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「浦和レッズ三年計画を定点観測」~#28. 2020 J1 第22節 vs柏 レビュー&採点~

名古屋戦、鳥栖戦と今季ここまで取り組んできたことが少しずつ現象として出てくるようになってきた中での柏戦。前回対戦ではゴールキックからのビルドアップを潰されたり、守備アクションが揃わないところでやられたりと0-4という結果でしたので、これまでの継続をさらに出し続けて行けるのかという部分と前回のリベンジと色々な感情がある中での試合になりました。

リアルタイムで試合を観た直後の感想としては以下のようなことをTwitterに出しました。

この振り返りを書くにあたって試合を観返しましたが、両チームともアクションが具体的だったこともあって最初に見た時の印象と特に変わらず、この試合については結果こそ引き分けでしたが、内容についてはポジティブに捉えるべきだと思います。


三年計画のプレーコンセプトがいまいちよく分からない、あるいは忘れてしまったという方は、以下の記事にまとめていますのでご参考にして頂ければと思います。


それでは、試合の流れをおさらいからしていきます。

試合の流れ

今節のスタメンは以下の通りです。

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浦和の方は週末の鳥栖戦から柏木と関根が外れ、長澤と汰木がスタメン入りしましたが、それ以外は変わらず。出場停止明けのトーマスデンはベンチにも入りませんでしたが、コンディション不良でここ2試合ベンチ外だった柴戸が復帰。

交代カードを見るとマルティノスや汰木に代わるサイドのアタッカーはおらず、中央でのプレーを得意とするタイプの選手が多いのは気になったところですかね。

そして、柏は横浜FC戦から復帰し流石のプレーを見せ続けているクリスティアーノがスタメン。ここのところ5バックと4バックを併用していましたが、守備での噛み合わせを良くしてマッチアップをはっきりさせる傾向にあるので、2トップに対してはそのまま2CB、SHに対してはそのままSBを当てるようなイメージで4バックでのスタートを選択したのではないかと思います。


◆先にポジションを取って相手を動かす

試合開始早々、浦和が決定機を作ります。
キックオフで槙野から柏陣内の深めの位置まで走っていった橋岡へ大きなボールを蹴り込んでそのこぼれ球をエヴェルトンが回収。内側に絞っていた宇賀神へパスが回ると、汰木は今季の原則通り宇賀神とレーン被りしないように外へ開きます。

汰木が相手よりも早くポジションを取って宇賀神からのパスをもらったことで、右SBの川口は汰木へ少し遅れて出て行き、川口が汰木の対応のために出て行ったスペースへ興梠が流れていきます。マッチアップを明確にしている柏としては流れて行った興梠へ大南がそのままついていくので、今度は大南がいたスペースが空き、ここへ武藤が流れてボールを受けます。

汰木が近づてきた興梠からのリターンパスを受けてから武藤までボールを入れ、武藤が外向きに流れながらボールを受けて古賀をつり出し、マルティノスも中に絞りすぎず逆サイドからゆっくりゴール前のエリアに入ってきたため、柏のゴール前はぽっかり空いた状態に。
このスペースへ興梠が外から戻ってきてフリーの状態で武藤からのパスをもらいますが、らしからぬ枠外シュート。

それでも試合開始から25秒で自分たちの原則をもとにポジションを素早くとって相手を動かし決定機を作ったので、試合の入り方としては非常に良かったと思います。ただ、こういうチャンスを確実にものにしてきたのが興梠慎三なので、シュートを打ったのは誰なんだという点で言えばここはきっちりゴールを奪っておきたかったところでした。

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10:50も再び興梠に決定機。
エヴェルトンが1列降りてオルンガと江坂に対して3vs2を作ったことで槙野がフリーになり前向きにボールを持ちます。CBが開いたことで宇賀神は外レーンに出ますが、柏は幅を取る選手に対してはSBを当てに行くのでこの場面では宇賀神対応は川口が担うことに。

槙野が前向きでボールを持った時に汰木がバックステップをしながらクリスティアーノとヒシャルジソンの間に潜り、興梠もヒシャルジソンと三原の間に入りますが、ここで槙野は中盤を飛ばして武藤までボールを出します。
これを武藤がしっかり収めると、先にクリスティアーノやヒシャルジソンよりも後ろにポジションを取っていた汰木が川口が宇賀神に出て行っていたことによって空いたCBとSBの間のスペースへ走ります。
古賀が武藤に交わされ、川口より先に汰木が入ってきたので残っていた大南は汰木の対応に行きますが、これによって再び柏のゴール前にスペースが出来ます。

中盤に下りていたところから一目散にこのスペースへ走り込んでいた興梠がボールを受けて抜け出してシュートを打ちますが、興梠がトラップした瞬間にキムスンギュが何歩も前に出て壁を作って見事なショットストップ。

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「前半に自分が2回のチャンスがあり、決めていれば、もう少し余裕があった試合になっていたところ」という興梠自身のコメントが全てですが、とは言え試合開始から10分間で2度目の決定機も自分たちのアクションから相手を動かして作り出したものですので、今季これまでトライしてきたものが現象として出たことは喜ばしいことです。


浦和のボール前進はこのように

・エヴェルトンが最終ラインに下りたりオルンガと江坂の周辺にいたりすることで岩波か槙野を含めた3人のうち誰か1人に前向きでボールを持たせる
・両サイドとも幅を取る選手を必ず作って柏のSBを外に引き出してCBとの間を広げる
・最終ラインからロングボールをSBとCBの間に流し込むかCBの手前に入れてボールを収めてSBとCBの間のスペースへ2列目以降の選手が走り込む

というのがこの試合の浦和の攻撃での狙ったいた部分だったと思います。
このようなやり方でロングボールを使った時には、ボールを収められたら汰木やマルティノスのようにスピードに乗った状態で前向きにボールを持った時のプレーが得意な選手が活きますし、ボールが収まらなくても長澤を中心に中盤から前向きに出て行って強く守備が出来る選手が活きますので、この試合の浦和のメンバーのそれぞれの長所が活かせるようなゲームプランが出来ていたと思います。


◆「柏の太陽」は江坂

柏は守備ではオルンガと江坂が縦並びにも横並びにもなりますが、それ以外の選手で4-4のブロックを作る、4-4-1-1というか4-4-2というかといった陣形ですが、攻撃時はクリスティアーノを前に出して江坂をトップ下のようにした4-◇-2のような形になります。

とはいえ、トップ下の位置からスタートする江坂は中盤から前線までの空いているスペースを自由に漂い、周りの選手が江坂に合わせて自分のポジションを取りなおすような動き方を見せます。

◇の一番下は三原が担い、ビルドアップ時の基本ポジションは興梠と武藤の間の位置。ここに入ることで2CB+1を作って浦和の2トップに対して3vs2を作りに行きます。
浦和の対策はボランチの片方を前に出して◇のような陣形にすることが多く、6:03には長澤が前に出て三原のチェックに行きますが、長澤が出て行ったスペースに江坂がスッと入り込んできました。

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この江坂の動き方に浮いては長澤が試合後のインタビューで以下のように話していました。

(長澤選手はボランチで出場したが、柏レイソルのキーマンの1人は江坂 任選手だったと思う。前半に失点はしながらも、ゴール付近でボールを持たせる状況はそこまで作らせなかったと思うが、その点の準備とピッチでやれたことの兼ね合いはどうだったか?)
「2トップということでしたが、江坂選手がトップ下のような、自分たちのボランチとセンターバックが付きにくいポジションを取っていました。相手のビルドアップの中でボランチ2枚が江坂選手が気になって前にプレッシャーがいけない状態になり、中盤で一時的に数的不利になる状況を作られていました。そこは難しいところでしたが、相手のストロングポイントである前線の選手への配給に対して、ボランチも相手にスペースを与えないところと江坂選手のところにプレッシャーにいって自由にプレーをさせないということはエヴェルトン選手と試合前から話していたので、そこはある程度、表現できたかなと思います。これをしっかりと結果につなげていかないといけないと思います」

序盤は三原が興梠と武藤に並ぶか少し後ろの位置に立っていて、ボランチ2枚を中央に残して全体をコンパクトにすることでボールは浦和のブロックの外側を回っていくことが多く、古賀も大南もボールを離すタイミングが早かったので浦和としてはそこまで陣形を崩されることなく対応できていたと思います。

興梠や武藤もあまり前から追いかけて守備をすることはなく、ゾーン2に入ってくるところまではボールを持たれることを許容して守備ブロックの縦の長さをコンパクトにしていたのもあって、長澤が三原に出て行ってから元のポジションに戻るまでの距離を抑えることが出来ていたのも、柏がなかなか浦和を崩せなかった要因かなと思います。


しかし、先制したのは柏でした。
39:39に右に開いた大南から宇賀神の背後へのロングボールを槙野が前にクリア。バウンドしたボールを興梠がうまく体を入れて三原との競り合いを制すとマルティノスへパス。マルティノスは三丸と1on1の状態となり、その外側を橋岡が一気に駆け上がります。

三丸はマルティノスの左足の前で体をピッチの外側に向けた状態をキープし続けたためマルティノスは縦方向にボールを運び出すことが出来ず内側に入っていきますが、三丸がマルティノスを遅らせている間に三原が三丸よりも内側のポジションに戻ってきており、三原もマルティノスの左足の前をキープしてじりじりと距離を詰めます。
三原のさらに内側の位置にはヒシャルジソンがスタンバイ出来ていたので、マルティノスは全身を諦めて後ろ向きにターンしようとしますが、その瞬間に三原がサッと足を出してボールをつつきます。
三丸、三原が十分に遅らせたことでクリスティアーノがヘルプに戻ってきてボールを回収すると前向きな状態の三丸に預けます。

橋岡が前に飛び出していたので、江坂はマルティノスの背後、橋岡がいるはずのスペースを使おうとしますが、このスペースを岩波が早めに出てきて潰しに来たのを察知して、岩波が出てきたことによって空いたさらにゴールに近いスペースを見つけ、そちらに方向転換します。

前向きな三丸から岩波の頭上を越えるボールが出ると江坂は一気にペナルティエリアまでドリブルで侵入。オルンガが中央にいたことで槙野がニアサイドをケアできない状態になっており、戻ってきた岩波をアウトサイドのタッチ2発で交わすとニアサイドを貫くきれいなシュート。スペースと選手の位置を的確に認知して見事なゴールを奪いました。

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そして、江坂の恐ろしいのはこの文章をそのまま試合後のインタビューで話せていることです。

--ゴールシーンを振り返って。
三丸(拡)が持ったときに、最初は足元で受けようとしたけど、岩波(拓也)選手が食いついたのが見えて、背後にスペースがあったので、そこに良いランニングができて、良いボールが来た。一番最初にそこで良い受け方をできた。中でミカがDFを食いつかせてくれていたぶん、ドリブルするスペースもあった。そこで良いコース取りができて良いシュートが打てたと思います。

きちんと状況を把握して、判断できるからこそしっかり言語化できるし、プレーの再現性も高いということですね。本当にレベルの高い選手です。

浦和としてはトランジションで一気にスピードアップすべく選手が前に出て行ったところで奪われてしまったことが痛かったですが、マルティノスに対応した三丸と三原の丁寧な対応によって遅らせた上にボールを奪いきるという守備の上手さがあったことは認めざるを得ません。

失点直後には再びエヴェルトンが最終ラインに落ちて槙野を前向きでフリーな状態を作り、川口が幅を取った宇賀神をチェックするために出て行ったことで空いたスペースにロングボールを入れて、裏抜けした武藤からのクロスにマルティノスが合わせに行きますがこれもゴールならず。
失点に繋がるボールロストになってしまったマルティノスでしたが、ここでは挽回できませんでした。


ハーフタイムを挟んだ後半も両者のスタンスに大きな変化はなく、浦和は先にポジションを取って相手を動かしながらチャンスを作ります。

53:30にキムスンギュが大きく蹴ったボールを浦和陣内で回収して宇賀神が寄せてきたクリスティアーノをさらりとかわし、ライン際に立っている汰木に川口がチェックに行ったため内側のパスコースが空き、そこへ興梠が顔を出します。宇賀神を下、汰木と長澤を左右、興梠を上にした◇を形成し、宇賀神→興梠のパスに対して斜め下の長澤が前向きに興梠に対してサポートすることで、レイオフのボールを受けたそのままの勢いで柏の中盤ラインを突破します。

レイオフでボールを落とした興梠はすぐにターンして大南、川口が出てきたことによって空いた裏のスペースへ走って、運んだ長澤からのスルーパスを受け直して中央へ走り込んだ武藤へクロス。
クロスが膝ほどの高さで真っ直ぐ届いたためボレーで合わせるにしても簡単ではなかったので武藤のシュートはバーを越えて行ってしまいました。

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57:06にライン際でボールを持った岩波が三丸の背後にめがけてロングボールを入れ、三丸が外にボールを逃がしたため高い位置でスローインとなり、そこからマルティノスが古賀と神谷に囲まれますが、しっかり粘ってコーナーキックを獲得。

マルティノスがそのままインスイングで蹴ったボールが江坂(?)に当たってコースが変わり、逆サイドのポストに当たって跳ね返ってきたところを汰木が中央へ折り返したところを興梠が肩で押し込みボールはゴールの中へ。

ハンド??
オフサイド??
どうなの!?
とやきもきしましたが、主審と副審で協議した結果、ゴールが認められ1-1の同点に。
リプレイで観ると興梠のシュートは確かに肩。汰木がオフサイドポジションだったのか、オフサイドポジションだったとして汰木がボールを触る前に柏の選手に当たった部分がどう判断されるのか、この辺りは識者に解説してもらうとして、とにかくゴールと判定されたので時間的に追い詰められる前にタイスコアに戻すことが出来ました。


◆柏は4バック→5バックへ

62:00に柏は神谷に代えて山下を古賀と大南の間に入れて5バックに変更します。

攻撃ではCBが最初から3枚にして武藤と興梠に対して数的優位を作るだけでなく、三原を明確にアンカーにすることで武藤と興梠が最終ラインに対して安易にプレッシングに行けば三原が空き、長澤かエヴェルトンが三原まで出て行けば江坂かヒシャルジソンが空く。
また、サイドの部分も汰木と宇賀神が揃って縦スライドしなければ大南か川口がフリーになり、サイドが縦スライドするだけではクリスティアーノが宇賀神の背後スペースを狙えるため、初期配置の段階で浦和に対してアクションを強要することが出来るようになりました。

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守備ではCBが1枚増えたことで浦和の幅を取る選手にWBが出て行った時に空いていた内側のスペースを素早く埋められるようになりました。
63:55のセンターサークルの右側にいたエヴェルトンからの大きなサイドチェンジを汰木がトラップ1発で川口を交わしますが、大南がすぐさまカバーリングに入ることが出来ています。

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また、試合序盤から左は汰木が幅を取って川口を引き出す、右は橋岡が幅を取ってマルティノスは内レーンからプレーすることが多かったので、3CBを武藤、興梠、マルティノスに当てて、WBを汰木と橋岡に当てるようにしてマッチアップを分かりやすくする狙いもあったようです。

試合後にネルシーニョ監督は攻撃よりも守備の方を考えてのシステム変更だったと話しています。

--途中でシステム変更した狙いは?
相手はほぼ3トップのような形で高い位置を取ってきて、攻撃が勢いづいていた時間帯でもあり(山下)達也を3バックの真ん中に置き、最終ラインをしっかりとコマンドするようにという意図を持っていた。後ろからの攻撃もだが、守備のところをしっかりと統制するようにという意図を持って形を変えた。

これに対して浦和は71分に武藤に代えてレオナルド、76分に汰木と興梠に代えて柴戸と杉本を投入し、柴戸を入れた段階で長澤を右SH、マルティノスを左SHに配置転換します。

柏が守備は江坂とクリスティアーノがSHになる5-4-1になり、浦和のビルドアップのところは1列目はオルンガのみでオルンガはそこまで積極的にプレスバックするわけではないので、柴戸が入った直後はボランチを落とさず岩波と槙野でオルンガに対して数的有利を作って、柴戸がオルンガの背後で前向きにボールを持ち、エヴェルトンは柴戸よりも前の位置からレオナルド、杉本を積極的サポートしてあわよくばゴール前のスペースにも顔を出していきました。


◆終盤はオープン合戦

最後はお互いオープンな形でゲームが進んでしまった部分がありました。オープンになった方が点は入るので、そこは少し許容した部分はありましたけど、オーガナイズがどうこうというところにあまりこだわるわけではなく、マルティノスのスピードやレオ(レオナルド)の個人技で打開するようなところが出れば、と思っていました

という試合後の大槻監督のコメントにもあるように80分を超えたあたりからお互いにボールを持った時には中盤を省略した展開になっていき、中盤での攻防もお互い配置でズレを作るよりも目の前に対峙する相手との闘いという色合いが濃くなります。

88:00には柴戸がオルンガの背後でボールを受けると柏のボランチが深めにポジションを取っていたので一気に中央のスペースをドリブルで運び、杉本を経由して外レーンの橋岡へ。橋岡はDFとGKの間のスペースへのアーリークロスを送りますが、これを跳ね返されると今度はそれを拾ったヒシャルジソンがエヴェルトンと柴戸を次々とかわして一気にドリブルで運び局面は浦和のゴール前へ。

終盤の目まぐるしい展開があったものの、お互いゴールには至らず。結果的には1-1のドローとなりました。


採点結果

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Q2は今季初の5点をつけました。ボール保持では前線で狙うスペースが明確でそこを突くために早めにポジションを取って実際に使えていたこと、そこでボールがつながらなくてもトランジションのところでSHやボランチを中心に前向きに奪い返しに行くアクションが表現できていたこと、これらが表現できた回数は今季トップだったのではないかと思います。

ちなみにアンケートでもQ2の平均4.3点というのは第8節/清水戦(HOME)の4.0点を越えて今季最高でした。


Q3については、柏がボールをすぐに奪い返しに行くアクションがあまり強く出ていなかったこともあって、浦和がボールを奪ったら早目に前向きな選手にボールをつけて、周りは所定の位置にポジションを取るという動きが出来ていたのでポジトラの移行はスムーズでした。


Q4のボールを「運ぶ」ところについてこの試合で興味深かったことは、これまでビルドアップ時のポジショニングの甘さや、ボールを持っても運ばずにその場で離してしまうことが多かった岩波が、45:15に西川からパスを受ける前にバックステップをしてペナルティエリア幅まで開き、ボールを前向きに持つと神谷に向かって15メートルほどゆったり運んでから江坂の背後にポジションを取った長澤にパスをしました。

シーズン当初は槙野もなかなか「運ぶ」ことが出来ず、ビルドアップで苦しんでいましたが、8月の終わりごろから徐々に変化が出てきました。今度は岩波にも同じような変化が出てきているのかもしれません。

ただ、この場面で言えば岩波が運んだ時に外側にいる橋岡も岩波に合わせて前に進んで神谷の横か背後まで進めると、神谷に対してボールを運んできた岩波と橋岡で2vs1が作れるので、岩波に出てきたポジティブな変化に続いて橋岡もそれを活かせる動きが出来るようになると良いですね。


Q6のスピーディな展開で言えば、試合の流れでも紹介した10:50の興梠の決定機に繋がる槙野からのパスが出るところで、汰木が一度は柏の中盤の列よりも前に下りてしまいますが、槙野とエヴェルトンがパス交換をする間にバックステップでボールから離れる動きをしています。
どんどんボールに近寄ってしまいやすかった汰木ですが、こうしてバックステップを使いながらボールから離れて、相手の意識もボール保持者から離してあげる動きが見られたのは良かったと思います。

ボール保持での項目はQ3とQ6の平均4.0点はいずれも今季最高。今節はQ2と合わせて3項目がアンケート結果では今季最高点になっています。


Q9について、守備のところでも46:20や50:08にはボール保持者に対してしっかり前からプレッシングに行けたことで槙野が前向きにボール奪取することが出来ています。レイソルのボール保持が中盤は◇になるため、SBが外というのが分かりやすく汰木のプレッシング対象がわかりやすかったこともあったと思います。


試合後の大槻監督のコメントで

(ここ数試合、選手個々が持っている持ち味と、チームでやろうとしていることのかみ合いがすごく良くなってきているという印象があるが?)
「相手との兼ね合いもあるので一概に全てがそうだとは言いづらいですが、そういう面が見られることは事実だと思います。そういう面がゲームの中で数多く見られることは喜ばしいことです。」

というものがあったり、
アンケートの自由記述欄にも

興梠選手のゴールはノーゴールでも文句が言えないものだと思う一方で、江坂選手のゴールが文句なしだった事を踏まえれば、好プレーが多かったとはいえ「0-1で負けていてもおかしくない試合」だったと思う。 好プレーが多かった試合だが、この点はしっかり踏まえて評価したほうが良いと思う。

というコメントを頂きました。
柏のアクションが具体的だった分、浦和も起こすべきアクションが分かりやすかったとも言えますし、決定機の数で言えば柏はあの江坂のゴールくらいで浦和の方が多かったですが、それでもスコアは1-1で勝てなかったという部分についてはきちんと考えないといけませんね。
得点以外のところで興梠と武藤に2本ずつ決定機があって、7月なんかはそうしたところを決めきれたからこそ勝ち点3を取れてこれたわけで。


次は中3日でホーム仙台戦です。今季はここまでホームが3勝3分6敗となかなか振るいませんが、これまでの対仙台の戦績で言えば駒場時代を含めてリーグ戦もカップ戦も仙台相手にホームで負けたことはありません。お得意様相手にここまでの積み上げを引き続き表現してくれることを期待します。

では、また次節も試合後にTwitterにてアンケートのリンクを掲出しますので、ご協力をお願いします。

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