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インポスター症候群と私

はじめに

「周りから高い評価を受けても、それが本当に自分にふさわしいものだと思えない」

これは、私が仕事を通じてずっと感じてきた不安です。自分の評価が上がるたびに「私にこんな評価を受ける資格はない」という思いに苦しんできました。

本記事では、私がこれらの葛藤、いわゆる「インポスター症候群」に悩んできた理由と、それにどう向き合ってきたのかをお話ししていきます。

インポスター症候群とは?

インポスター症候群とは、「自分の成功は偶然」「自分には実力がない」と感じる心理状態のことです。成功や高評価を受けても「たまたま」「運が良かっただけ」と思い、自分を信じることができません。理想の基準が高い人や自分に厳しい人ほど、こうした症状を抱えやすいとされています。
私もその一人で、良い評価を受けるたびに「いつか不出来な自分がバレてしまう」と不安になってしまっていました。

自己否定の始まり

私は昔から「自分にはどこか欠けている」と感じて生きていました。
周囲や家庭の環境もあり、常に「何か自分が悪いのではないか」と自分を責めることがよくありました。当時はその理由もわからず、ただ「自分は生きる価値のない人間なんだ」という葛藤を抱えながら過ごしていました。
今でも「こんな不完全な自分が評価されるのはおかしい」と感じてしまうのは、こうした過去の経験が影響しているのかもしれません。

「仕事用の自分」と「本当の自分」との乖離

私がインポスター症候群を感じる理由の一つは、「自分の評価されている姿」が、仕事用に作り上げた人格やスキルによるもので、本当の自分とは違うと感じているからです。

私は職場で意識的に「環境に合わせた自分」を演じてきました。職場での自分を周囲に合わせ、ずっと学び続けてきたコーチングやメンタリングのスキルを活用することで、お世話になった先々の環境で良い人間関係を築いてきたつもりです。
しかし、この自分を「本当の自分」だと感じたことはありません。むしろ「この表層が剥がれて本当の自分が見えたら、周囲は落胆するだろう」と常に不安に感じていました。

こうして「周りに見せている姿」と「本当の自分」が乖離するほど、評価されることがかえって怖くなり、インポスター症候群が強まってしまいました。

私がコーチングやメンタリング、心理学などを学び続けてきた理由は「働く上で一番大切なのは円滑な人間関係だ」という考えからでした。自分を守る武器として、これらのスキルを学び続けてきたのです。

そして、いざ職場でスキルを発揮し、キャリアアップを目指して日々の業務を回していると、同僚や上司から高い評価を受けるようになっていきました。しかし、その評価が上がれば上がるほど「私なんかがこの評価を受けていいはずがない」「偽りの人格を評価されている」と感じるようになり、努力が正当に評価されたにもかかわらず、それを受け取れない自分がいました。

こうして「努力の成果が反映されているのに、それを受け入れられない」という負のループに陥っていたのです。

インポスター症候群との向き合い方

インポスター症候群と向き合うために私が心がけたのは、「素の自分をあえてオープンにする」ということでした。意識的に「本当の自分」を少しずつ周りに見せることで、「職場用の自分」と「本当の自分」のイメージが少しでも近づくように工夫しました。

自分を曝け出すというのは怖いことです。ですが、あえて自分の弱みや欠点も共有するようにしたり、失敗や失敗しそうな時の話を気軽にすることで、自分にはいろいろな欠点があることを周りに知ってもらおうとしたのです。

そして、このオープンなコミュニケーションが、私にとってはとても効果的でした。少しづつですが、人格のギャップが埋まり、他人の評価も素直に受け取れるようになりました。

今では、周りの人にも「頑張っている自分」だけでなく「頑張りすぎずにいる自分」を知ってもらえているように感じています。

今も続けている対策

インポスター症候群については向き合い続けているものの、心の調子が悪い時は自己疑念の葛藤に苦しむ時があります。なかなか厳しい道のりです。
そんな中でも、今も自分をオープンにすることは意識的に続けており、少しずつ等身大の評価を受け入れられるようになってきました。

加えて、フィードバックをもらったときはすぐに受け入れるのではなく、少し時間を置いて振り返ることで、自然に「今の自分への評価だ」と実感しやすくなりました。
また、評価されることにプレッシャーを感じたときは、「完璧じゃなくてもいい」「今のスキルや頑張りが評価されている」と自分に言い聞かせることで、焦らず、無理をしないことを意識しています。

おわりに

インポスター症候群は、今の自分に疑問を持ち、もっと良くなりたいと思う気持ちから生まれていると感じています。完璧に克服することは難しいかもしれませんが、「今の自分も悪くない」と思える瞬間が少しずつ増えました。
もしインポスター症候群で悩んでいる方がいたら、「自分がここまで頑張ってきた証だ」と評価して、少しずつ自分を信じられるようになってほしいと願っています。

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