Long long ago
むかーし 昔、あるところに、うさぎと、さると、きつねがいました。
仲良く楽しそうに過ごすその様子を、天上界から見ていた神様は
ちょっと試してみようと、
今にも死にそうな 年老いた1人の老人に姿を変え、下界に来て こう言いました。
『お腹が減って…死にそうです…助けてくれませんか………』と。
うさぎと さると きつねは
『これは大変だ!みんなで、それぞれ知恵を出し合って、ご老人を助けましょう』
『必ず助けますので、待っていてください』そう言いそれぞれ 森の奥へ かけていきました。
さるは
木に登り、たくさんの果物や木の実をとってきました
きつねは
川に行き、たくさんの魚をとってきました
うさぎも
野原を 食べ物を探すため懸命に走りまわりました
そして、それぞれが
ご老人の元へ戻ってきて、さると、きつねは
『これをどうぞ』と、そして
『あれ?うさぎさん、手ぶらで………』
そう…うさぎは、一生懸命駆け回ったのに、何も差し上げる物が見つからず帰ってきたのです。
そしてとても悲しそうに
こう言いました
『私は、さるさんのように木に登る事もできません…きつねさんのように川へ行く事もできません……。
でも、ご老人の為に 何か私にもできる事があるはず…そう一生懸命考えました。』
神様はこの時
はてはて、うさぎさんはどんな知恵を使うのか?と様子を見ていると
うさぎさんが
『きつねさん、お願いがあります。木の枝や落ち葉を集めてきていただけませんか?』
『さるさん、お願いがあります。石で火を起こしていただけませんか?』
そして
焚き火ができ
うさぎはこう言いました
『私には、さるさんや、きつねさんのような特技や手段を、上手く使うことができません。
でも ご老人を助けたい気持ちは私も一緒です。
私にできる事…
どうぞ 私の命を召し上がってください』
そう言い
火の中へ飛び込んでいきました。
神様は
なんてことをしてしまったのだろう…そう
悔やんで 悔やんで 泣きました
さると、きつねも
悲しくて 悲しくて 泣きました
夜になっても
まだまだ泣いていました
とっても大きな満月の夜
老人はやっと話し出しました
『実は私は老人に姿を変え、月からやってきた者です。とても仲良く暮らす皆さんを上から見ていて、ちょっとだけ試してみようかと………
こんな私を必死で助けようと、それぞれが知恵をしぼり、駆け回る姿を見て
素晴らしいと感動さえ覚えました………
だけど、うさぎさんの 命をはった優しさを前に………今、可哀想で可哀想で…なんてバカな事を私はしてしまったんだ…と後悔しています』
さると、きつねも言いました
『私達は生まれた時から、すでに特技や習慣が身についています…それは個々にもつ 生きていく為の知恵…ただそれだけのことです。決っして うさぎさんが劣っているのではなく、生きる環境が違うだけ…で……うぅ………』
焚き火を見つめながら
悲しくてずっーーと
泣いて、夜中になりました。
『さるさん、きつねさん大切な友達を死なせてしまってごめんなさい…
そして貴方達の優しさも忘れません。
ただ、私は…うさぎさんが………可哀想で仕方ない。だから私と一緒に、月へ連れていきます。
月へ行けば、うさぎさんは楽しく暮らせる…約束します。
だから今夜のような満月の夜は
空を見上げて欲しい。
きっと、うさぎさんに逢えます』
そう言って
老人の姿から 神様に戻って
うさぎを手に抱き 月へ帰って行きました………
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Long long ago………
ずっーーと昔、どこかで読んだ物語
だから月に兎がいるのか
そして
うさぎって なんて悲しくて
強く優しい動物なんだろうと
私は息子達にも、この物語を語ってきた。
うさぎと亀 ではなく
何故、月にうさぎがいるのか の物語として………
きっと
【人間界】も同じなのかも…
もって生まれた個性や特性の違いや 生まれ育った環境で
モノのとらえ方も 解釈の仕方も
学ぶスピードも
腑に落ちるタイミングも
一人一人違うのに…
人間界は、時としてそれが伝わらないことが多く
悲しくてたまらない時がある。
でも
物語のうさぎが、目の前の人の為に
一生懸命考え 火の中へ飛び込んだように
人間だって
焚き火に 飛び込むような【覚悟】と
【本気】を見せれば
人の気持ちを動かす事が
できるんじゃないか…
大切なのは
今いくら怒りや落胆という感情があっても、
グッとこらえ
感謝の気持ちを頭に叩き込み
伝えられるか
感情がまさる人間には
とっても難しい事だけど
目の前の 誰かの為に
やる時は………やるしかない
そして
その気持ちが届き、伝わった時
人は
怒りや悲しみから解放されて
心から
【感謝の気持ち】ってのが生まれるんじゃないかなぁ………
間違ってるかな?
いっちゃんは
そんな私の声を今日も
黙って聞いてくれている
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2021.4.1 神奈川生まれ オス
家族になって、もうすぐ6ヶ月
IKKOちゃん
我が家に来てくれて
ありがとう
うさぎは神様のつかい
私は うさぎが大好きだ