
2. 行政法規総論【第18回考査選択問題集】
全39問 / 2024-10-01作成
1. 都市計画法
問1(市街化調整区域・開発許可制度)
市街化調整区域内において行う500㎡の土地の区画形質の変更で、農業用のサイロの用に供する建築物の建築を目的とするものについては開発許可が必要である。
解:✕(講義テキストp97付近)
開発行為とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいう(都市計画法4条)。土地の区画形質の変更とは、土地の区画変更、形状変更、性質変更のことであり、具体的には、造成(盛土、切土等)、敷地分割、地目変更等が挙げられる。
市街化調整区域の制限は、①開発行為の制限と②建築行為の制限があり、ここでは①について問われている。本問は、都市計画法29条の開発許可を要しないもののうち、農林漁業の用に供する政令で定める建築物に当たるから、開発許可は不要である。
なお、許可権者は、原則として都道府県知事、例外として指定都市や中核市ではその長である。
※都市計画法29条
※都市計画法施行令20条(抜粋)
一 畜舎、蚕室(さんしつ)、温室、育種苗施設、家畜人工授精施設、孵卵育雛(ふらんいくすう)
施設、搾乳施設、集乳施設その他これらに類する農産物、林産物又は水産物の生産又は集荷の用に供する建築物
二 堆肥舎、サイロ、種苗貯蔵施設、農機具等収納施設その他これらに類する農業、林業又は漁業の生産資材の貯蔵又は保管の用に供する建築物
三~五(テキストでは省略されている)
※サイロとは
問2(都市計画区域外かつ準都市計画区域外・開発許可制度)
都市計画区域外、かつ準都市計画区域外において行う3,000㎡の土地の区画形質の変更で、商業施設の建築を目的とするものについては開発許可が必要である。
解:✕(講義テキストp91付近)
開発行為(都市計画法4条)は、原則として都道府県知事の許可が必要である。例外として、一定規模未満の開発行為は許可が不要である。
本問は、都市計画区域外で、かつ、準都市計画区域に属しない区域の場合で、10,000㎡未満の開発行為であるため、許可不要である。


問3(市街化調整区域・開発許可制度)
市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域であるから、開発行為を伴わない場合でも建築物の建築は原則的に認められていない。しかし、地区計画の内容に適合するものであれば建築可能な場合がある。
解:○ (講義テキストp100付近)
市街化調整区域内においては、原則として建築行為(及び開発行為)を行うことができない。
ただし、地区計画または集落地区計画の内容に適合しているものは、都道府県知事の許可を受けることにより建築できる(都市計画法施行令36条2号)。
なお、市街化調整区域内で可能な開発行為として、都市計画法34条各号のいずれかに該当し、都道府県知事の許可を受けたもの等が挙げられる。これには、地区整備計画または集落地区整備計画が定められている区域で当該地区計画の内容に適合するもの(同条10号)という要件がある。
※地区計画とは、比較的小規模な地区を単位として、それぞれの区域の特性にふさわしい街づくりを行う都市計画をいう。地区計画は、用途地域が定められている土地の区域、又は用途地域が定められていない土地の区域のうち一定の区域について定められる。(12条の5第1項1号)。
地区計画には、地区整備計画を定め、当該地区計画の目標及び当該区域の整備、開発及び保全に関する方針については定めるよう努める(12条の5第2項)。ただし、特別の事情があるときは、当該区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることを要しない。
なお、地区整備計画とは、地区施設(主として街区内の居住者などの利用に供される施設)及び建築物等の整備並びに土地利用に関する計画をいう。
※都市計画法12条の5
問4(区域区分)
区域区分は、都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、市街化区域と市街化調整区域の区分が必ず定められる。
解:✕(講義テキストp92付近)
いわゆる「線引き」は自由。都市計画について、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、市街化区域と市街化調整区域の区分を定めることができる。この区分は都道府県が行う(都市計画法7条1項)。
ただし、首都圏整備法に規定する既成市街地をはじめ一定の都市計画区域では、線引きが義務付けられている。
※都市計画法7条
問5(用途地域)
市街化区域には少なくとも用途地域を定めるものとされている。しかし、市街化調整区域の場合、市街化を抑制すべき区域とされているため、用途地域が定められない。
解:✕(講義テキストp93付近)
市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする(都市計画法13条1項7号)。ただし、例外として、市街化調整区域に用途地域が残されることも認められる(都市計画運用指針Ⅳ-2-1 D.1.)。
※都市計画法13条
※第12版 都市計画運用指針(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/content/001733735.pdf
(都市計画運用指針p85, 86(抜粋))
”市街化区域から市街化調整区域へ編入する土地の区域の用途地域のうち、無秩序な市街化が進むおそれがある場合で、用途地域の存置による実効ある土地利用規制が期待できる場合は、取り消さないことが望ましい場合もある。”
※このような、いわゆる「逆線引き」は、北九州市等で検討されているが(⼈⼝減少や災害危険性などの課題を抱える斜面地などの市街化区域を市街化調整区域に変更する等)、実際に用途地域を残したままにしているという例は発見できなかった。
問6(市街化調整区域・開発許可制度)
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