【歌詞を紐解く】Search the best way / ポルノグラフィティ
どうも。よねたくです。
今回初めて、僕の好きなアーティストさんの歌詞について自分なりに解釈・考察をしてみようかなと思います。
ある曲を好きになるときは歌詞が好きなことが理由であることが多いので、皆さんにもそれを共有して、押し売りして、あわよくば一緒に好きになってもらえたりしたら嬉しいなぁなんて考えてます。
今回のテーマは
Search the best way
/ ポルノグラフィティ
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長いです!あしからず。
A1
それは正解も間違いもない 代わりに約束もない
僕たちが それぞれ選んだ道が続く限り
突き進む事が大切と語りあったね dear friend
黄色いシグナルで 僕は進むのか? 止まるのか?
誰かに語りかけるような、同時に自分自身の思いを確かめるかのような、そんな優しくも揺るがない決意を思わせる歌い出しで始まるAメロ。
人生という名の道は幾多にも枝分かれしているけど、その中に正解のルートや不正解のルートがあるわけじゃない。自分の望む未来が約束されたルートがあるわけでもなければ、誰かと示し合わせて歩むものでもない。そこにあるのは、自分自身の一瞬一瞬の選択の積み重ねでできた道だけ。
その道が途切れる(=死?)その瞬間まで立ち止まることなく突き進むことが大切だと語り合った友は、今でも同じ気持ちを共有できているだろうか。僕の選択を受け入れ、背中を押してくれるだろうか。その不安もまた、ここでいう黄色いシグナルのひとつなんだろう。
その危険信号を前に足がすくみ立ち止まってしまうのか、それでも突き進むのか。その葛藤がここでは描かれている。
B1
Say it aloud. "Search the best way"
誰かからパンをねだる 鳥にはなれない
葛藤に軋んでいた心の扉を開け放つかのような力強い声で訴えかけるBメロ。
ここでいう"best"は、もちろん「正解」のルートのことではない。そんなもの存在しなくて、どの道を行けば満足のいく人生を歩めるかなんて誰にもわからない。そのことを主人公はちゃんと知っている。だからこそ、この"best"は「自分の信じた」道のことだ。
言ってみろ。
自分が一番気に入った道を行くんだ。
そうだろ?
きっと、自分自身に何度もそう問いかけ、言い聞かせてきたんだろう。
誰かからパンをねだって、与えられた環境で生きていくことはきっととても楽だけど、僕はそうはなりたくない。だって、そんなの自分自身で道を選びながら歩いていく僕の人生じゃない。
そんなのは、僕のbestの選択じゃない。
サビ1
未来まで待ちぶせしてしまうくらいに
光のにおいする方 走って行くんだ
その先でいつか君に逢えたなら
それが そう ひとつの正解かも…
このサビのスピード感には眼を見張る。
操舵輪を激しく切るような大きな決意を歌いながら、風を切るようにこんなにも爽やかで、暑苦しさを感じさせない。
普通僕らが道の真ん中に立っていると、その先に広がる景色を見ることができる。さすがに地平線の向こうまでは見えないけど、目に入る景色にどんな石が転がっているか、どんな花が咲いているか、どんな人がいるか、はたまたどんな悪路か。近くにある景色は見える。
それを見て、僕らは考える。どの道に行けば進みやすいか、疲れないか、楽しいか。
人生もそれと同じように、ゆっくり景色を見ながら歩いていれば、少し先でどんな経験が得られるか、どんな感情の動きがあるか、どんな成果や喜びがあるか、どんな後悔があるか、少しだけならなんとなく予測はできる。
そして、目に見える範囲の未来に支配されて、僕らは悩み、立ち止まってしまったり、ときには楽な道に逃げてしまうことさえある。未来はいつも、僕たちよりも先にいる。
だけどこの主人公は、すぐそこの未来に翻弄されて右往左往することはない。目の前に広がる道がどれだけ険しくても関係ない。地平線の向こうから自分の信じた微かな光が差す、その方角へ向かって無我夢中に走っていくだけ。
そして辿り着いた地平線の先でふと立ち止まり振り返ったときに、自分の駆け抜けてきた道と、そこに広がる景色の全てが、初めて光を見た「あのとき」の自分の未来そのものだったのだと受け入れる覚悟ができている。たとえそれが、どんな未来だったとしても。
だけどもしも、もしもその先でまた君に会えたなら。僕は僕の、君は君の選んだ道を歩んでいったその先で、ふたつの道がまたひとつに繋がるその時が来たのなら。僕はこの道を選んで良かったと心から思えるだろう。それをひとつの「正解」と呼んでみるのもいいかもしれない。
C1
We came to the same conclusion
I hope I can see him again somewhere someday
In my heart I will find everything
I need to know about
(直訳:
僕らは同じ結論に辿り着いた。
いつの日かまたどこかで彼に会えたらと願う。
僕は心の中に、知る必要のあるあらゆるものを見つけていこう。)
わかってくれてありがとう。
いつかまた、どこかで。
彼らが辿り着いた結論とは、「決別」だ。
サビで初めて存在が示唆された「君」との、これは別れの歌なのだとここで明かされる。
これまでともに歩んできた時間を賭して、主人公である僕は自分の信じた道を今まさに進もうとしている。
そしてその決断を受け入れ背中を押してやることを決めた「彼」(=「君」)もまた、かつて友と語り合ったあの頃と同じ気持ちを今も胸に持ち続けていることがわかる。
A2
アクセルを踏み込めば
オイルがエンジンに流れ込む
そういう単純なものでいい 感情の構造は
この歌詞については、必要以上に噛み砕く必要もないだろう。
前へ進めとアクセルを踏み込みさえすれば、車はすぐに動いてくれる。勝手に悩んだり戸惑ったりして、前へ進むことを躊躇ったりはしない。
僕らの感情だってそんなものでいい。様々な心配事や不安、しがらみに阻まれて、踏み出そうと決めた一歩を躊躇してしまうこともあるけど、そんな面倒なブレーキは、外してしまった方がいい。
B2
Have a hard time."Search the best way"
初めて陸に上がった 魚の見た空は…?
苦悩もある。やりきれない時もある。
それでも、また自分を奮い立たせて進む。
太古の昔、その時代のありとあらゆる種の生物が海の中に息づいていた中で、陸という未知の世界へ踏み込んでみようと考えた世界で初めての存在がきっといたはずで。それまで自分の生きてきた世界がそいつにとっての全てだったはずで。初めて見る乾いた土や花、草や木々、そして果てのない空に、一体どれほどの衝撃を与えられただろうか。
そんな壮大で素晴らしい景色がそこに広がっているなんて、思いもよらなかっただろう。海から一歩外へ飛び出したその世界は、天国でも、地獄でも在り得たはずだ。いや、実際のところ世界で初めての勇気を振り絞ったそいつは、見たこともない景色に感動を覚える間も無く息絶えたのかもしれない。
それでも一歩を踏み出した。それでいいんだ。
全てを受け入れる覚悟ならもうできているから。光のにおいのする方へ、その先に待つ景色が見てみたくて、僕は心のアクセルを踏み込む。
サビ2
運命が僕を追いかけるくらいに
清潔な衝動に正直でいたいんだ
その途中もしも君とすれ違っても
決して目をそらさずにいれると思うよ
未来と同じように、主人公にとっては運命もまた道の先で待ち構えているものではない。
歌を歌いたい、絵を描きたい、この道を進みたい。難しいことを考えるのはやめて、自分の中にあるそんな純粋な衝動に正直に生きていったその先で、あとからついてきた結果こそが僕の運命だったのだと受け入れる覚悟ができている。
だから主人公は道の先にどんな景色が広がっているかなんてすべて後回しで、とにかく自分の心が叫ぶ方向へ進んでいく。
その道すがら、もしも別の道を行く「君」の姿が横目に映っても、僕の歩くこの道が君の道と繋がるそのときまでは、自分の信じた光から目を逸らさずに走り続けていくから。自分の気持ちに嘘をついて、垣根を飛び越えてそっち側の君の懐に飛び込んだりはしないから。
このフレーズは、そんな誓いを歌ってる。
C2
After a flash of light.
There were again darkness all around us.
It's a time of trial for me
What's shall I begin with?
(直訳:
一瞬の光の瞬きのあとで。
僕らの周りには再び暗闇が広がっていた。
これは僕にとっては試練の時だ。
さぁ、何から始めようか。)
この曲の中で最も恐れ入るべきなのは、曲のラストにも現れるこの一節だと思う。
探し求めた光のもとへ辿り着いたと思った次の瞬間、再び訪れる暗闇。
挫折。
そんな時、僕たちは何を思うだろう。
もうダメだ。終わりだ。僕の選んだこの道は、間違っていたんだ。この先にもう、道はない。その場に座り込み、途方に暮れてしまうことだってきっとあるだろう。
誰もが陥り得るその状況で、この主人公が何を思うかといえば、さぁ次はどの道へ進もうかということなのだ。
この男がただ単にポジティブな思考の持ち主だということを歌っているんじゃない。暗闇に閉ざされて、行き止まりとも思える袋小路に辿り着いてしまったとしても、実はまだそこにはいくつかの道が残されているという事実そのものを、この一節は僕たちに教えてくれているのだ。
A1の歌詞で、僕が道の終わりをイコール死と考察した真意はここにある。挫折は、行き止まりじゃない。進むべき道を見失ってしまったとしても、生きている限り、そこはまだ道の途中で、きっといくつかの分かれ道がそこにはある。この身体が生涯を終えるその瞬間まで、どこかへ道は続いてる。
少しだけ遠回りになってしまったとしても、この道を歩んできて正解だったと思える日が来るまで、きっとこの主人公は歩き続けることができる。あらかじめ用意された「正解」ではなくて、自分自身で選び取った「正解」として。
終わりに
いかがだったでしょうか。
当初想定していた以上に長くなってしまいました!書きながらポルノ愛が溢れて止まりませんでした。
最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
普段は少しでも皆さんに近い視点や距離感から自分自身の内にあるものを伝えられるように敬体(ですます調)を用いて執筆していますが、今回の記事では冒頭部分とこれ以降を除き、考察の中では常体(だである調)を用いてみました。
最初は統一感を持たせて考察もいつも通り敬体で書き始めたんですが、なんだかどうしても違和感がありまして。柔らかい言葉だとなんとなく表現が曖昧になってしまって、本当に伝えたいことが伝わりづらくなってしまうような気がしたのかな。
温度差の違いで逆に違和感を持ってしまったとか、読みづらかったという人がいたらごめんなさい。
そして大事なことですが、本記事はあくまでも筆者がこの曲から感じたことや、この曲を聴いて考えたことをまとめたものにすぎません。作詞者の意図とは異なる部分があるかもしれませんし、この曲を聴いて僕とは全く違った感想を抱く人も中にはいるかもしれません。
それもそう、ひとつの「正解」かも...
最後に、この曲に隠されたストーリーをひとつ紹介させてください。
3人目のポルノグラフィティの存在
皆さんは、ポルノグラフィティがデビュー当時3人で活動していたことをご存知でしょうか。ボーカル岡野 昭仁、ギター新藤 晴一とともに一時代を築いた3人目のポルノグラフィティ。その正体がベーシストである「シラタマ」こと、白玉 雅己(しらたま まさみ)です。
1999年9月8日にメジャーデビューしてから2004年7月28日にベストアルバム『PORNO GRAFFITTI BEST RED'S』『PORNO GRAFFITTI BEST BLUE'S』の2作をリリースするまでの間、『アポロ』『ミュージック・アワー』『サウダージ』『サボテン』『アゲハ蝶』など、誰もが一度は聴いたことのある往年の名作に携わってきました。
そして今回ご紹介した『Search the best way』は、ポルノグラフィティの全楽曲の中でシラタマが唯一作詞に携わった曲なんです。
この曲がカップリングとして収録されているシングル『サウダージ』がリリースされてから彼がポルノグラフィティを脱退するまで約4年の月日があるので、その未来までをも見据えて彼がこの詞を書いたのかどうかはわかりません。だけど、どうしても、例えようのない重みを感じてしまう。
ともに歩んできた友との別れ。
それでも自分の信じた道へ進みたいという衝動。
彼が脱退した時、僕はまだ8歳。
ポルノグラフィティに魅了されてからかれこれ20年近くが経ちますが、正直、僕は彼のことをよく知りません。
どんな表情でポルノグラフィティのベースを弾くのか、昭仁や晴一とどんな話をして、どんな声で笑うのか。それを知ることができる日が来るのかどうかはわからないけど。
きっとまだ、旅の途中なんだろうな。
ポルノグラフィティの活躍を横目に見ながら、まだまだ走り続けていくんだろうな。その顔が、ちょっとだけ誇らしげに笑っていればいいんだけど。
ではまた。
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