続編希望なの
ドラマや映画みたいなことがあったの
電車に揺られながら
小学校中学年、初恋だった
眼鏡をかけた端正な顔立ちの男の子
優しくて面白い
勉強も出来たし、ピアノも弾けた
私的10歳手前の恋なんてその辺り揃ってしまったらもうずっきゅん
匂いフェチの始まりだったのか、
彼が纏う柔軟剤の香りが好きだった
偶然自分の服から同じ香りがしたことがあった
ある晴れた日、窓の外から洗濯物がなびく度に香ってくるその匂いが愛おしかった昼下がりも時々リアルに思い出す
当時私も眼鏡をかけていて、眼鏡のかけ直し方が偶然にも同じだった。
”中心を持ってクイってやるとなんかキメてるみたいな、それっぽいじゃん?笑
だからグーの手みたいにしてそっと横を触る感じで直す、そう!だよね!” と、共感しながら話した
くじ引きでの席替えも運良く隣や同じ班になることがかなり多くて
社会科見学の帰りのバスでは疲れて2人で頭ごっつんこしたまま眠って、先に目が覚めた私
なんてもう赤面して言葉にならないよね
なんだかんだ時は流れて小中合わせて7年同じ学校に居たけれど後半はほぼ関わることがなかった
数年たって見かけた彼は、名の知れた音楽事務所のオーディションの中に居た
MVに出たり、モデルをしたり、一つ一つ活躍の場を広げているみたい
でも案外驚きはしなくて
なんだかずっと昔から彼がこうやって生きて、光を放っていくことを想像できていたように思う
彼は昔からやることなすこと上手で、
出来ないことなんて何があるんだろうと思ってしまうほどだった
満たされているように見えて仕方なかった
だからなのか、なんなのか、
気づけば自分のなかで好きや憧れではなく、遠いとおい人にしてしまったことを少し悔いていたりする
確かに天が二物を与えたと言えるような人は時に居るし、彼もその一人にみえる
でも、彼が今、好きなことを発信して、
自分の良さを活かして生きている姿は紛れもなく彼が自ら出している本当の魅力なのだと思うし、
見えないところで沢山の努力や葛藤だってあったはず
自分が羨むことも勿論妬むこともしないし驚きもしなかったのはそこからきてるのではないかと腑に落ちた人間らしさが
あの頃の自分じゃなくて、
今の自分で熱く語り合いたい絶対楽しいって心底思った
そしてきっと眼鏡のかけ直し方を話したあの頃みたいに
小学生の頃、些細な共感を分かちあったあの時の彼の笑顔と声色が昨日のことのように思い浮かぶから。