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スギ花粉に要注意 ー「生きろ④南壽イサム 『花粉の季節』」

 国立奥多摩美術館に行ってきた。美術館に入ると地面に杉の枝が円型にまとめられている。これらのスギを見て、私自身はスギ花粉症のため身の危険を感じてしまった。個人的な話をすれば、中高時代に学校の付近でスギの植林が行われており、花粉の季節になると花粉が空中を舞っていた光景を今も覚えている。そのためか、地面に置かれた植物がスギであるとすぐに分かった。会場では、「生きろ④南壽イサム 『花粉の季節』」が開催されていた。作者の南壽イサムは材木店出身であり、展示では映像作品が流れ、植林の風景が映されている。スギによるインスタレーションと映像作品によって、作者の文脈と美術展示とが一緒になっている。奥の部屋ではトークも行われており、農業機関の人物、青木さんと作家、館長が話し合っていた。青木さんは木材店に行っても産地を気にしてしまうと話している。それに対し、館長は「産地が特定できない材木がここには大量にあります」と話していた。トークが行われていた空間には材木が並べられ、アトリエの様な空間になっている。ホームセンターに置かれた材木がどこの産地なのかという意識は、我々に必要なのだろうか、と考えてしまった。流通する資本の流れの中で、それとは異なる時間を見出すための意識なのだろうか。そんな疑問符を残しながら展覧会とトークを拝見した。

「生きろ④南壽イサム 『花粉の季節』」(国立奥多摩美術館)
2023/8/11 - 9/24

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