やらせることが目的になっていないか? 岩瀬コラム24
本来の目的は何か?
「自己研鑽しない部下に勉強させるよう月1回研修会の発表者を全員でまわそう」
「言うことを聞かない人にはペナルティを与えよう」
「対応に問題があったから謝罪をさせよう」
組織をまとめる立場にあると、どのように部下をコントロールしていくかというマネジメントを求められることが多いかと思います。
問題があったら、それに対しての対策が求められ、「本来こうあるべきという理想」と「現実とのギャップ」に苦悩している方も多いのではないでしょうか?
これは、仕事だけでなく、子育てやスポーツなどのチーム活動でも共通して言えることだと思います。
私自身もこのような問題に対して適切に対処できているかと言われると、自信を持って「はい」と答えることはできません。
しかし、冒頭のような対応には強烈な違和感を感じます。
なぜなら、
・強制的に勉強させる。
・管理しにくいから罰を与えて強制的にコントロールする
・とにかく謝らせる
といったように、「やらせることが目的」になってしまっていると感じるからです。
短期的には上記手段が有効のようにも感じますが、「本来の目的」に対してこれらは本当に有効なのでしょうか?
また、その本来の目的を相手は本当に理解しているのでしょうか?
研修会を行う目的は何か?
なんのために自己研鑽するのか?
なぜ謝罪するのか?
まずはその部分を整理する必要があるかと思います。
やらされてきた経験
ただその行為を求めるだけでは相手に本当の目的は伝わりません。
私たちがつい、そのような対応をしてしまうのは、自分たちがそのように育ってきたからという側面があります。
例えば学校の「宿題」も良い例です。
宿題の目的はなんでしょうか?
「わからないことを調べる習慣を身につけること」「新しい気づきを得ること」など、人によって多少の解釈は異なるかもしれませんが、このように答える方が多いでしょうか。
私は高校生の頃、宿題の量が多くて、「宿題を終わらせること」が目的になっていました。
宿題を提出できず成績が下がることが嫌で、答えをみて写したりもしました。
勉強する楽しさがわからず、宿題と聞くと嫌な気持ちになり、家で勉強することにも抵抗があったのを覚えています。
また、私の小学生の甥が先日「宿題が終わらない」と泣きながら机に向かっていました。
大人になっても学ぶことは大切です。
でも、学ぶ楽しさを知ることの方がもっと大切だと私は思っています。
上記のような経験が積極的に学ぶ姿勢に繋がるのであれば良いですが、私はそうは思いません。
宿題はほんの一例ですが、「自分たちがそうしてきたから」という経験だけで物事を判断するのではなく、どうしたら本来の目的が達成できるかという視点が大切ではないでしょうか?
長期的に捉える
目的を理解しないまま、相手が「やらされている感」を持つことによって、モチベーションの低下や信頼関係の崩壊などデメリットの方が大きくなることもあります。
短期的な表面上の改善よりも、長期的にみて「相手にどのようになって欲しいか」という視点が重要です。
結果が出るまでに時間はかかってしまうかもしれません。
それによってイライラしてしまったりすることもあるかと思います。
ですが、相手の成長を望むのなら「やらせること」よりも「本来の目的」を理解してもらい前向きに取り組んでもらうことが大切です。
根気強く、愛情を持って成長を手助けしていく姿勢を大事にしていきましょう。
あなたは、目の前の人にどのようになって欲しいですか?
お読みいただきありがとうございました。
岩瀬勝覚
理学療法士
JARTA認定スポーツトレーナー
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