伊豆半島を堪能する歩き旅7泊8日〜3日目(1/2)〜
簡単に夕食を済ました3人。
T氏は山梨のアウトドアショップで購入したレトルトスパゲッティを美味しそうに頬張っていた。
そう、T氏はモグモグタレント。略してモグタレ。
美味しそうに食べるのがすこぶる上手なんだ。
ビビィとキルトの中に潜り込む準備をする。
東屋の柱を利用してビビィを吊るす。
風避けにタープを開口が大きいところに張った。
こんな時にフラットタープは便利だ。
5m先には旧天城トンネル。
日中に来ると神秘的な場所のようだ。
時刻は20時。不気味さすら感じる。
降雨の残りがあるのか、トンネル内で滴り落ちる水音が聞こえる。ピチョン…ピチョン…。
T氏が、姉が心霊体験をした時の話をし始める。
いや、場所!場所考えて!怖いから!
…心霊の話をすると霊が寄ってくるというのを割と信じている僕だ。
いや、まぁ疲れたし、寝ますか。
それぞれビビィとキルトに潜り込む。
その光景は…なんたるや。身体が入った袋が3つ。
他の人が見たら驚いてしまうだろう。
まぁこんな山奥、深夜は誰も来ないか…
と一度眠りについた。
ま、まぶしっ
眠りから覚ますほどの明かりがチラつく。
「うわー!こえー!俺トンネルムリー!入れねーよー」
「え、トイレやばい、いけないいけない怖い」
面白半分で見にきた大学生かなにかだろうか。
時刻は23時ごろ。
起きても仕方がないので、そのまま黙って再び目を閉じた。
…朝方、T氏A氏に話を聞くと、車のライトはこの大学生らしきグループ以外にも来ていたようだ。
結構いたのね…
A氏はトンネルを抜ける風の音で夜中に少し起きたようだった。
まぁとりあえず今日も朝から元気に歩きますか。
時刻は4時半。
プロテインバーをかじって、撤収を完了し、まだ薄暗い中歩き始めた。
旧天城トンネルは暗い中通りたくない…
トレイルコースは旧天城トンネルの脇道を指していたのでホッとする。
トレイルコースに戻ると、平坦な道が続く。
木々の間隔が広く、なんといっても山頂を踏ませないトラバースルートが続く。
気持ちいいことこの上なし。
サクサクと気持ちいいリズムとペースで歩いていく。
「あーこういうコースかぁ。これじゃ誰が歩いてもコースタイム縮まらないね」
そう言うT氏。
…年末年始のハイキングにフラグ発言をしていたなぁと頭をよぎった。
「命のやりとりのないスノーハイキングが楽しめるっていいですね!」
そうT氏が発言した後に、吹き付ける雪を経験したことがある…。
今回の発言もまた…フラグにならないといいが…。
縦走感のある道が続く。
いくつか細かいピークを取りながら低山と峠を渡り歩く。
天城山は色々な種類の植物が生きている。
ブナが多い。松も豊富だった。
伊豆固有のシャクナゲやツツジなどもあるらしい。
シャクナゲはまだ咲いていなかった。
ここまでのところ目立った上り下りはなく、T氏のフラグ発言回収には至っていない。
このままフラグを回収することなく進みたいものだ…。
もう少し進むと、「天空の散歩道」仁科峠から始まる稜線。
サクサクと歩けるトラバースルートが続く。
会話も弾むってもんだ。
この日は「天城イレブン」ってータイトルの漫画の設定が生まれた。
伊豆を地元として、サッカー大国静岡の強豪校に挑む青春スポーツ漫画だ(空想の設定)
エースの天城を中心として、快足Wingの仁科、点取屋のFW風早、鉄壁のGK土肥、安定感のあるCB船原、トリッキーなSB猫越…etc……ちなみに監督はエース天城の父親だ。
全て伊豆の峠名と地名で構成された。
誰が漫画化してください(白目)
下らない話をしつつ歩いていると、
道が開けてきた。
おや?牛…?遠くに牛らしき姿が見える。
天空の散歩道が見えてきた。
牧歌的な雰囲気漂う。
遠くには牛を飼育する建屋だろうか。赤い屋根の建物も見える。
牛が見られてウッシッシッ
牛が美味しく食事しているところには大量のカラス。
ご飯が欲しいのかな。
放牧できるような広大なスペースがあり、のびのび育てられている様子。
頭上には空しかない。
「天空の散歩道」
僕が勝手に呼んでるけども(白目)
ロードサイクルを楽しんでいる方も何名か。
信号が少ないので気持ちよく走れそうだ。
こんな調子の稜線をずっと楽しんでいく。
解放的で気持ちいい。
えっちらおっちら歩いていくと…
夕陽が綺麗で有名な宇久須峠。
東屋で一つ休憩といきましょうか。
とダラダラとしていると、お洒落なジムニーが走ってくる。
車でもアクセスできる場所だったのか。
カップルとワンちゃんが降りてくる。
白と茶色のブチが可愛らしいワンちゃん。
地元のナンバーだった。
散歩に来ていたのだろうか。
僕は思ったことを口にしてしまう…。
可愛い〜
と言っていると、こちらに気づいたカップル。
「お騒がせしてすみません。」と声かけいただく。
「いえいえ、とんでもない」
癒されたのはこちらだ。
仲睦まじいカップルと幸せそうなワンちゃん。
あーいつかこうなろう。
…来世かな?
よし、とにかく歩こう。
歩みを進める。
今回初めてのロングトレイルを経験するA氏は大丈夫だろうか
心配しつつもとにかく歩くしかない。
魂の山を越えると、再び森林地帯に一部入っていく。
伊豆半島はアイヌの影響を受けているようだ。
これは西伊豆歩道に入った後になぜそうなったかという歴史的背景を知ることになる。
たましいのやま
ではなく
こんのやま
まぁ多分魂の山はそういった影響ではないが、漢字でこう読むの?みたいな地名はいくつかある。
南無妙峠なんかそうかな。
なむさ と読むのかな?とか言ってたら、なむみょう と読むらしい。
また山深いトラバースルートに戻る。
この辺はいい。
山頂を踏ませない。
ずっとずっと歩いていく。
歩行瞑想状態。
雨がちらついているが、歩きやすい道についついペースが上がっていく。
そろそろ昼だ。
だるま山高原まで歩こうとしていたが、ペース的には厳しい。
船原峠から修善寺に降りるバスがあると情報を得た。
T氏の検索力がいつも素晴らしい。
とりあえず昼としようか。
右手を見ると、ちょうど雨宿り出来そうなトンネルを見かける。
T氏は休憩が上手い。
僕が寝転がってる横で、ちょうどいいBPMのBGMを流し始める。
心地よいBPMで気付けば寝てしまった。
バス停がある船原峠までもう少し。
降りたら宿が待っている。
休憩を終わらせると、雨が少し強めになっていた。
レインウェアを着て、先に進むこととする。
しばらく同じような道が続く。
SNSで知り合ったハイキング仲間が、同じ道を先立って歩いていた。
Mさんもしかしたらここでビバークしたのかもしんないすね
そんな会話もしていく。
ビバーク適地が至る所にある。
それだけ平坦で歩きやすい道だ。
…しかしA氏のペースは落ちてしまっている。
去年の高島トレイルの自分自身を見ているようだ。
その表情はカロリー不足のように見える。
ちなみに歩いている最中の頭の中のBGMは
ずーーーーーっと優里のシャッターが云々だ。
沼津のホテルでT氏が流していたのがリフレイン。
ついつい口ずさんじゃう。
…とにかく歩いて船原峠にようやく着く。
バスの時間まで余裕がある。
船原峠の東屋で一服をしていると
1組の夫婦が降りてくる。
どちらからともなくこちらと夫婦と会話が始まる。
長野から来たそうだ。
ITJ(Izu Trail Jouney)のコースを走りたいと妻が言い出して
そしたら急にバス乗りたいとか言うから!
なんだか仲良いな。
この会話のテンポに近いものを知っている。
ハンモック大好きな仲良くさせてもらってる2人とそっくりなテンポだ。
伊豆に泊まりながら何泊目かのようだった。
次のバスは8分後ですよ。と伝える。
あぁ行けるね!
行けるかな?
道はこっち?
こっちだって!間違えてないって言ったでしょ!
夫婦漫才のようなテンポで話をしている。
夫婦は雨の中、レインウェアのフードを被って走り出した。
…Googleマップの案内だとバス停まで20分弱
2kmほど。
足取りは軽やかだけど、さすがに…無理じゃないかな?
バス停にいたら面白いね
また話そうか
そんな会話をしながら、我々もバス停へ向かう。
ちょうど20分弱くらいかかった。
バス停に夫婦はいない。
すげーーーーー!!
間に合ったんだ!
トレイルランニングしてる人だからもしかしたら宿が一緒かもね!
僕たちは修善寺のITJ BASEというゲストハウスを予約していた。
無事修善寺に降りることができた。
ちょうどいい間隔で街に降りるバス停がある。
伊豆山稜線歩道は、山深いながらも町に近い。
セクションハイキングも十分に楽しめる。
うつらうつらとバスに揺られ、修善寺駅に降りることができた。
修善寺駅でとりあえずトイレに行って色々と整える。
T氏が言う「とりあえずソバ、行っときますか?!」
修善寺駅内には食事処があった。
この誘惑には折れた。
雨に打たれて身体が冷えている。
温かいソバ。
もうたまらん。
三島コロッケも思わず頼んでしまった。
身体を温めた3人。
色々と補給をしよう。
修善寺にはアウトドアショップがある。
駅から徒歩5分内の素晴らしい立地。
サンカクスタンドへ向かう。
ここまでで一旦3日目Part1としよう。
後日3日目Part2をアップしたいと思う。