悪いことをしてまで儲けるのは何故だめなのか?

先日、大学のとある経営学の講義で、科学的な根拠のない「水素水」とか「サプリメント」のような商品を販売して儲けることは、経営学的に「是」としてよいのかどうか、という議論があった。

「もちろんダメ」というのが僕の答えだったし、ほとんど多くの人がそう思うだろうと思う。しかし、なぜダメなのか、ちゃんとした理由が思いつかなかった。ここで注意したいのは、あくまで「経営学的に」という点である。倫理的に考えるとそりゃダメだし、経営学にも企業倫理という観点があるようだが、そのあたりはよく知らないので一旦おいておいて、「経営学的に」なぜ悪いことをしてまで儲けることは認められないのか、ということを考えてみた。

そもそも「商売」というのは、けっこう眉唾なところがあって、とくに値付けなんかはけっこういい加減なことが多い。たとえば有名な話でマクドナルドのコーラの原価が数円程度(本当かどうかは知らない)なのに売値は100円以上したり、不動産の中古マンションなんかは相場次第で、新築から10年後に販売しても新築時点と同じ金額で売れてしまうことがあったりする。要は買い手が価値があると思って、満足して買ってくれるのであれば、それで成立してしまうし、それが適正価格といえるのが「商売」である。

そんな中で、例えば疑似科学にもとづく「水素水」がめちゃくちゃ売れて利益がでている会社があるとして、その会社はなぜ経営学的に認められないのだろうか。答えが出ずしばらく悶々としていたので、その考えを整理してみた。

まず考えたのは、「1.法律違反だから」という答えである。「1.法律違反だから」というのは、言い方によっては合っているような気もするし、なんとなく間違っているような気もする。しかしちょっと考えてみて、法律なんてものは国や地域によって違うし、ある意味で主観的なルールなので違うような気がした。日本のUberみたいに、国によっては認められないビジネスもあるし、逆に法律に反しなければ、どんな手を使って儲けてもよいのか、というのも何か違う気がする。

次に考えたのは、「2.相手に迷惑(負の影響)がかかるから」だった。しかしこれもなんか違う気がした。なぜかというと「水素水」について、相手が疑似科学による根拠を信奉して満足して喜んでいたとしたら、それでクリアされてしまうからである。

そして最後に思いついたのが「3.相手含め、周囲に迷惑(負の影響)がかかるから」だった。

でもこれも何か違うような気がした。よく考えたら「2」もそうだが、そもそも自社の利益を追求するのが企業なのであれば、他者(他社)がどうなろうと知ったこっちゃない、というような反論ができてしまって結局最初に戻ってしまう。しかし、ここでふと思いついたのだが、近江商人も商売は「売り手より、買い手よし、世間よし」であるべきだといっている。「3.相手含め、周囲に迷惑(負の影響)がかかるから」というのは「世間よし」というのと近い。やっぱりこれはあっているように思う。

ではなぜ「世間よし」にしないといけないのか。これはつまり、企業の活動には継続性が必要だからではないか。つまり、倫理的に悪いことをすると、法律に違反していたとしたら捕まってしまうし、違反していなくても社会的に吊るし上げられたりして、その栄華は続かない。

企業は中長期的に利益を追求し、成長を続けなければならないので、そのために綺麗事ではなく「世間よし」な商売をしなければならないし、「3.相手含め、周囲に迷惑(負の影響)がかかる」ことを生業にしてはいけない。

できるだけ世間の皆様にいいことをして、短期的ではなく長く儲かることを実施するのが経営学的に正しいのだから、「水素水」で儲けてはいけない。自分も短期的に儲けるのではなく、お客さんや世間に感謝されるような意思決定をしていこう。そうしっかりと思えました。

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