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Photo by
mitsukisora
風と海と
実家から自転車で15分の距離に海があり、よく晴れた日の夕方には「浜風」と呼ばれる海風が吹く。幼少の頃は母にお弁当を作ってもらい、母の自転車の後ろで汗ばんだ背中の温かさを感じながら海辺に向かい、ピクニックをした。そして時たま吹き込む浜風の磯の香りを背に感じながら家に帰った。
特別綺麗な海ではなかったけども、遠くの水面がキラリと輝き、空と海が遠くまで続いている景色をずっと眺めているのが好きだった。
やがて車の免許を取り、運転の練習がてら海辺に足繁く通うようになった時は、夜を好んだ。
みなが寝静まった夜に目を閉じて波の音を聞き、物思いに耽った。
子どもが生まれ、実家のある街に家族で引越した。
きっと私の幼少期と同じようにこの子も海とともに思い出が形作られるのだと思うと楽しみで、水面がより一層輝いて見える。
願わくば、貴方もこの海を思い出の一遍として記憶してくれますように。