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ロックバンドは座っても観られた ~【ネタバレなし】USG 2020 "LIVE (on the) SEAT"~

ロックバンドは座っても観られた。

UNISON SQUARE GARDEN 久しぶりのリアルライブ、「USG 2020 "LIVE (on the) SEAT"」の謳い文句、「ロックバンドは座っても観られる」に対しての、紛れもないアンサーだ。

そう、今日本当に久しぶりにユニゾンのライブを隔たり無く、同じ空間で観ることができた。
配信ライブを3回観てきてるから全然そんな感じしなかったけど、リアルに動いてる彼らを目撃するのは昨年のB面縛りツアー「Bee side Sea side」以来だったのでびっくりだ。

あまりに最高で、震えるぐらい感動したので、その余韻のままに書き殴る。
無論、まだツアー真っ最中なので曲目や演出に関するネタバレは無しだ。

だが、どうしても自分の感じたことを言葉にすると、それがバイアスになってしまう可能性もあるので、これからライブを観る予定の方はここから先は読まず、まっさらな状態で観ることをオススメしたいと、念のためことわっておく。
マジでロックバンドの尊さに感動するから…。

以下【ネタバレなし】感想
















UNISON SQUARE GARDENは昨年、15周年を迎えた。
対バンツアー、大規模な野外ライブ、トリビュートイベント、B面ツアーと盛り沢山にライブをしてくれた。
今思うと、本当に今年じゃなくて良かった…。

とはいえ、ライブをするのがロックバンドという生き物だ。
今年は対バンツアー「funtime HOLIDAY 8」は延期になってしまい、メンバーもファンも情熱の行き場を失っていたであろう、この半年余り。

しかし、この状況を逆に利用し、楽しめるものは楽しんでしまおうというのがUNISON SQUARE GARDENだ。
まず、1人3曲まで選べる楽曲人気投票を行い、その上位30曲の中からセトリを組むという配信ライブ「USG 2020 "LIVE (in the) HOUSE"」を7月に行った。

そして次に、31位から70位までの曲縛りでの配信ライブ「USG 2020 "LIVE (in the) HOUSE 2"」を8月に…いかにもユニゾンらしい(笑)

さらに9月には「ロックバンドの生存確認」をコンセプトに、彼らと縁のある7バンドを招いての自主企画配信イベント「funtime HOLIDAY ONLINE」を派手に開催した。

流石はUNISON SQUARE GARDEN、毎回オンラインならではの趣向を凝らしてくれて、それはそれは楽しいものだった。
だがその3回の配信ライブも、今日のこの1時間のためだったのだと、東京ガーデンシアターでのライブを観て思い知らされた。

10月からいよいよ、有観客でのツアー「USG 2020 "LIVE (on the) SEAT"」が始まった。
9月末に8枚目のアルバム「Patrick Vegee」がリリースされたばかりだが、それを引っ提げたツアーはまた別口で開催されるそうで、あくまでも今回は「ロックバンドは座っても観られる」をテーマに行われる。

時間は1時間きっかり、日によっては夕方と夜の2部制で、マスク着用必須・声出し禁止の、着席ライブ。
清掃サービス大手「ダスキン」社がついて会場全体の消毒を行い、来場者にも接触確認アプリ「COCOA」のインストールを義務づけ、検温を実施するなど、コロナ対策は万全だ。

東京ガーデンシアター(恵比寿のガーデンホールじゃないよ、有明だよ)は初めて来たがホールにしてはかなり大きく、座席間隔を1席ずつ空けての動員とはいえ、元が8,000キャパらしいので、単純に半分だとしても4,000人、2日にわたり3公演行われるので、この会場だけでも12,000人がライブを目撃できることになる。

それだけに…というのと、やはりまだまだコロナ禍であり、手放しでライブを楽しみに来づらい人も多いのだろう、チケットも当日買えるほど余ってしまっているのがリアルな現状だ。

しかし、それでもたくさんの人が集まっていて、それぞれ想い想いのツアーTシャツや今年通販で出たTシャツを着て集結している感じは久しぶり。
その光景だけでもグッときてしまう。

それにしても、初めての着席ライブ。
ここ最近配信ライブは基本PCやデバイスの前で座って観ていたから、何てことはないのだが、いざあの動きまくるベーシストを前にして座っていることが可能なのだろうか…。

まったく予想がつかない中、場内アナウンスが流れ、会場が暗転し、ライブがスタートした。
この始まり方も今回ならではのものになっているのだが、斎藤さんの歌声を聴いた瞬間、ブワァっと身体中に響いてくるものがあり、涙腺を刺激した。
そしてバンドの音を浴び、決壊した。

大好きなロックバンドが目の前で音を鳴らしている。
そんな当たり前のことが、こんなにも嬉しいことだったのかと、これまで3回、オンラインという隔たりのあるライブを観たからこそ、まず物凄い感動に襲われ、心と身体が覆い尽くされてしまった…。

ユニゾンの曲はほぼ全て、田淵が作詞しているが、特に深い意味が込められているわけではない。
どちらかというと、メッセージを意識するというよりは、音にハマる、耳心地が良い言葉選びをしている印象だ。

だが、時にそんな歌詞たちが意味をもって聞こえてきたり、そのときだからこそメッセージをもって響くときがある。
今回のライブがまさにそうだった。
メンバーの真意は分からないが、それを実感したときの感動にもまた、とてつもなくブチのめされた。

ただし、3人は至って通常運転だ。
寸分の狂いもない超人的なギターボーカル、縦横無尽に動き回りながらグルーヴを放つベース、圧倒的な手数で音を埋め尽くすドラム。
座って観ていたからか、いつも以上に集中して観られたのもあるのだろう、いつも以上にマスクの中で笑みが止まらなかった。

観ているこちらは声を出すことができない。
立ち上がってジャンプしたり、ステップを踏んだりすることもできない。
だが、それでもめちゃめちゃ楽しい。
それが制約であるのを忘れてしまうくらい、身体を横に揺らし、腕を振り、手を叩き、その瞬間にできる最大限の楽しみが引き出された。

ロックバンドは座っても観られた。

UNISON SQUARE GARDENはどんな状況でも観ている人たちを楽しませる天才だ。
久しぶりに彼らの音を生で浴びれる夢のような時間はあっという間に終わり、1時間後、ライブが終わる瞬間にフッと日常に引き戻されるような感覚にハッとさせられた。

詳しくは言えないが、この緩急というか、コントラストをいつも以上にハッキリと感じさせてくれるような要素があり、きっとそれは、リアルライブは尊いものなのだということを教えてくれる、ユニゾンなりのメッセージだったのかもしれない。

たった1時間。
なのに、物凄い感動と充実感に包まれた。
本当に、生きてて良かった。
マジで、大袈裟じゃなく、生まれてきて良かった。

この感覚は何物にも代えがたく、きっと二度と味わえないだろう。
久しぶりだからこそ、初めてだからこその感覚。
各自、いろいろな楽しみ方があり自由なので、前述の通りチケットが余っているという状況を利用して、2部制の日は2部ともハシゴしたり、2daysしたりすることも、会場によってはできる。

だけど自分はこの感覚と余韻を大切にしたいので、次のライブは「Patrick Vegee」引っ提げツアーにしようかな。
そう想えるぐらい、ぎゅっと詰まった充実の1時間だったのだ。

…いや、でもまだまだツアーは続くし、GO TO キャンペーンも東京解禁になったので、気付いたらフラッと地方の会場に顔を出していたりして←