるつもりだったのか
→荷物の形
→荷物の重さ、具体的に何を運んでいたか
→持ち上げる時にどんな意識だったか
 (慌てていた、めんどくさかったなど)
→どこで?(職場?家?)
→日常的に重たいものを持つのか?
など

あげればキリがありませんし、ここで得られた答えによってさらに深掘りすることもあります。

ですが、この辺りが具体的になるだけでも、筋膜の繋がりや関節の適合性、運動連鎖などから推察できる部分もあります。

加えて、過去の既往などの情報から患部じゃないところから患部に負担がかかった原因なども予測がついたりもします。


例②、慢性外傷(腰痛)
明らかなきっかけがない場合

日常的に腰に負担がかかると思う動作は何か思いつく限りピックアップしてください?
(ex)座っている時間が長い、パソコン、車の運転
→どんな姿勢で座っているか?
→どんな椅子に座っているか?
→パソコンの高さはどうか?
→車のシートの角度は?
→ハンドルをどうやって持つのか?
など

これも回答によってさらに細かく聞いていきます。

急性外傷も慢性外傷も共通しているポイントは、クライアントが普段無意識に動いている事を、こちらの問いかけによってどうだったかを考えてもらうことです。

クライアント自身が、自分がなぜ腰痛になったかに気づければ、対策ができるので再発を防ぐことができます。
そこがわからなければ、施術をしても元に戻る可能性が高いです。

セルフケアを指導するのではなく、クライアントの症状に関係のありそうな生活習慣を問診によって一緒に考え、改善策を提示する。

セルフケアだけ指導していると、クライアントは一生そのセルフケアを続けなければいけません。

しかし、日常の生活の解決策を提示できれば、それを変えるだけで身体を良い方向に持っていくことができます。

「セルフケアよりライフハック」というのが、今私がクライアントと関わる上で重要視している部分です。

上記の座りっぱなしの例で言えば、パソコンの高さが低いことによって背中が丸まり、腰椎へのストレスやバックラインの硬さを作っていたとしたら、パソコンデスクの高さをあげられるように提案したりします。


また、1回目のセッションでこのあたりまで整理できたら、2回目のセッションでは、他に腰に負担のかかっていそうな動作や、動作後に腰回りに固さを感じる動作はなかったか?

1回目の問診の時には思いつかなかった動作が出てくることも結構あります。

また、指導した生活動作を変えてみて変化はどうか?

などを問診していきます。

初回以降も問診は継続的に必要です。

クライアント自身に考えてもらう、気づいてもらうような「問いかけ」が結果を大きく左右します。

我々セラピストが「治してやる」ではなく、クライアントに「治ってもらう」というスタンスが上手くいくのではないかなと私自身は思っています。

みなさんは問診にどこまでこだわっているでしょうか?


お読みいただきありがとうございました。


謙虚・感謝・敬意
知行合一・凡事徹底
岩瀬 勝覚


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