こんな時期だけれど方位取りという旅行にいってみて

わたしは、方位取りというものをしている。それは、いい方角にいって開運しましょう!というものなのだが、やはり、流派がいろいろあるようで、本式がどうなのかはよくわからないけれど、わたしは、大体、月に一回国内旅行、年に一回海外旅行、というペースで出かけてきた。

とはいっても、とにかく、現地で寝りゃあいい、ぐらいのところがマストなので、できるだけお金はかけずに、格安ツアーを探し、現地でも、基本、電車かバスで移動している。

一番最初に行ったのは仙台だったのだけれど、「現地で一泊寝るのが目的」だと、もう正直何をしていいかわからなかった。わからないあまり、新幹線の帰りのチケットを早い時間に変更してしまったぐらいだった。

さすがに、「現地で一泊寝りゃそれでいい」は乱暴すぎると思いなおし、それからは、きちんと下調べしていくようにしたのものの、行ってみると、あると思ったバスがなかったり、なんだか、忍者でも出てきそうな山の中でバス停が見当たらなかったり、結構、「プチ遭難」することも多く、でも、それが逆に無事に宿に着いた時のうれしさ、幸福感、やったね!ハッピー!みたいな感情を想起させ、そういう意味では、実は、ひそかに国内については「方位取りとはプチ遭難と見つけたり」「プチ遭難こそ方位取りの醍醐味」と思っている。

そして、いつの間にか自分は実は旅行って好きだったのだ、と気づくようになっていた。

それが、もう、3月を最後に旅行はおろか飲み会にもいかない生活を続けている。

最近、なんだか体が重い。頭がすっきりしない。コロナの影響で方位取りにいってないからじゃないだろうか、と、かなり真面目に思い、方位取りという名の旅行に行くことにした。

準備として、チケットの予約などの話も当然あるけれども、スマホを買い替えた。COCOAをいれるためだ。これまでのスマホはかなり以前の機種で電池もへたってきて、位置情報をオンにしておくと一日もたずに電池がなくなるぐらいのくたびれ具合だったので、まずはCOCOAをいれるためにスマホを買い替える必要があったのだ。

そして、電車に乗って出かけないといけない時は、できるだけ大きなターミナル駅を通らなくてもいいような経路で移動したり、感染しないように注意した。

手洗い、うがいは言うまでもないし、脱水からくる微熱などにもならないように、水もがぶがぶ飲んだ。腸内環境を整えるサプリも飲んだ。

そして、当日、体調もOK、感染者との接触もなし。やった。

家を出て、人の少ないルートを選んで、ようやく空港に着いた。

経路の一部で羽田空港も利用したのだけれど、愕然とした。人は少なく、海外からの早朝便で着いた時のようだし、欠航の表示のなんと多いことか。東京は対象外だけれど、経由地に東京があるだけならGOTOキャンペーンの割引対象だと思っていたし、もっと人がいると思っていたのに。

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そして、目的地についた。いつもは格安手段(もっぱら、電車、バス)にするけれど、今回は、旅行鞄を持った人間がウロウロしているのは現地の人も気持ちよくないだろうと思い、奮発して空港から宿近くまでの直行シャトルを利用することにした。結局、その時間帯の利用者はわたししかいなかったので、バスではなくタクシーで送ってもらうことになったのだが。。。

宿に着いたけれども、まあ、わたしはとにかくそこで一泊することが主目的なので、あまりウロウロしようという気はなかった。

が、折角なので、近くに海岸があるというので見にいった。海岸までの道の両脇は草が生い繁り、出歩いている人もいなかった。誰もいないのだから、とマスクを外してみると、むわっと草の匂いがした。長いこと、触れることのなかった感覚。自分は地球の一部として、今ここで生きている、と感じる。

海岸は、波打ち際から2,3メートルぐらい砂浜があって、その先はすぐに草が生えている、生活の中の景色だった。誰もいない。草の上に直に座り、ぼーっと海を眺めた。天気も特によくない。ただひたすら水平線だけが見えていて、でも、圧倒されたし、胸が一杯になった。

不思議なもので、直接見たら、水平線だけの景色にこれだけ感動する。でも、これが絵や写真になってしまったら、途端にのっぺりしてしまう。アクセントとして、雲とか船とか、そんなものがあってこそ「絵になる」。リアルに見ていると動きがあるからだろうか、それとも、音やにおいも一緒にあるからだろうか。

いずれにしても、VRでは得られないであろうものがそこにはあった。

少しはぼーっとしたものの、根っからの貧乏性というか、ずっとぼーっともしきれず、とりあえず、回りで目についたプラスチックゴミなどを拾って宿に帰った。

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泊まった宿は源泉かけ流しの大浴場があり、温泉をいただいたあと、食事。そのまま、淡々と寝て、翌日、また長い時間をかけて家まで戻った。

10日すぎて、体調になんの変化もなかった時は心からほっとした。

(これは、途中まで書きかけて保存しておいたものを公開するので、実際は昨年秋のことです)

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