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5. 不動産登記の概要【第18回考査選択問題集】

全22問 / 2024-11-08公開(約8,900文字)


本noteでの表記等

  • 不動産登記法
    →不登法

  • 不動産登記令
    →不登令

  • 不動産登記規則
    →不登規則

  • 不動産登記事務取扱手続準則
    →不登準則

  • 建物の区分所有等に関する法律
    →区分法

1. 不動産登記制度の概要

問1(不動産登記の公信力)

不動産登記には公信力があるため、登記記録を信じて取引をしたものは、確定的に権利を取得する。

[予想問題]

解:×(テキスト記載なし)
不動産の登記簿に記載された内容に効力が生じることを公信力という。
我が国の不動産登記には公信力がないため、真実の権利関係と登記の記載とが異なっているときは、仮にその記載を信用して取引を行っても保護されないのが原則である。
ただし、通謀虚偽表示のケースは例外となる。

※参考:不動産の登記には公示力はあっても、公信力がないと言われますが、どういう内容でしょうか。(公益社団法人全日本不動産協会)[参照 2024-11-08]

問2(登記の申請義務)

不動産の表示に関する登記には申請義務があるが、不動産の権利に関する登記には申請義務がない。

[予想問題]

解:×(講義テキスト記載なし)
表示登記には申請義務がある。
新たに生じた土地又は表題登記がない土地、不動産の表題部に記録されている所在、地番、家屋番号、地目、地積、構造、床面積等について変更が
生じた場合、新たに建物を新築した場合には、1か月以内に表題部に関する登記を申請しなければならない(不登法36条、37条、51条ほか)。

一方、権利登記は、相続登記のみ申請義務がある。
令和6年4月1日より、相続登記の義務化が開始された。これは、相続により(遺言による場合を含む。)不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないというものである。また、遺産分割協議の成立により、不動産を取得した相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記の申請をしなければならない。なお、正当な理由がないにもかかわらず申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科されることがある。

※参考:知っていますか?相続登記の申請義務化について(宇都宮地方法務局)[参照 2024-11-08]

※補足
昨年度までは、不動産の権利登記の申請義務は無かった。

問3(不動産登記の効力)

不動産登記は、第三者対抗力、権利推定力、及び形式的確定力を持つ。

[予想問題]

解:◯(講義テキスト記載なし)
不動産登記は、主に以下の3つの効力を持つ。

  1. 第三者対抗力(民法177条)
    これにより、当事者以外の者にも権利を主張することができる。

  2. 権利推定力
    既になされた登記が存在するときは、その記載のとおりの実体的権利関係が存在するという推定を生じさせる。

  3. 形式的確定力
    一度登記がなされれば、その登記の有効無効を問わず、その後の登記手
    続において当該登記を無視して手続きをすることができない。

2. 公証資料

問1(地役権の登記)

一筆の土地の全部又は一部に地役権が設定されている場合、地役権図面を提出しなければならない。

[予想問題]

解:×(講義テキストp269付近)
地役権の登記事項には、地役権設定の目的及び範囲がある(不登規則159条)。地役権の設定の範囲が承役地の一部である場合において、地役権図面番号を記録しなければならない(不登規則160条)、つまり、申請の際に地役権図面が必要となる。
地役権の設定範囲が承役地の全部である場合、地役権図面は必要ない。

※なお、承役地の全部に地役権が設定されている場合は、範囲に「全
部」と登記される。

※参考:通行地役権設定登記がなされている不動産登記簿を読む(司法書士八木隆事務所)[参照 2024-11-08]

問2(地図)

いわゆる公図とは、不動産登記法14条の地図や地図に準ずる図面の俗称である。

[予想問題]

解:○(講義テキストp262付近)
法14条の地図及び地図に準ずる図面を一般に「公図」と呼ぶ。ただし、地図に準ずる図面を公図と呼び、地図と区別する場合もある。

  • 法14条地図(不登法14条1項)
    法務局作成の地図、国土調査の成果による地籍図※、土地区画整理の成果による土地所在図※等

  • 地図に準ずる図面(不登法14条4項)
    土地台帳附属地図、国土調査の成果による地籍図、土地区画整理図、耕地整理図、土地改良図

※但し、地籍図及び土地所在図は、地図としての要件を満たすものに限る。

※テキスト未記載
法14条地図について、平成16年の法改正前は17条に規定があり、法17条地図と呼ばれていた。

問3(地積測量図・建物図面)

全ての土地及び建物について、登記所に地積測量図や建物図面が備え付けられている。

[予想問題]

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