2024年 第18回春季全国高等学校演劇研究大会(福島大会)
11年ぶりの福島開催。震災の影響を受けたふくしま総文の思いも乗せて。
第18回春フェスは3月22~24日、福島県いわき市のいわき芸術文化交流館アリオス 中劇場で開催された。
出場校について
北海道ブロック代表
北海道余市紅志高等学校 初出場
「被服室の変」余市紅志高校演劇部作
2014~23年の10年間で全道大会に出場する事8回と、近年の後志支部を代表する高校。2018年には「おにぎり」で夏の全国大会に出場し、内木文英賞を受賞している。
昨年は2021、22年に続く3年連続での全道大会優秀賞に輝き、初の春フェス出場を決めた。後志支部から初の春フェス出場でもある。
東北ブロック代表
山形県立置賜農業高等学校 初出場
「獅子は踊る」成澤久美作
前顧問河原先生の指導下で、2008年夏の全国大会に初出場。その後は現顧問である成澤先生の作品で県大会に安定して出場し、コンクール以外でも各地で食育ミュージカルを上演するなどの活動をしていた。
近年は部員数が減少するも2022年に部員4人で東北大会に出場し優秀賞を受賞。続く2023年も4人で東北大会に出場し連続の優秀賞。今度は春フェスに推薦された。山形県の学校としては昨年の鶴岡中央高校に続く春フェス連続出場である。
北関東ブロック代表
群馬県立伊勢崎清明高等学校 9年ぶり2回目「㈱カンパネラ工業」原澤毅一・山本朱莉・北爪佑奈作
2015年以来の春フェス出場。群馬県の学校が全国大会に出場するのは春夏通じてもそのとき以来のこと。
顧問の原澤先生は前橋南高校時代に全国大会最優秀賞の経験あり。また、東日本大震災の影響で香川開催となったふくしま総文にも出場しており、今回は13年越しに福島で全国の舞台に立つことになった。
南関東ブロック代表
茨城県県立下妻第一高等学校 初出場「TABOO」冨山望作
3年ぶりの関東大会で優秀賞に輝き初の春フェス出場。茨城の学校が春フェスに出場するのは16年ぶり2回目のこと。
作者の冨山さんは同校の外部コーチで、前回の関東大会にも冨山さんの作品で出場している。
中部日本ブロック代表
石川県立金沢商業高等学校 初出場
「子どものままでいて」藤岡梁子作
夏の全国大会に出場した1980年以来となる全国の舞台。当時は開催県代表としての出場だったが、中部日本大会の記録によると文部大臣奨励賞(最優秀賞)を受賞している。今回は生徒創作で44年ぶりに中部日本大会で入賞し春フェス出場となった。
2022年の星稜高校に続く石川県の学校の春フェス出場で、2027年の全国大会に向けて盛り上りを見せている。
近畿ブロック代表
神戸常盤女子高等学校 初出場
「653−0824」㈲山ヤ百貨店作
激戦区の兵庫県で近畿大会に2年連想出場を果たし、初の春フェスに推薦された。作者の㈲山ヤ百貨店は生徒顧問合作の名義のようである。兵庫の学校が春フェスに出場するのは2019年以来5年ぶりのこと。また、兵庫県による8度の春フェス出場は全て違う学校となっている。
所属する神戸支部には昨年夏の全国大会に出場した滝川第二高校もおり、今年は近畿大会の優秀校2校が推薦される春秋座招待公演にアベック出場を果たしている。(近畿大会最優秀賞だった東播工業高校は出場せず)
中国ブロック代表
(岡山県)岡山学芸館高等学校 2年連続2回目
「ゴリコン」柳雅之作
初出場だった昨年に続く春フェス出場。春フェスの連続出場は、中国地区の学校としては初めてのこと。
同校は毎年福島で開催されているハイスクール劇王にも参加しており、今年も春フェスの翌週ながら参加するとのこと。
四国ブロック代表
徳島県立小松島高等学校 初出場
「ユメちゃんはいつも不機嫌」中田夢花・村端賢志作
2022年に村端先生が赴任。同年は大会に参加せず独自に公演を重ねたが、翌年は11年ぶりの出場となった四国大会で春フェスに推薦された。今作は村端先生が前任の徳島市立高校で2019年に上演した作品。作者の一人である中田さんは翌年「水深ゼロメートルから」で夏の全国大会に出場。同作は映画化も決まっている。
村端先生は前回2013年に福島で開催された第7回春フェスにも出場している。(富岡東羽ノ浦校「避難」)
九州ブロック代表
福岡県立戸畑高等学校 初出場
「私こしひかり」尾崎亜子作
2022年に9年ぶりに九州大会に出場。翌年も連続で九州大会に進み優秀賞2席。夏の全国大会への出場校が持ち回り枠で2校になったことで、春フェスに推薦された。
作者の尾崎さんは高校1年生から連続で九州大会創作脚本賞の快挙。
北九州地区から初の春フェス出場でもある。
開催県代表
福島県立福島南高等学校 4年ぶり2回目
「放課後クエスト-セノオモエ彷徨篇-」矢野青史作
震災やコロナによる喪失と向き合い続ける演劇部。
2019年の東北大会で優秀賞1席に輝いたものの、春フェスは新型コロナウイルスにより直前で中止。初めての全国は映像配信となってしまった。翌年にはその体験を基にした「paradise lost ―つめたくなるまで、だきしめて―」で再び東北大会に進み優秀賞を受賞している。
昨年はそのとき以来3年ぶりとなる福島県大会最優秀賞で、再び春フェスへの切符を手にした。
作者の矢野青史は、顧問である西田先生のペンネーム。
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高校演劇の全国大会・春フェスについて、大会ごとの概要を纏めた記事。 出場校の紹介、大会における記録・トピックス、上演作品について等。 20…
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