ありし日の思い出が蘇るリメイクジュエリー
カバンの中から大事そうに取り出された巾着袋。
その中から出てきたのは、ベルベット調で高級感のある紅白の大きなリングケースでした。
今回は、婚約指輪からペンダントへリメイクのご依頼をいただいたときのお話しです。
当時のまま「寿」と書かれた紅白のリングケースに入ったその指輪は、立体的でオシャレなデザイン。
「このままだと何かに引っ掛けたりしそうで危なくて使えないから、ペンダントにしていつでも着けられるようにしたい」
というのが今回のご依頼でした。
先に旅立たれた旦那様との思い出が詰まったダイヤモンドの指輪。
婚約当時、一緒に選びに入ったお店で、その指輪を見た瞬間「これがイイ!!」と言って、手にした指輪を決して離さなかったそうです(*^^*)
その時の様子を、少女のようにハニカミながら話してくださる姿が本当に可愛らしくて印象的でした。
一目惚れしたその指輪が、30年以上経った今でも当時のワクワクした胸の高鳴りを思い出させてくれているようです。
デザインのご希望は、シンプルな一粒ペンダント。
そこで、定番のデザインをいくつか見ていただきました。
それを楽しそうに選んでいただいている中、
わたしは、指輪のデザインをそのまま残してペンダントへすることも出来ますよ。とご提案させていただきました。
リメイクのご依頼は、基本的にはお客様のご希望に添うように進めさせていただきます。
今回お話を伺いながら、これからもこのダイヤモンドが傍で見守ってくれるのだなと想像しながら、感じたままにご提案させていただきました。
この指輪は、とても気に入っているデザインで旦那様との思い出もたくさん詰まっています。
なによりも、当時のことをお話しされている様子が、少女のように可愛らしく胸を高鳴らせていらっしゃるのです。
構造的にも可能でしたので、デザイン画でイメージしていただき、
最終的にはご本人に選んでいただいて、今回のリメイクがスタートしました!!
リメイクは、信頼する職人さんへデザイン画をもとに希望を伝え、構造上問題がないかなどを相談しながら進めていきます。
着けたときにペンダントが安定するよう調整していただき、ダイヤモンドを留めている石枠は、当時主流の“鬼爪(おにづめ)”と呼ばれる地金を肩のように張り出してガッシリしたものから、王冠型で小ぶりの“立爪(たてづめ)”に変更。
切って、削って、繋げて、曲げて・・・
言うのは簡単のようですが、貴金属を綺麗に仕上げるのはまさに職人技です。
1ミリのズレが大きな誤差になってしまうのです。この “小さな世界” にたくさんの知識と技術が結集します。
イメージ通り綺麗に仕上がったペンダントを見て、わたし自身もワクワクしながらお渡ししました。
新たに生まれ変わったペンダントを見てとても喜んでくださり、早速着けて鏡を見ながら輝く首元を眺めていらっしゃいました。
そして受け取られたその日、家に訪ねてきたお孫さんに「綺麗なペンダントしてる!似合ってる!」と言われた。と、後日嬉しそうにお話ししてくださいました。
ありし日の思い出と高揚感を蘇らせ、再び活躍するリメイクジュエリー。
これからもペンダントを着けるたびに、旦那様との思い出と温もりを感じて笑顔になってもらえたら嬉しいです(*´꒳`*)♡