英断を!~企業経営者のみなさんへ
■コロナ禍から社会を救えるのは企業経営者の英断しかない
主に福岡県の企業経営者のみなさんに向けて書きます。
しかし、他の都道府県でも状況は似通っています。
福岡県は今、日本で一番、感染拡大速度が大きい県です。
感染者は3日で2倍に増えています。その速度はニューヨーク市の感染拡大速度とほぼ一致しています。
「国や行政から業務停止の要請が来てからでもいいのでは?」
それでは、遅すぎる判断になります。
次に示すワーストケースの試算では、
・企業活動8割減を1週間延ばせば4月29日くらいに命の選別を含む医療崩壊が起きます。企業活動を強制的に止めざるを得ない状況に陥ります。
・企業活動8割減を2週間延ばせば5月6日くらいには入院もできず、ただ絶命を待つしかない状態の人が福岡県だけで1000人くらい出てきます。最終的に東日本大震災の何倍もの死者と企業活動の低下を経験することになります。
しかし、政府は特別措置法を無意味にしてしまう「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の改定が4月7日に行われており、特措法特命大臣は「2週間は様子を見て民間に休業要請はしないように」という要請を指定都府県にしています。
もう政府は最後の切り札をどうにも意味がない形で切ってしまいました。
物事が悪い方向に向かっているときは、ワーストケースを想定し、最善の手を最速で打つことが、企業を守り、社員を守り、顧客を守る方法だと思います。
そして、それが社会を守ることになります。
今、社会を救えるのは、企業経営者の英断しかないのです。
■福岡県を事例に・・・尋常ではないワーストケース
感染拡大速度が3日で2倍ということは、毎日感染者数が1.26倍の複利で増えていくということです。
この状況が続くと以下のようなことが起きます。
昨日・・・4月8日
1日25人の感染者 累計224人
指定病院の感染症病床を66床から250床に増床するとのことたが、軽症者まで入院させていると10日にも満杯になる状況。
軽症者を別に移動させる政策は今日、明日にも決める必要あり。
1週間後・・・4月15日
1日128人の感染者が発覚。累計で感染者は700人を超す。
呼吸器が必要なくらいの重症化率は日本の今の状況で2%くらいなので、この時点で14人くらい。
また感染者一人の発生に対して現在平均16人PCR検査していますので、今と同程度なら1日2000人以上検査しなければならなくなります。
このあたりで福岡県の一日の検査能力の限界が来るのではないかと思います。
これまで感染拡大の指標としていた感染者数は、これ以降はあてにならなくなります。
また、感染者から追跡して感染拡大を防ぐ方法も限界となるでしょう。
ここで「ヤバイ」となって、企業の8割を閉鎖しても2週間後の4月29日までは、この予想通りに進みます。
2週間後・・・4月22日
1日635人の感染者が発覚。累計で感染者は3000人を超す。
重症者は64人。
感染者の分離がうまくいかないと、院内感染が多発して多数の病院の機能が失われる。新型コロナ以外の疾病の患者の治療が滞るようになるでしょう。
医療崩壊寸前の状況です。
このころの感染者の報告数は、この予測より少なくなると思います。検査が追いつかない状態になっているからです。
感染拡大の評価指標は重症者数でみていくことになるでしょう。
ちなみに新型コロナ肺炎の重症者はCTを取れば、すぐわかるそうですので、通常の肺炎と誤診される確率は低いそうです。
ここで「ヤバイ」となって、企業の8割を閉鎖しても2週間後の5月6日までは、この予想通りに進みます。
3週間後・・・4月29日
推定1日3200人の感染者が発生。累計で感染者は15000人を超す。しかし、もはや感染者数は概算でしか追えない状態です。
重症者は312人。
福岡県下の人口呼吸器は約300台。
この時点で命の選別を始めなければならない状況に追い込まれます。
多くの病院は、通常の診療にも支障をきたし、コロナ禍関連死が急増するでしょう。
医療崩壊です。
多くの企業が、自発的に休業ではなく、社員の感染や物流の滞りで休業を余儀なくされるでしょう。
食品や日用品が普通に手に入る市民生活が脅かされはじめるでしょう。
ニューヨークは今、このような状況にあると思います。
この感染がいつ収まるか見通せない状況になり、多くの企業経営者が「持ちこたえられない」と考えるようになるでしょう。
遅すぎます。
今、特措法担当大臣の言う通りにしていると、この状況にいたるということです。
ここまでくると、政府が決断しなくても、企業経営者が決断しなくても、企業活動は停止せざるを得なくなります。
それでも2週間後の5月12日までは、この予想通りに進みます。
4週間後・・・5月6日
推定1日16000人以上が感染。累計で感染者が8万人近くになります。この程度では集団免疫はまだ機能しないので、感染速度はそれほど下がらないでしょう。
重症者は1500人以上。
その半数以上は命の選別の結果、病院に入院することすらかなわいでしょう。死亡率が急激に上がると思います。
多くの患者が、自宅で呼吸ができない状態で絶命することになるかもしれません。孤独死も多数起きるでしょう。
(通常の肺炎より急激に症状が進むそうです)
医療機関だけでなく、食品・日用品の流通、ライフラインまで大きな影響が出るでしょう。
新型コロナによる直接死より、関連死のほうが多くなるかもしれません。
多くの人が絶望感にさいなまれるでしょうから。
5週間後・・・5月12日
推定1日8万人以上が感染。累計で感染者が40万人近くになります。
ここまで来て、ようやく集団免疫がすこしずつ効き始め、感染拡大速度が低下しはじめるでしょう。
重症者は8000人くらい。
もう命の選別や関連死は日常です。
イタリアで起きたように、葬儀もできない状態で遺体を自宅に安置するしかなくなるかもしれません。斎場も火葬場も機能しないでしょうから。
それでも、重症者は、このあと2週間くらいは増加しつづけます。
■2週間決断が遅れれば更なる厄災が起きる
おそらくは、日本全体で同様のことが起きます。
東日本大震災の何倍もの経済活動の低下が襲ってくるでしょう。
日本の主要都市がこの状態に至ったとすると、企業活動が復活するのに何年かかるでしょう。
もっと厄介なのは食料の問題です。
4月~5月の農業は、ちょうど田植えをはじめ農作物の植え付けの時期です。高齢者の多い農業に感染が広がれば、1年間の食糧確保ができなくなります。
そもそも6割の食糧を海外に頼っている国です。
コロナ禍は世界中で起きていることですから、海外からの食糧供給は確実に難しくなりますから、食料は相当に厳しくなります。
■今なら間に合う
今なら間に合います。
政府、行政の「要請」を待たずに行動しましょう。
一番のカギは、企業経営者です。
「わが社の仕事は人々の生活に必要」
当然です。それが企業の存在価値ですから。
ゼロベースから逆算するのが良いでしょう。
まず、今日、全事業の停止命令を社員に出したらどんなことが起きるか想像することです。
資金繰り、業務、社員、取引先・・・多々問題が思い浮かぶでしょう。
打てる手を全部打ちましょう。そこそこ使える政策があります。
自分の顧客に医療・ライフライン関係があれば、そこは最優先で維持しましょう。
それ以外の業務は1カ月停止することを検討しましょう。
在宅でできる仕事は、在宅に移しましょう。
そこまで考えれば、今の状況下で社会のために必要最小限の仕事が見えてくるでしょう。
そのうえで、どうしても出社が必要な社員は、最も人との接触が減る通勤方法、最も人との接触が少なくて済む業務のやり方を考えましょう。
乳幼児、小学生がいる社員は、なにより優先して休業させましょう。これで保育園・学童がクラスターになるリスクが格段に減ります。保育園・学童がクラスターになると、医療関係・ライフラインに従事する人たちが感染して動けなくなります。
ともかく5月6日までは、それでやりましょう。
感染者倍増の日数が3日になっているものが、少しでも伸びれば、崩壊までの日数はずいぶん違ってきます。