「浦和レッズ三年計画を定点観測」 ~#38 クラブのコメントと1年間の採点結果の比較~

まずは1年間お疲れ様でした。
そして、最後の2節はやめてしまいましたが、2月の開幕節から32節の湘南戦まで試合後に行ったアンケートにご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

初めて真剣に浦和の試合を自分なりの考えをアウトプットしながら観たシーズンでしたが、それによって自分が何が見えて何に気付けていないのかを知ることが出来、自分自身にフォーカスして考えればとても有意義なシーズンを過ごすことが出来ました。
拙いレビューであっても自分が感じたことを言葉にして図に表すことって恥ずかしいけど勉強になります。


私の個人的なことはさておき、12/21の15時にクラブが見事な作文を掲出してくれました。


昨年12月、三年計画を発表したあの会見の後に初めてのnote記事を出し、その中で

本当にこれがきちんと遂行されるのか?また知らないうちにどこか忘却の彼方へ追いやられてしまうのではないか?という疑念や不信感があります。なので、このクラブから示されたものに対して、個人的な嗜好や感情については一旦置いておいて、極力客観的かつ論理的な視点からそれが継続して実行されているのかを監視、評価したいと考えました。

ということを書きました。
そして、「提示したコンセプトが実行されているのかを評価する基準を明確にするべくチェックリスト化し、試合やクラブの動向などを観る際にそのチェックリストに照らし合わせて、クラブが自ら提示した方向へ進んでいるのかを評価する」ということを目的として、試合後にアンケートを行い、自分自身の採点結果を踏まえたものを作ってきました。

今回クラブが掲出したこの作文は、昨年掲げたコンセプトに基づいて1年間を総括したものであり、あの時僕が感じた不安は今時点では杞憂だったと思わせてくれました。
もう少し掘り下げたものはこれからまた考えてアウトプットしていきたいと思っていますが、まずはクラブの総括(主に「3つのコンセプト」の段落)と1年間の採点結果のすり合わせをしてみようと思います。


クラブの文章としては
1)『「個」の能力の最大限の発揮』
2)『前向き・攻撃的・情熱的なプレー』という「姿勢」
3)『攻守に切れ目のない・相手を休ませないプレー』ができる「チーム」
という3つの項目で総括しており、

この取り組みで行ってきた採点項目では
Q1. 個の能力を最大限に発揮していたか?
Q2. 前向き積極的なプレーをしていたか?
Q3. 攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをしていたか?
の3つに該当しますので、ここの内容をそれぞれ比較したいと思います。


Q1. 個の能力を最大限に発揮していたか?

まずは、クラブのコメントの抜粋から。

「個」については、急成長した若手がレギュラーポジションをつかみ、個性あふれる外国籍選手が持っている能力を発揮してくれました。また、実績と経験が豊富な選手たちも変わらずにチームの主力であることを証明してくれましたし、新加入や若手の選手たちも、数少ない出場機会の中で能力の片鱗を見せてくれたと思っています。持てる能力の最大限の発揮という意味では、達成できたところ、課題として残しているところと、個々の選手によってさまざまな評価ができます。個の能力の発揮は、選手一人ひとりの努力と姿勢によるものと、チームとして個の能力を最大限に発揮させるシステムや戦い方によるものがあります。
また、「チーム」の戦い方でポテンシャルを最大限に引き出された選手もいれば、能力を発揮できずに苦しんだ選手がいたことも事実です。個の能力を引き出すには、「チーム」の戦い方も大きく影響しています。

概ね選手自身のパフォーマンスについては評価しているものの、「課題として残しているところ」「チームの戦い方で能力を発揮できずに苦しんだ選手がいた」と少しぼやけた表現ながら、目指すところに対しては足りないものがあったことも認めています。

対する1年間の採点結果はというと、今年1年での平均点(5点満点)では
アンケート:2.8点 ゆうき:2.9点
となりました。
シーズン通してみれば可もなく、不可もなくといった点数でした。

ちなみに、アンケートの点数が高かった上位3試合は
1位 24節(HOME) vsセレッソ大阪 4.6点
2位 23節(HOME) vs仙台 4.4.点
3位 8節(HOME) vs清水 4.3点
でした。


Q2. 前向き積極的なプレーをしていたか?

「姿勢」については、ゲームの主導権を握り、攻撃的なプレーがチームとしてできていたかという点において、課題が残っています。ゲームスケジュールや対戦相手、気候、選手編成、そして何よりもコロナ禍におけるプレー環境の激変という厳しい条件の中、思うようにいかない試合も多くありました。
また、最後まで走り、闘い、貫くという姿勢について、試合によって波があり、シーズンを通じて十分には実現できませんでした。
先に失点してしまうことで、リズムを立て直すことができずに連続失点してしまう試合もあり、リーダーの不在、チームとしての『型』の不在が課題として浮かび上がってきました。アクションではなく、リアクションベースの展開が多くなったことは、苦しい展開の際に、立ち返るべき『型』がなかったことが、大きな要因でもあります。

とクラブはコメントしています。
こちらについては、ネガティブな評価であったことが伺えます。特に「先に失点してしまうことで、リズムを立て直すことができずに連続失点してしまう試合もあり」という言葉もあるように、2-6が2回、0-4が2回、0-3が2回と失点がかさんだ試合が多かったことは大きな課題です。

採点結果は
アンケート:2.8点 ゆうき:2.9点
でしたが、1点台の試合がアンケートは7回、私は3回、2点台の試合がアンケートは10回、私も10回と全体の1/3~半分ほどの試合がこの項目に対して不満があったことになります。


Q3. 攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをしていたか?

「チーム」としては、切り替えの早さ、高い守備への献身性というようなテーマを掲げました。切り替えの早さ、特に守から攻の切り替えについては、春のキャンプからトレーニングし、得点につなげることができるようになりました。守備への献身性についても、ピッチ上の全員が相手のボールを奪うためにポジション取りをし、組織的に走る守備もみられ、選手への意識付けができてきました。一方で、ハイラインを保つことや、ボールを失った瞬間からの即時奪回、最短距離でゴールへ向かうという点については、多くの課題を残しました。何よりも、シーズンを通じて、安定してそのようなチームパフォーマンスができなかったことが大きな課題だと認識しています。

この項目で出来ていたポイントとして守から攻の部分について触れており、おそらく多くの人が今季最高と感じた仙台戦、セレッソ戦は正にトランジションの回転数を上げて、前のめりにボールを入れる、奪うを繰り返したことで勝利した試合でした。

一方で、課題として挙がっていたラインを高く保つことや最短距離でコールへ向かう(スピーディな展開)については
Q7. ボールを出来るだけスピーディに展開していたか?
Q8. 最終ラインを高く、全体をコンパクトにしていたか?
という項目で評価してきましたが、
Q7はアンケート:2.5点 ゆうき:2.8点
Q8はアンケート:2.4点 ゆうき:2.5点
といずれも低調。

Q3自体の点数も
アンケート:2.2点 ゆうき:2.3点
と、かなり低調になりました。


この3項目を振り返ると、13勝7分14敗という成績をそのまま反映した内容なので、中間である3点にちょっと届かないのはまぁ妥当かなという印象です。


また、「監督について」の段落は以下のようなコメントが出ていますが、

大槻 毅監督には、今シーズン、チーム成績の目標とともに、「浦和を背負う責任」をピッチ上で体現させることと、チームコンセプトに沿ったベースづくりを担っていただきました。特に、このコロナ禍において、ピッチ上だけではなく、自らの言動をもって、選手たちへ浦和を背負う責任を浸透させ、選手たちが行動してくれたことは浦和を理解している監督だからこそできたことだと思います。加えて、チームは「個」「姿勢」「チーム」というすべての面で緩やかな成長カーブを描きました。しかし、今季の成長カーブでは、2022年の優勝に到達できないという判断をしました。

今季を時期ごとに分けて見て行くと、7月は内容は伴わないのになぜか勝てた試合(仙台戦、鹿島戦)や自ら勝ちを逃していった試合(FC東京戦、柏戦)があり、8月は名古屋戦の大敗からの理想を捨てて臨んだ広島戦や論理性で後手を踏んだ神戸戦と大分戦があり、9月には5連戦の中で訪れた浦和の太陽復活祭と、なかなか内容が上向かない時間が続きました。

10月に入った5連戦最後の名古屋戦は敗れはしたものの少し内容に上向きの兆しが出てきて、次の鳥栖戦で勝利すると、柏戦、仙台戦、セレッソ戦と一気に調子を上げて行き、チームとしての成長を感じさせる試合が続きました。

こう見て行くと緩やかな成長カーブは描いているものの、このペースでは再来年の優勝には到達できないというのは至極当然の評価だと思います。ただ、「成長カーブは描いている」と評価できるのも前述の3つのコンセプトで良くなっている部分があるからこそ言えると思いますし、その言葉が決して薄っぺらいものにならない根拠になっています。


来シーズンは、3年計画の2年目として、上述の課題解決や目的に即した監督を招聘したいと考えています。
チームのコンセプト、スタイルとめざすサッカーの方向性が一致した監督の招聘については、近々発表させていただきます。

という言葉も出てきており、コンセプトが表現できた試合だとこうなるんだなというのはあの仙台戦やセレッソ戦で見えたと思いますし、「方向性が一致した監督の招聘」と明言しているので、来季も今年やってきたことを継続していくことになるはずです。

来季も同じような形で試合後にアンケートを行うかどうかは決めていませんが、個人的な採点としてはこの10項目を継続しようかなと思いました。

今年の大槻体制の取り組みについて感じたことでもう少しきちんと考えたものはまた改めてアウトプットしようと思っていますが、まずは取り急ぎアンケートへのご協力に対する感謝とクラブのコメント内容へのリアクションということで何も考えをまとめずにワッと書いてしまいました。
拙い内容かもしれませんが、ご容赦ください。

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